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GCA JOURNAL No.8
遊休地を利用するゴルフコース設定<私案> 編集部
スポーツ・ゴルフに環境整備から始めよう


ゴルフが国民体育大会の正式種目となった現在、定着化されてきたからだといえるが、まだ真のスポーツとしての認識が社会の中に根ざしたとはいいきれない。
かつて、広場があれば誰もが草野球に興じた時代と同じように、地域に、ゴルフプレーを自由に楽しめる空間があれば、ゴルフヘの偏見も解消され、社会化もいっそう増してくるに違いない。まず、環境を整えることがたいせつな要件なのだ。

今回は、減反政策によって遊休地と化となっている休耕田の再利用という観点から、数ホールのゴルフコース設定を提案することとした。

自然の猛威に学ぶ

毎年、世界ではほぼ60余の台風が生まれている。そのうち、日本には20数個の台風が、偏西風にのって襲ってきている。
ある年のこと、台風による豪雨が河川をはんらんさせ、県庁所在地の都市があわや大水害に見舞われる寸前となった。刻々と水がダムに流れ込み、百年に一度の大雨が降っても大丈夫という眼界水位に近づいてくる。関係者はかたずをのんで見守り、背筋の凍るような思いをするが、自然の猛威には成すすべもない。
ダムを越える水量が残すところ数センチとなって増水が止まり、都市の水害は免れた。この時になって、開発規制による調整池の役割りの大きさが実感できた。

あり余る広大な国土があるわけではなく、多湿の国ではあるが、国土を、国民こぞって共有するのである。地球の中の一国の存在をないがしろにするわけにはいかない。
国土開発には種々の規制が法律・条例で定められており、自然の猛威を目のあたりにすると、その中にあっても、よりよい開発に向けての積極的な姿勢が必要だということがわかる。

リストラクチャリングによる再生への道

昭和30年代から40年代にかけて大都市はどんどん人口が膨らみ、それまで郊外の不便な地域にあったゴルフ揚周辺にまで住宅が押し寄せるというスプロール化現象が起きた。止むなくゴルフ場は危険地域にネットを張り、その危険防止に力を入れることになる。
時を同じくして日本の経済力はぐんぐん伸び、ゴルフ場建設の槌音は高くなる一方となってきた。大都市周辺には適地はあっても地価の高騰は続く一方でままならず、遠隔地の丘陵等に行かぎるを得なかった。それでもゴルファーは集まり、ゴルフ事業が成り立ってきたのである。
昭和48年の第一次オイルショックなど、いくつかの日本の経済的危機はありながらも乗り越えてきたが、法的規制、開発・造成費、人件費の高騰はプレー費に反映されるという悪循環が生まれてきた。日本経済のバブル崩壊により社会全体が沈み込み、ビッグバンの嵐が吹き荒れる中、ゴルフ界のリストラクチャリングによりプレーフィの見直しが優先権をもって現在進められている。
しかしスポーツの周辺を見まわすと、スポーツとしてのゴルフを根づかせるためには、もっと国民ひとりひとりに身近かな存在でなければならないことも事実である。高額な会員権、高価な用具用品、高いプレーフィの上に、遠隔地まで行かなければならないゴルフ場とあっては、ふり向く人が少なくなるのも当然だろう。

私たちは、今ここで、この身近かなスポーツとしてのゴルフコースが存在するためには、何を見て、何をしなければならないかを考え、国の減反政策による遊休地の再利用が、効率的なアイディアになると考え、次のような具体的な案を作成したのである。

現在の農地状勢と里山利用

幸いなことに日本には、18ホールのゴルフコースが7,000〜8,000造る程度のスペースは存在している。全農地500万haのうち、20万〜30万haが農地不適で放擲地とみなされている。そのうち、毎年約3万haが他へ転用されている。日本の農業政策の根幹である「米」対策に、毎年多大な国費を投じ(平成10年〜11年で1,000億〜2,000億円)、減反政策がとられているのである。その対象総面積が70万〜80万haあるといわれている。また、平成12年度国家予算の中に農業農村整備の占める割合は11.68%で、その中に中山間地振興等の予算として330億円が計上されている。減反された農地は小麦、大豆、飼料作物等の転換生産を指導されるのだが(小麦の生産量は消費量の15%、大豆は5%)、生産収入が激減するため、その補償として国費が使われている(平成12年度予算には麦生産者の経営安定に新規に797億円計上)。その上、農業就労人口も確実に減少し、1990年の300万人から95年は255万人に、2005年には179万人になるだろうと農林水産省は予測しているのだ。ただし、単純な農業人口の減少は必ずしも愁うべきことではない。農業大国アメリカは一農業主当り平均150haを耕地面積としているのに対し、日本では平均1.5haと100分の1でしかない。仮に全農地500万haを5万人の農業専従者で耕作すれば、かえって効率の良い大規模農業が展開される期待ももてるからである。

