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フォーカスオン 現代のコース設計家
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2017 Oct. 協力:一季出版(株)
第3回 杉本 昌治
 

ゴルフコース設計家といっても国内の新規ゴルフ場開発がほぼ無くなった現在、彼らの目指すものは何であろうか。
国外のコース開発に取り組む場合もあるし、既設コースの改造改修に精力を尽くす場合もある。
いずれにしても設計者が己のゴルフ思想や信念に基づいて、また現代のゴルフ事情を考慮して仕事に取り組んでいるのは事実だろう。
そんな設計家の中で忙しくて全国を飛び回っているのが、今回の杉本昌治氏だ。
杉本氏は1961年生まれの56歳。並みいる設計家の中では“若手”かもしれないが、その仕事量においては“ピカ一”かもしれない。それは杉本氏の立場によるものが大きい。杉本氏は現在ゴルフ事業をメインとする東急グリーンシステム株式会社の取締役ゴルフ事業部設計部長という要職にある。
会社の名称から分かるように、東急系のゴルフコースの管理・改造を一手に引き受ける司令塔を担っているといっていい。電鉄系、不動産系を合わせると東急直営が二十数カ所。会社が運営委託を受けているコースを含めると30コースを超える。それにプラスして、その“腕”を頼って個人的に依頼されるコースを含めると杉本氏の多忙ぶりがうかがえる。
「改造・改修といってもただ図面を見てできる話ではありません。実際にコースを訪れ、コースをラウンドし球を打って感じることが大切。その中でコースの良さと問題点をピックアップして、優先順位を決める……」という考え方だから、コースの数と成し遂げることの多さに気が遠くなりはしまいか。

ゴルフコースに漂う空気感が大切だ

杉本氏は東京農業大学の造園学科に学んだ。だが、「造園といってもゴルフコースには、いやゴルフそのものにも全く興味を抱いていませんでした」と語る。
大学では造園科の中で芝の学習を重ね、そのままゴルフコースの仕事に入り、設計家になった先達は多いが、杉本氏の場合はちょっと違っている。
「大学4年の秋ですが、そろそろ就職をと考えていたとき、『就職するならゴルフをやれ』とゴルフセット一式をプレゼントされたんです。練習もそこそこにコースに引っ張り出され……。結果は散々でしたがゴルフの面白さ、そしてゴルフコースの美しさに魅せられました」と振り返る。
もしその時ゴルフセットのプレゼントがなければ、現在の設計家杉本昌治は存在していなかったかもしれない。
そして渡りに船とはこういうことをいうのだろうか。就職先に選んだのが高村造園、現在の東急グリーンシステムだった。造園学科の縁で1983年の入社当初は造園設計に籍を置いていたが、1987年からゴルフ事業部に移った。
そこには、ゴルフコース設計の“師”ともいえる2人がいた。東急系ゴルフコースの設計を引き受けていた宮澤長平氏と黒澤長夫氏である。当時はゴルフコース建設のブーム期であり、両氏のアシスタントとして設計に携わることになる。
「当時計画が進んでいた両氏の設計コースにはほとんどアシスタントとして参加させていただき、学ぶところ大でしたね。東急系のコースはすべて、他にも数多く計画はありました。もっともバブルがはじけた後にはほとんどが潰れたようです」
とりあえず両氏によってゴルフコース設計のイロハを教え込まれ、その薫陶を受けて設計家・杉本昌治は育っていった。
そこで良かったのは「杉本氏を育てる」という会社の方針。設計の勉強のために世界各地のゴルフコースを訪れることになる。
「話に聞いても写真で見ても実際に現地に行かなければ感じられないものが大きい。コースが持っている空気感とでもいいますか。ゴルフコースにはこの空気感が大切。スコットランド、セントアンドリュースの雰囲気。アメリカ東海岸のコース……。それぞれのそこに流れる空気感があります。それこそゴルフコースにはなくてはならないもの。ですから設計だけでなく、改造改修に当たっても、コースの持つ全体の雰囲気を大切にしたいと思っています」と語る。

麻倉ゴルフ倶楽部を設計の手はじめに

総合的に設計全般を手がけたのは千葉県の麻倉ゴルフ倶楽部だった。黒澤長夫氏との共作ではあるが、ゴルフコースと関わってから20年の歳月が、堂々たる林間18ホールの設計を可能にした。
千葉県佐倉市という交通至便の地で、下総の樹林地に高低差の少ない地形と林間の特徴を活かした18ホールで思う存分、杉本氏の思想をつぎ込んでいる。
「麻倉の成功は三菱地所がリサーチパークの一部として広大な用地を確保していたことにつきます。樹林を拓いて18ホールをデザイン……。まさに設計者冥利につきました」と杉本氏。
とはいえデザインに走りすぎても良くはないと心得ている。
「コース設計の根本は作りすぎず作らなさ過ぎず……ということ。作りすぎたら面白くないというのが持論です。飽きられ、しかも改修もしにくい。ゴルフコースは生き物。必ず老いてくる。適切な時期に適切な改修をし続けることが必要でしょう」と杉本氏。
またこうも指摘している。
「ですから当初の設計においては、ある程度改造の余地を残し変化させていくことを考えます。その時難しいコースを易しく……というのは非常に難しい。逆に易しいコースを難しく……というのはそれほど難しいことではないと思いますね。そんなことを考慮して原設計に臨んでいました」
この精神は改造・改修においても同様だ。原設計に関わった主なものをあげれば黒澤長夫氏の共作の麻倉ゴルフ倶楽部をはじめ、東急系列のすべてのコース。改造・設計監修では篭坂ゴルフクラブ、富士高原ゴルフコース、京葉カントリークラブ、アスレチックゴルフ倶楽部……など枚挙にいとまがない。
この改造・改修でも杉本氏の思想は貫かれている。
例えとして、現在改修中の沖縄の守礼カントリークラブを挙げておこう。
「コース側としてみれば、やみくもに改造をしたいわけではありません。現在のコースをいかにしてプレーヤーに喜ばれるものにしていくか、という一心から改造を検討するのです。守礼の場合、地形と面積において制約があったことから、距離や高低差に問題が生じていました。でもこれは直しようがありません。芝のメンテナンスや植栽、あるいはティグラウンドの改修などできることをやりながら、どのホールからも太平洋を眺められる景観の素晴らしさなど、長所を生かした改修を心掛けています」
沖縄という場所柄、ビジターには観光客も多い。
「この辺のことを考慮し、リゾート気分を高める。コース全体にこの空気感が漂えば成功といえます」と杉本氏は結ぶ。守礼の改修はまだまだ続くが、リゾートの傑作となるのも夢ではなかろう。
すでに設計者の"腕"に期待する所。杉本昌治氏の今後の活躍から目が離せない。

(文責・井口紳)

 

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