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第48回 大箱根カントリークラブの巻
 

 夏のゴルフの風物詩となっている女子トーナメントが今年もリゾート地、軽井沢と箱根で行われます。箱根で開かれる『CAT ladiesGolf Tournament』は、雄大な芦ノ湖外輪山のふもと仙石原高原の一角にある大箱根カントリークラブが舞台です。私はこのコースでは1983年にホテル(旧仙石原プリンスホテル)併設に伴う1番、2番、3番ホールの一部改修(パー変更)、2009年には橋梁架け替えを含めたカート道路の新設計画に携わりました。
 言うまでもなく乗用カート走路の設置のポイントは、現状デザインの中に道路ラインをいかに違和感なく取り込めるかが大きなテーマになります。特に歴史と伝統のある名門と言われるコースや著名な設計家のコースの場合、修景ラインと景観の調和が重要であり、その結果次第で担当者としての資質とスキルがゴルフ場も含め問われることにもなります。
 当時の記憶では、12番と13番の間の早川には名物の吊り橋がかかっていたのですが、この橋をいかに残すか、残すためには通行時の揺れと重量制限の問題をどのように解決するか、その対応と対策には、川奈の大島コース6番(通称SOS)の吊り橋と同様に大変苦慮した思い出が残っています。結果的には大箱根の名物の吊り橋は消え、川奈は残すことになりました。その後もコースのアドバイスは続けています。
 今回このような経緯もあり今年で創設63年目を迎える大箱根カントリークラブを紹介したいと思います。

起伏と傾斜は全て自然

 現在仙石原には芦ノ湖から流れ出る早川に沿って順に箱根湖畔、箱根、大箱根、仙石と四つのゴルフ場があり、大箱根カントリークラブはそのほぼ中央に位置しております。33万坪の広大な敷地に18ホールがゆったりとレイアウトされています。コースの開場は1954年(昭和29年)11月、全体距離は7,289ヤード、パー73、オール野芝でおおわれた手作りコースです。当時から変わらないコースレート74.1は“難易度のステータス”として今も守り続けられ、“ダイナミックチャレンジコース”として今日に至っています。
 コースは大谷光明さんと朝香鳩彦(あさかやすひこ)さんの共同設計です。実際には大谷さんが図面を引き,朝香さんがブレーンとしてコース造りのアドバイスをしていたようです。言うまでもなく大谷光明氏(京都西本願寺21代門主の長男)は、JGA(日本ゴルフ協会)創設者の1人であり、日本で初めてのゴルフルールを作った(R&Aルールを翻訳・適用)人として有名で「ルールは私だ」と言ったとか言わなかったとかいうエピソードも伝わっています。
 朝香鳩彦氏は元皇族の朝香宮鳩彦王で、戦前からゴルフ好きの宮様として知られ、名誉会長を務めていた「東京ゴルフ倶楽部」が1932年(昭和7年)に埼玉県に移転した際、移転先の膝折村が朝香宮にちなんで村名を「朝霞(あさか)町」に改称した話はよく知られています。戦後の皇族離脱後は熱海の別荘に住まわれ、数多くのゴルフ倶楽部の会長・名誉会長を務められました。なお、大箱根の隣では、ほぼ同時期に赤星四郎さん設計の箱根カントリー倶楽部もオープンしています。
 両氏が設計した大箱根カントリークラブの特徴は、クラブハウスから望む箱根外輪山の眺望の雄大さと、眼下の広大な裾野に展開するゴルフコースのスケールの大きさでしょう。コースは手作りのため、必然的にすべて自然の地形、早川に流れ込む自然傾斜に合わせ、起伏と窪地はそのままナチュラルハザードとして効果的に活用したコース造りがなされています。距離のあるストレートホールを中心に、自然の起伏を大きなうねりやマウンドとして効果的に生かし、随所に残された古檜の樹林帯によってフェアウェイを適度にセパレートしています。ティショットはプレッシャーを感じずのびのびと打て、ミスショットに対しては広いラフからのリカバリーチャンスを広角に与えているのがこのコースの魅力でもあります。
 またこれらの美しい樹冠を持つ樹木は変化に富んだホールロケーションと、クラブハウスからのメインビューも含めたゴルフ場全体の景観アクセントにもなっています。

大箱根と『蓮の花』

 コースでは設計者のイマジネーションの素晴らしさを随所で感じることが出来ます。その一つに、このゴルフ場を代表する15番ホールがあります。山裾に沿ってゆったり打ち上げグリーン手前を大きな谷が横断する、当時「日本一長く、難しいホール」と話題となった590ヤードの実質パー6のロングホールです。オープン当初、多くの飛ばし屋ゴルファーが攻略に躍起になった、挑戦と憧れのホールでもありました。次の16番はティグラウンドが最も高い位置にあり、大涌谷を中央に仙石原を一望できる、雄大な打ち下ろしのホールになります。
 そして本誌の表紙にもなっている17番へと続きます。別名「蓮の花」と呼ばれ当ゴルフ場の代名詞にもなっている199ヤードのショートホールです。グリーン周りは全てバンカーに囲まれ、その白砂が描き出す大胆かつ繊細な造形ラインが鮮やかに蓮の花のイメージを浮き上がらせています。設計者の大谷さんは西本願寺のお坊さんでもあり、鳥瞰まで意識したホールデザインはほかに類がなく、氏の永遠の傑作かもしれません。
 ところで最近は、運用上の見地や諸事情から多くのゴルフ場で安易にバンカーを埋め、数を減らし、仕様をサンドからグラスに変えたりする傾向が多く見られるようです。運営方針も含めたプレー嗜好の違いと言ってしまえばそれまでですが、それではコースがゴルフコースから単なるゴルフ“場所”に移行しただけのことになってしまいます。
 オリジナルコンセプトに基づいて造られたコースは、その原形である輪郭のバランスが崩れることでそのオリジナル性を失い、魂のないコースとして永遠に浮遊し続けることになるでしょう。コースへの敬愛とそのより良い進化をもたらすためにも、イベントやプレー進行を優先させる短絡的な動機による安易なコースデザインへの介入は避けたいものです。
 コース設計家の井上誠一氏は、無断でコース改造をしたりする施主には厳しく、二度と現地を訪れなかったと言います。設計者にとって分身でもあるコースが本意と違い歪められていく姿は、見るに忍びなく寂しさと失望感を禁じえません。

 

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