とは言いながら、毎年約3万haの農地が他へ転用されており、これらの中にはゴルフ場に適した場所もある。そうした農地に村営、町営の、自分たちのスポーツの場としてゴルフ場を造ることができれば、ゴルフに対する認識も大きく変化するだろうし、就労人口の減少に伴う水田の減少に対する国費、対策費の増加も、僅かながら抑えることに繋がるのではないかと考える。
確かに農地の転用に対しては種々の規制は存在している。農地法に基づくものが多い。しかも土地利用を考えると、都市計画法、河川法、林地開発法等、係わる法律の規制により、気軽にゴルフ場建設とはいかないのが実情だ。

太平洋戦争後、GHQによる強引な「農地改革」により、大地主といわれた大農場主の土地は、それぞれの耕作者に安値で売り渡さざるを得なくなり、自作農を急激に増加させた。それが先に記述した1.5haという単位面積の小規模農業を生むと同時に、効率よい農業生産への移行をも難しくしている点も見逃せない。それが、ゴルフ場開発など大規模な土地使用に対し、事業主体が土地を取得するためには、何百人もの土地所有者と交渉せねばならず(ある開発では100haに100人もの地権者がいた例がある)、その煩わしさが、農地改革からはずれた持ち主の数が少ない林地、山地に開発が向けられたのである。
ゴルフ場開発が山林を崩し、自然破壊の元凶と言われたのは、このようなバックグラウンドも存在したと言える。「ゴルフ場の適地がない」という需給のバランスのくずれが、ゴルフ場開発費用の高騰を招き、開発の条件が細かく規定され、自然保護という「シュプレヒコール」のやり玉に挙げられて感情論剥き出しの反対に遭い、結果としてプレー費の値上げに繋がったのである。

ここでは、農地を無制限に開発転用したいという無謀な計画は述べていない。農水省の指導による、食料の自給率を高める努力は続けてほしいし、リストラクチャリングされた効率よい農業の発展は望むところであり、強くバックアップしたい。
では、どのような場所がこのレポートの対象になるだろうか。
燃料の変化により昔は薪の補給地として重宝し、守られてきた農地周辺にある「里山」が今は忘れられ、荒れたままに放置されている。中山間地に多く存在する、この里山周辺を対象と考えることはできないだろうか。ヨーロッパでは家に暖炉があり薪を暖房に利用する習慣はまだまだ残っている。小さなクラブハウスに暖炉を設け、プレー後、薪の燃える暖かな火を前に、のんびりと一日のプレーを話し合う。その薪を里山から供給する。こんなスタイルができてくれば、現在の放置された里山周辺は地域のスポーツ・クラブの中心になるかもしれない。

また、戦後激減しているのは生糸の生産であり、それに伴う遊休桑園の増加である。養蚕を奨励しているが、一度絶えた産業を復活させるには、大変な労力と費用がかかるため、なかなか復活は難しい。アメリカには林檎園をゴルフ場にし、そこに生えていた林檎の木をシンボルにして大切にしているところもある。

このように、時代の流れに置き去りにされ、衰退している農業生産地の活性化に、ここで提案するような「スポーツの場」を考えてはいかがだろうか。

地域活性化の声と発想の転換

ここで言えることは、種々の規制が農地法上のことであるにしても、「自分たちのゴルフ場造り」等の開発事業には、地元からの要望があれば、農業振興地域であっても5年に一度の見直しに限らず、頻繁な見直しが行われるから、何とかしたいという切実な声が大切なのである。地域の活性化のために頑張る自治体と、地域振興に対し、指導的立場にある人々の理解と協力が絶対に必要な後押しである。今こそ、アメリカの「ファースト・ティー・プロジェクト」(F.T.P活動 前号、トム・ワトソンの活動例で紹介)の日本版を立ち上げる、またとないチャンスだとも考えられる。
なぜ、このようなレポートで農地の有効利用を唱えるのか。それは「ファーストティー・プロジェクト」と同様に、裕福な家庭の子弟しかゴルフができない、という環境を積極的に変え、ゴルフを身近なスポーツにする必要性を強く感じるからである。

