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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2017 Apr. 協力:一季出版(株)
第46回 関西クラシックゴルフ倶楽部の巻
 

原設計/ 佐藤健
湯谷5番ホール陥没修理及び改修工事監修/
中田浩人(グリーンシステム(株))

これまで多くの改造例を検証してきたが、今回は単にコース改造改修ということから離れて、開場40〜50年を経たゴルフコースのインフラの経年劣化とその補修を取り上げてみた。
ゴルフコース内のインフラ……といえばまず水回り。コース中に張り巡らされた給排水の配管システム。各地で生じている下水管の劣化、破損による陥没や地盤沈下。福岡市内での大きな陥没事故もまだ記憶に新しいが、半世紀近くを経たゴルフコースの地下で、劣化による配管破損、それを因とする地盤陥没が起こらない保証はない。
今回の舞台として取り上げた関西クラシックゴルフ倶楽部では、実際に小規模な陥没が発生。素早い対応で大きな事故の発生は防いだといえるが、これもコース側が常々コースメンテナンスに留意していたいきさつがあったから迅速な対応となったといえる。
関西クラシックゴルフ倶楽部は兵庫県三木市にあり、昭和51年5月に18ホール(大洞・湯谷)、その6年後に清水9ホールを開場し、27ホールのコースとなっている。
コース設計は佐藤健氏。施工は奥村組。当初は2グリーンだった。コース側の改修にかける意欲は大きく、まず平成元年から3年かけてメイングリーンをベント芝に張替えるなどの改修を終了。またフェアウェイの芝生の張替えも平成7年に実施。こうしたコース関係の改修と同時に平成15年に入会預託金を優先株式に転換、株主会員制へ移行している。これなど、会社側の“会員ファースト”という経営理念の賜物であり、コース改造改修の積極性と相通ずるものがあろう。
その後も改修工事は続き、平成17年にはコーライグリーンをベントグリーンに変更しベント2グリーンにした。改修の集大成ともいうべきベント1グリーン化にも着手し、平成19年から1年間に1コース、大洞、湯谷、清水の順で改修を行い、とりあえずコースの改造・改修は一段落したところであった。しかしながら思わぬことから、大がかりな工事に取り組まざるを得なくなった。

最初は湯谷5番ホールのほんの小さな亀裂から始まった

関西クラシックゴルフ倶楽部はコースメンテナンスを中田浩人氏が在籍するグリーンシステム(株)に委託している。
「関西クラシックゴルフ倶楽部は常々コースメンテナンスに留意し、グリーンの1グリーン化にも積極的に取り組んできました。今回の工事もこうした迅速な対応を行わなければ、大きくこじらせていたかもしれません」と中田氏。
当初は湯谷コースの5番ホールグリーン右手前、ガードバンカーの15ヤード手前に小さな穴が出現したことから始まった。
「それが2年前の大雨でその一帯が陥没して、手前に深いバンカーが出来たようになったわけです」(中田氏)
各地で地盤の陥没事故が起きていた時だけに、中田氏はコース側と協議しすぐに調査を開始。結果的には、このコースが造成された当時にはよく使われていた蛇腹の1.5mの大口径の鋼管が4年前の台風時の地崩れにより引っぱられて破損しており、そこから土砂が流れて陥没の原因となっていたという。
「当然放っておけば大規模な陥没となってしまいます。会社側の対応は素早く平成28年初頭には着工できました」と中田氏。

排管の付け替えにもしっかりした段取りが必要

付け替え工事といっても簡単な話ではない。地表から20mほど下の配管を付け替える訳で、丁寧にその位置まで掘削し、管を替えなければならない。
工法はいくつかあったが、工期・予算などを考慮して、地表面から開削していく方法が取られた。とはいえただ掘削していくだけの話ではない。
「湯谷5番ホールのグリーン面を含めた地域を掘っていく訳で、この間営業を続けるに際して、当初は工事域の手前にほぼ円形のテンポラリーグリーン(フェアウェイのコーライ芝を刈り込んだもの)を作り、パー5をパー4として営業。途中からベントグリーンに張り替え、同時にバックティからのパー4で営業することにしました」と苦心を中田氏は語る。
こうした一方で掘削工事は進み、配管を付け替え、復旧作業へと移っていく。
「土を埋め戻すといっても安易にはできません。しっかり転圧をしなければ、そこがまた陥没したり沈降したりします。土質をしっかり調査して転圧が利くように処理、これが肝心です」と中田氏。
とここまで見てくると、デザイナーとしての仕事はテンポラリーの設置ぐらいで、あとは土木の仕事。中田氏の場合、メンテナンス業務を請け負っている関係で、工事全体に目が向いているが、会社側とのコミュニケーションが不足していると、会社と土木の話で進んでいってしまう。
ただし、地面が復旧してから、グリーン、グリーン周り、フェアウェイなどの復旧にはデザイナーとしての力が必要になる。
湯谷5番ホールの復旧作業は、基盤造形、排水工事、散水管の埋設工、造形工及び仕上げ工。張芝工、テンポラリーの撤去、で完了となった。土木作業を1〜2月に、芝養生を含め復旧に半年程度をかけて終了した。
たった1カ所の配管の付け替えでもそれなりの工期、予算が必要で、こんな陥没箇所が数カ所単位で生じたら、大きな経営リスクとなりかねない。
まさにコース内インフラの経年劣化問題であろう。予算的に余裕があれば、自走式カメラでの撮影などでリスクの箇所を見つけ、掘削せずに対処する方法がある。
こうなるとデザイナーの仕事ではない気がするが……。
「中田氏のようにメンテナンス契約をし、常々コースを見ていれば、豪雨の後のコースの“顔”を見ればおかしな所に気付くもの。主治医が患者の顔色を見れば、体調の変化に気づくようなもので、主治医と患者のような関係性を、コース側とディレクターの間で作っていただければ……」と某設計者は語る。

インフラの経年劣化にコースはどう対処するか

ゴルフコースの評価を高めるのは経営姿勢次第でいかようにも変化する。いつプレーしても、グリーンの状態が良く、フェアウェイも整備され、バンカーエッジもきれいに整えられ……となればそれだけで評価は上がる。
一方でカート道路のアスファルトがボコボコ、グリーンの芝は荒れフェアウェイは穴だらけ……ではプレーヤーも興が削がれてしまう。経営努力で予算を作り出し、どこにつぎ込むのか。メンバーにしても、ビジターにしても常にきれいに整っている状況である方が良いに越したことがない。
ゴルフ人口が減少している中で、いかに他コースとの差別化を図るかが現代のゴルフ場経営のキーポイント。オープンから半世紀を経たゴルフコースで、一早く経年劣化を意識し、それに対応していくのか、中田ディレクターと関西クラシックゴルフ倶楽部の素早い対応は、今後のコース経営に大きな指針となると思われるがいかがだろうか。

(文責・井口紳)

 

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