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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2008 Oct. 協力:一季出版(株)
ゴルフコース、時代に合せて原曲から編曲へ第二部
日本ゴルフコース設計者協会
副理事長 海津 康志
 

前回、コース改造は音楽でいえば有名な曲を編曲するのと同じだといいました。古い名曲を時代に合わせてアレンジすることで、一層その曲への親しみを高めるのが編曲の目的です。ただ、ゴルフコースの改造は一度実施すると原設計には二度と戻せない、そこが編曲と大きく異なる点だといえます。 私のコース改造設計第二部をお話したいと思います。
今年1月から9月まで、名古屋の中心部より北東約35・にある、富士カントリー可児クラブ可児ゴルフ場の改造工事を進めました。1972年に開場した約36年の歴史を持つコースで、雄大な自然の中にあります。植栽された樹木も大きくなり自然が戻っています。
原設計は関西の第一人者の上田治(1907〜78)氏。私は先生と直接お会いした事はありませんが、37年前、総合建設会社の社員としてゴルフ場設計を勉強するため、当時建設中だった当クラブに研修に来たことがあります。日本の名設計家に恥じないようなコース改造をしたと思っています。

第1章節 改造計画

当ゴルフ場は志野、織部、黄瀬戸の3コース(各18ホール、パー72)、54ホールで構成されています。 織部コースは距離が長く、ロングヒッターを魅了するタフでメンタルなコース。グリーンはペンクロス、G2の2ベント。黄瀬戸コースは、距離は短いが自然の美しさを活かしたコースで、ペンクロス、コウライの2グリーン。
改造したのはペンクロス、コウライの2グリーンで、距離も長くタフな志野コースです。可児ゴルフ場を代表する志野コースを、時代に合った1グリーンにとの要望が強く今回の改造になりました。
改造にあたりゴルフ場のオーナーから、コース改造の条件が示されました。それは
(1)関係所管庁の指導・条件を重視した改造計画を立てる。
(2)コースの戦略性が確認できること。例えばティーからはサイドバンカー、クリーク、美観池など、IP付近ではガードバンカーがきちんと視認できる。またグリーン面の見えないホールは、グリーンの形状が分かるようにする。
(3)お客様に対して、コース改造を印象づけるホールをいくつか作る。
(4)森林伐採は行わない。
というもので、これを踏まえて設計・施工いたしました。
グリーン面の種子の選択は現地の土地柄・気候を最も把握した、コース管理責任者のキーパーの意見も参考にし、2種類のブレンド品種としました。その際(1)耐暑性に優れていること(温暖化のため)、(2)耐病性に優れていること、(3)芽数調整が容易であること(1グリーンのため)、(4)最新品種でないこと(実際の特性が把握できない)―などを考慮し、芝の品種にブライトン、サンドヒル(約10g/m2)の2種類を2対1の割合で採用しました。

第2章節 改造設計方針

今回の改造目的は現状ベント・コウライの2グリーンを、世界標準であるベント1グリーンに転換するものです。このため原設計では450m2ほどの平均面積を600m2に拡張します。打ち上げでグリーン面が見にくいホールは、グリーン手前を目視出来るよう工夫(700m2に拡張)し、グリーン周りのマウンド、山や樹々、水などゴルフ場の自然全ての素材を考慮し、改造に取り組みます。
また、バックティーの視界をフロントやレディスティが妨げるようなホールではティーの改造も実施します。この改造の結果、コース全長は今より少し短くなりますが、バンカーや池・クリークなどを増設し、景観と戦略性のある美しいコース造りを目指します。

第3章節 印象に残るホール

このコース改造では名物ホールという見せ場も造ります。樹木やバンカー、池などで景観と挑戦意欲を高め、ゴルフの楽しさを伝えたいと思います。ただし原設計の設計理念を考慮し本来のコースのバランスも崩さず、自然と対話し未来に残る調和のとれた芸術性豊かなコースに仕上げます。
印象的なホールをいくつか紹介しますと、7番196ヤード(鏡の森=表紙、パー3)は、グリーン手前に池を配し難度の高いホールです。13番394ヤード(五水宝、パー4)では、グリーン手前に5個の美観池を設け、失敗は許されないホールとしました。また17番577ヤード(竜の谷、パー5)は雄大な打ち下ろしホールで、ティーからグリーン手前までホール内をうねるクリークと、見せるバンカーで戦略性を高めています。

第4章節 1グリーン化

ベント・コウライの2グリーンの1グリーン化は、両グリーンの中央に新たなグリーンを造成し、さらにグリーン周辺の造形にも手を加えました。グリーン周辺を細部測量して現況を把握し、現状残せるバンカーは残しましたが、戦略的1グリーンに、また美しく絞ったホールに見えるよう造るのに苦戦しました。

第5章節 コースのバランス

コース改造することでコース全体のバランスも大きな課題のひとつです。改造に力が入りすぎて、あまり難しいホールばかり出来てはバランスに欠けます。音楽も同じで、山あり谷あり平坦ありが心安らぐ音楽。ゴルフは18ホールの中を楽しく苦戦して回れる、魅力あるコース造りが目標です。

第6章節 距離・コースレート

コースレートを上げる方法として。距離を伸ばす・難度を高めるなどの方法があります。
JGAのコースレート審査基準は、「距離÷210Y+39.8+難易度+補正係数」となっています。今回の改造では距離の延長は難しく、原設計で全長は7263ヤードでコースレートは73.4でしたが、改造後は7117ヤードと約150ヤード短くなりました。しかし今回の改造で池やクリーク、バンカーの増設により難度を高めたので、従来と変わらぬコースレートが得られると思います。

第7章節 運営・営業

入場者数は県下でも指折りの実績を収めています。54ホールで年間平均12万5千人、内訳は志野4万人(全キャディ付き)、織部4万3千人、黄瀬戸4万2千人の優秀コースです。今回8カ月の休業で約2万人のお客さまを失いました。可児ゴルフ場を愛するお客様方、織部・黄瀬戸と姉妹コース美濃ゴルフ場でのプレーをお願いします。

第8章節 クラブハウス・朝食

このゴルフ場では、ご来場者に朝食が無料で提供されます。プレー代が500円違うと安い方のゴルフ場へお客さまが流れて行くこのご時世に、当クラブではオープン当初から無料提供しています。
朝食の品数は「おかゆ、パン、サラダ、味噌汁」など10種類以上で、メニュー、量ともに十分です。

第9章節 改造方法・工期短縮

営業をしているゴルフ場なので、工期をできるだけ短くするため、2社の改造業者をアウト・インに分ける方法を採りました。ただ業者によってアンジュレーションなど仕上がりに差が出ないよう、シェイパーを1人にして全ホールのシェーピングを実施しました。
播種は4月21・22日、満月の日に行いました。8月からメンバーオンリーの試打が始まり、9月にオープンします。日本で一番暑い多治見市の隣町、梅雨が明けると雨も少なく場所によっては雷雲のにわか雨も期待できない地域ですから水撒きも大変です。国際標準の1グリーンに改造したものの、守りきらなければ運営はできません。良いコースを造るためにキーパー・管理者の皆さんには、ぜひ頑張って欲しいと思います。

第10章 まとめ

コース改造では設計家が満足しても、プレーするお客様が満足しなければ改造の意味はありません。コースの難度が上がりお客様のスコアーが悪くなっても、またこのコースを回って見たいと思えるコース造りを目標にしています。改造後のコースを愛していただけるお客様に期待します。

 

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