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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2006 August. 協力:一季出版(株)
日本のゴルフ文化を高めるために(2)
日本ゴルフコース設計者協会
副理事長 小室 嘉彦
 

この原稿を書き始めたとき、全米オープンがTVで中継されていた。それを見ていてアメリカのゴルフコース造り及びセッティングと、スコットランドのそれとの違いを強く感じさせられた。
514ヤード、パー4などという異常と思われるホールもあり、ラフの深さと難易度は、フェアウェー以外すべてペナル型で、ヨーロッパ型のツアー選手の創造的かつ独創的な技術をもってしても対処の仕様がない状態である。しかし、フェアウェーに落とした球が大きくはずんで思わぬ方向に転がり、ラフに入り込んでしまうことなどは少ない。
リンクスコースに於いては、パーフェクトな方向と距離がフェアウェーに得られれば、良い結果も得られるのだが、2、3ヤードの違いや微妙なアンジュレーションのいたずらで、思いもよらないトラブルに遭遇したりする。
乱暴な言い方が許されるならば、全米オープンのコースセッティングはタフではあるが合理的であり、全英オープンが開かれるリンクスのそれは逆に非合理的だと思われる。しかし非合理的であるが故に哲学的でもある。歴史と伝統に加えて哲学的であるところが、全英オープンが他のメジャーと一線を画しているところとも思える。
再び夏坂健氏の著書からの引用でリンクスコースとそのゴルフゲームについて考えてみたい。

神の手になるリンクス

1895年に全英アマチャンピオンにもなったレスリー・バルフォアは、自らの生涯をかけて、オールドコースの不思議なアンジュレーションについての研究に没頭した。ところがこの地は荒波と強風により、海底から運ばれた砂丘が隆起して形成された「リンクスランド」であって、起伏があまりに精妙巧緻を極めたため「神ゆえに造り得た造形の妙」だと感嘆し、ついに匙を投げてしまった。
オールドコースのみならず、スコットランドのリンクスコースは何処のコースに行っても、完全に狙い通りと思ったティーショットが、微妙なアンジュレーションのせいでとんでkoもない方向へ転がっていって、ハリエニシダのブッシュの中に入り込んだりなどはざらにあることなのだ。
オールドコースのバンカーにしても、神が周到に配置したということで、文句は言えないが、ラウンドすればするほど、その不公平さを感じたりもする。
しかし、夏坂健氏は、この不公平は見せかけであって厳密に正確なルートが存在し、そのルートに従えば、申し分ないスコアが得られるとも言っている。
このようにリンクスに共通する特徴は、波のうねりの如き複雑なアンジュレーションであり、オールドコースに於いても完全に水平なスタンスを取れる場所はティーグランド以外皆無といっていい。「ゴルフとは、ラフにボールを入れず、バンカーにボールを落とさないゲームである」と、20世紀初頭の地質学者でコース設計家であったヘンリー・ウェザレットは言っている。
彼は「もし、ゴルフコースが穏やかな水面のように平坦だったとしよう。そこで君は満足が得られるだろうか。もし、ゴルフコースが滑走路のように何もない場所だとして、そこでプレーをして、ゲームの奥行きが汲みとれるだろうか? リンクスのように計測不可能な起伏があり、ボールの転がりも予測出来ない激しいアンジュレーションこそゴルフの生命であり、ゲームを数倍も面白くしている」とも言っている。

ゴルフが育む豊かな人間性

バンカーとアンジュレーション、そしてハリエニシダやヒースをはじめとするブッシュやラフ、これらに加えてスコットランド特有の風と雨にどう対処していくか。人間側が綿密なる戦略に知恵を絞り、磨き上げた技術と体力と精神力を持って挑む、まさしく自然と人間の闘い。これこそがゴルフコースの本来の姿であり、ゴルフゲームの本質である。
アリスター・マッケンジー博士も「間違えてはいけない。元来ゴルフコースとは、十分に手入れされたものではないのだ。荒々しいヒース類が随所にはびこって、傾斜は気まま、野生のバンカーも深く、浅く、平坦な場所など望みようもない」と言っている。
こうした大自然と向き合い過酷な条件と闘うことによって、人の内面が顕わになり、鍛錬され、向上していくのである。

ゴルフの3巨人として知られる中の1人、ジョン・ヘンリー・テイラーがゴルフゲームについての定義を書き残している。
「ただ単にボールを打ち、その結果を数字に書き残すだけのゲームならば、ゴルフはとうに滅びていただろう。何世紀にもわたって、特筆すべき知識層から老若男女まで、分け隔たりなくゴルフに熱中する人が後を絶たないのは、ゲームの奥に宿る歴史学、物理学、地質学、土木工学、造園学、統計学、心理学、経済学、数学、法学などが一つとなって、ついには壮大な『美学』が形成されたからに他ならない。人々はその美学に魅せられるのである。そして豊穣なるゲームと人生を共に歩む喜びが、やがて『哲学』へと誘ってくれるのだ。これほど深奥なゲームが他にあるだろうか。
私達はゴルファーであることの誇りを常に忘れてはならない」ゴルフコースも、アメリカン・スタイルのもの、リンクス・スタイルのもの、いろいろな型があってよいと思う。
ゴルフゲームとの関わり方にしても、人それぞれであるのは勿論言うまでもないが、「リンクスランドへ」の著者、マイクル・バンバーガーは「スコットランドに於けるゴルフを、真の国民的娯楽、誰もが共通の地面に立つという考え方を真実好んでいる市民全体を結びつける活動」と言っている。それはゴルフ発祥の地であるスコットランドのリンクスコースの歴史と、コースの有様を考えることによって、導き出される考え方にほかならない。
ゴルフゲームは年寄りのスポーツと言われることもあったが、実際には、その本質は非情なまでに過酷なスポーツであり、心身共に日頃の鍛錬が必要だ。しかし、一方では老若男女、技術のレベルの全く違う者同士でも、一緒にプレーすることの出来るすばらしいスポーツなのだ。特に近年に於けるゴルフは、アスリートとしてのスキルのレベルの高さを求められる一方で、人間としての豊かさを培うことができるスポーツとして評価が高まっている。
これから大人になって行く子供達にとって、デジタルでユビキタスな経済社会を生き抜いて行く上で、また人間性を保つ上でもゴルフは、特筆すべき有用性を持っていると言って過言ではない。
前号で、我々設計者協会に個人協力会員の存在があることを紹介した。最近この協力会員の入会者が増え、研修会への参加人数も毎回増加の一途をたどっている。そしてとても有難いことに、これらの会員の方々はゴルフに対する造詣が深く、歴史や文化に対して我々設計者より、深く広い情報とご意見をもっておられるので、とても参考になることが多い。そしてみなさん、スコットランドのリンクスコースの素晴らしさも理解されている。
こうした協力会員がオピニオンリーダーとなって、ゴルフの歴史やゴルフゲームの持っているエスプリを一般ゴルファーに伝えていただけるならば、ゴルフ界活性化に間違いなく寄与するものと考えている。

本文中の引用及び参考文献夏坂健著「騎士達の一番ホール」「王者のゴルフ」
マイケル・ポップス編、夏坂健訳「ゴルフ大全」
マイクル・バンバーガー著「リンクスランドへ」

 

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