高齢化時代に入り、福祉的な観点から「ゲートボール」以外で、高齢者に手軽にできるスポーツといえばゴルフである。アメリカでは体力復活のためのリハビリテーションに最も適した手段として、ゴルフが取り入れられている例からも、高齢者のスポーツとしての見直しも必要であろう。また、青少年のためのスポーツ施設にもなる。当然、国体の正式種目である競技を手近な場所で始めることも可能になる。その上、地域の環境を工場等の誘致で大きく変えることなく、自然を生かした農地の有効利用法とも言えるだろう。ゴルフ場という施設は太平洋戦争中の例からも、一朝事あった時には農地への復元可能な唯一の施設でもあろう。大都市に近い場所であれば災害時の緊急避難の場としても有効である(「阪神・淡路大震災」の際、ゴルフ場の施設を開放し、避難場所に提供する申し入れが、「宿泊不可」の規制で実行されなかったのはなんとも不思議な話である)。

スポーツの場を身近に置く

利益目的の私企業が、このような開発計画を推進することは無理である。地域を知り、愛する地元の有志が主旨を理解し、公益のためにという大きな目的を持って進めていけば、後の世代に対し、有益な遺産を残すことになるのだ。「ゴルフ」に対する偏見も拭い去ることができる。

農地利用ばかりでなく、他にも遊休地と見られるものは散在している。港湾整備と一体化した苫小牧、陸奥小川原、御前崎港や大隈半島の大規模開発等の工業団地開発地は50%が遊休化しているとも言われる。工業団地はバブル崩壊と共に無用の長物として扱われているところも多々あるようだ。これらも含め、地域活性化の一方策として「スポーツの場となるゴルフ場」を造ってみてはいかがだろうか。
ゴルフの原点は、羊飼いたちの遊びから始まった1ホールのプレー
からである。3ホールの楽しい未来づくりの私案を図面と共に試算
してみよう。

●開発に要する概算費用<3ホール16ha>の場合
 土木工事費      25,000,000.-
 造型張り芝      180,000,000.-
 排水工事       15,000,000.-
 植栽費        25,000,000.-
 道路工事費      10,000,000.-
 給散水・電気設備費  15,000,000.-
 建築工事費      60,000,000.-
 管理機械費      12,000,000.-
 設計申請費      18,000,000.-
 工事管理監修費    10,000,000.-
 その他経費      15,000,000.-


            385,000,000.-(除く用地取得費)

●プレー料金の算定
 年間コース維持費
 1.コース維持費
  (1)人件費 3人×30,000/月/×12ヶ月 = 10,800,000円
  (2)管理資材費            =  8,000,000円
 2.その他維持経費           = 11,200,000円


                      30,000,000円

集客人員(6組/3ホール×3ラウンド)
  6組×7分×3ラウンド=126分(2.1時間/9ホール)
      ↓
  8時間÷2.1時間≒4回
      ↓
  6組×4回×4人=96人
      ↓
  96人×30日×12ヶ月×0.7=24,192人/年

 プレーフイの算定
 1.工事費 385,000,000×1.38/10年(年率3%として)=
                      531,300,000円/年
 2.管理維持費               30,000,000円/年
 3.プレー費(531,300,000+30,000,000)÷24,000=3,464円/人
   といった手軽なプレーフィとなる。
  (農地転用割当て費:530円/3.3uを借地代とすると)4,535円/人
 4.イニシャルコストの償却が終了し、年間維持費だけの費用で賄えるように
   なると30,000,000円÷24,000人=1,250円/人(2,320円/人:借地代含む)
   となる。

計算上は以上のような数字になるだろう。市営等のテニスコートの使用料程度でゴルフができるのだ。この計算はかなり大雑把なものだし、具体的な計画によって変化はするが、一つの目安になるはずである。

ゴルフがスポーツとして、いっそう繁栄するように、この一歩をぜひ踏みだしたいと願う。

掲載順不同
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