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GCA NewsLetter Vol.2
「ゴルフ・コースは自然破壊か?」にノー!と答える 金田武明
−USGAの調査報告を読んで


私が自然保護、環境問題に興味を抱いたのは、旧いものでもう20年ほど前のことである。アメリカ、オハイオ州コロンバスにあるサイオト・カンツリー・クラブ(1916年、ドン・ロス設計、全米ランク36位)を訪れた時だった。ひとりのグリーン・キーパー(アメリカではスーパーインテンデント、社会的地位も高い)がふと漏らした言葉が、妙に私の耳に残った。「私がこのコースで努力しているのは自分の幼かった頃に経験した自然を再現して、子供達のために保存しようとしているだけなんだ」考えてみるまでもなく、ゴルフ・コースほど自然に恵まれている場所はめったにない。コースの70パーセント以上はラフとかプレイできないブッシュ、林、川、池である。残りは芝生で覆われている。樹木だけでも2万本を越すコースも珍しくない。杉、ひのき、だけでしかなかった森林が数多くの落葉樹を植栽することで、活気を取り戻す。下草にも神経を使い、花が咲き、果実もなるようになり、虫、鳥が集まる。ゴルフの先進国では、こうしたコースの在り方を“グリーン・ベルト”と呼び、都会のオアシスとして必要不可欠なものと認識している。ところが、日本のゴルフ環境にはその認識が逆である。住宅地に取り囲まれる都会の中のコースはポールの飛び出し問題で、郊外に移転を余儀なくされるし、地方の新設コース計画が農薬公害を盾に反対運動にあったりしている。バブル経済時の乱脈金融で問題になると、かならずゴルフ場建設が絡むとか、贈収賄のスキャンダルでもゴルフが槍玉にあがる。日本ではこの農薬とスキャンダルによって、“ゴルフ有害説”がはびこっているようだ。ただし、一部の経営者、政治家、地方行政者などによるスキャンダルは別にして、自然環境問題に対する私達の立場は常に提唱していくべきだと考える。

科学的理論武装

このほど、アメリカのUSGA(米国ゴルフ協会)が環境保護にコースが果たす積極的役割について、数年の研究成果を発表した。巷間に言われるように、コースは有害なのかという流言に対して、科学的な解答を与えたのである。30以上の団体、10以上の大学の調査・研究に資金的な援助をし、コースと環境の関連性を調べた結果である。このお陰で、これからはゴルフ・コースが自然保護にプラスになりうるという理論武装が完成したと言っていいだろう。1960年代にレイチェル・カーソン女史が書いた『沈黙の春』という示唆に富んだ著作が発表されてから、いわゆる農薬の無害化に産業界は全力を投入した。そして、この30年間に、農薬は飛躍的に進歩を遂げたのである。農薬の権威、竹松哲夫教授によれば、農薬の進化によるその30年は、室町時代と現代の差ほどあると言うが、これは誇張でもなんでもないのである。

実は、コースを自然環境保護のために活用し始めた歴史は古い。スコットランドのフォース湾周辺にはゴルフ・コースがたくさん並んでいるが、そのお陰で海辺の環境が保たれている。スコットランドは17世紀以来、環境保護に力を入れてきた国であり、こうした先人の知恵に学ぶべきことは多い。つまり、環境問題は一時的な感情で片付けるものではなく、永い年月をかけて遠い将来まで見通しながら取り組む必要がある。そのためには数10年の間でも継続できる能力と財政的な裏付けもなければならない。

“エコシステム”というプログラム

今回USGAが一般ゴルファー向けに発表した「ゴルフ・コースのエコシステム」は健全なコースの利点を明確に説明している。もちろんその背景には、少なくとも5年の年月をかけた科学的な調査研究の成果がある。アメリカの公園や家庭を見ると、樹木、花も美しく、緑の芝生が広がっている。鳥やリスがいて、池には水鳥が群れている。統計数字を見ると、アメリカの芝生需要の90パーセントは公園、住宅の庭であり、コースは10パーセントに過ぎない。しかし、広大な緑地という意味ではコースの方がはるかに効率の良いミドリということになる。今回の研究成果を踏まえて、USGAは画期的なプログラムをゴルフ・コースに呼び掛けている。ACSP(AUDUBON COOPERATIVE SANCTUARY PROGRAM FOR GOLF COURSES)というこのプログラムの骨子は環境に望ましいコースの造成、管理と天然資源の保護である。数多くのゴルフ・コースはすでに多種の動・植物に理想的な条件を提供しているが、こうしたことを更に促進するためのノウハウを提供するとしている。環境にもコミュニティにも大きな貢献をしていることを、より広く知ってもらうという役割も大切である。このプログラムによって、コースそのものの環境保護・育成に拍車をかけたいというのである。コースが会員になるためには“行動プラン”を建て、オーデュボン協会に計画を通知する。コースがより良い環境になるゴールを示すためである。次に“資源委員会”をつくり、この中には地元の人にも入ってもらい、技術的な援助も得られるようにする。エコシステム自体、コース設計者、造成業者、グリーン管理者には常識的な点がいくつも羅列されている。一般ゴルファーにも、そうした知識をわかち合ってほしいという意向があるのだろう。

トップソイル(表土)の保護という問題もある。国家にとって表土は取り返せない資源である。風や雨によって表土は川、湖、海に流出するが、芝生はこうした流出を防ぐ。調査の結果、伝統的な農耕地に比べ、20倍以上の防止力があると分かった。雨水はきれいな地下水の重要な源だが、芝生は台風の膨大な雨量でさえ吸収し、濾過してくれる。芝生とサッチは重要だが、これに加えてミミズの存在もある。1立方ヤードの土の中に約300匹のミミズがいる。ミミズの掘る小さなトンネルが水を吸収する。芝生の役割を利用し、数多くのコースが雑排水をリサイクルし、コース灌漑用の水にしている。アメリカの環境保護局は町立コースを達成することによって、雑排水を処理し、しかも市民の楽しむ場としてのコースを提供している。日本の場合は単なる経済の停滞で、ゴルフはすっかり元気を失っているが、アメリカの事情はまったく違う。現在、1万4500以上のコースで、2450万人のゴルファーが24億時間のプレイを楽しんでいる。大切なのはパブリック・コースでのプレイがこのうちの78パーセントを占めている点である。経済効果としては180億ドル。ゴルフ費用の安いアメリカでこの数字である。日本の高いゴルフ費用、それに加えてゴルフ税を入れたら巨額な経済活動である。私の素朴な感想はゴルフ・コースによって派生する芝生の緑地帯は自然と人間の合作物であること。芝生自体には思想などない。コースを社用接待の道具として悪用したり、ゴルフ・コースのプレイ権を詐欺的に乱売したりするのは人間の悪知恵である。ゴルフは本来、健全に人々の心の中に育ったもの。少なくとも9世紀の歴史を持つ。それだけに限りない魅力に富んでいる。神の与え賜うた土地を、50年、100年お借りして、人間が自然との触れ合いを楽しむ場としてのゴルフ・コースを保護、保存することこそ、現代人が次の世代にバトンタッチする使命ではなかろうか。

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