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第44回 清川カントリークラブの巻
 

清川カントリークラブ
原設計/ ジャック・ニクラウス
コース改修管理/ 倉上俊治

今回の舞台は神奈川県清川村の清川カントリークラブ。昭和60年9月開場だから県下最後のゴルフ場である。神奈川県では当時すでにゴルフ場開発の許可を締め切っており、開発申請も全く受け付けていない状況だった。
だが宮ケ瀬ダム建設の際、地元清川村のたっての要望もあって特別に認可されたいきさつがある。
清川カントリークラブは募集時に大きな注目を浴びたが、それは神奈川県最後のコース、東名高速厚木インターから8kmという交通アクセスの良さに加え、“帝王”ジャック・ニクラウス設計という要素が大きく影響している。
ニクラウスは当時日本国内で数コースのデザインを手掛けていたが、設計家として脂の乗り切ったアイデアはコースに生かされており、実際に足を運びニクラウスの哲学を実践している。
それだけに会社側としてもメンバーにしても、ニクラウス設計コースという“プライド”は高い。
コースの経営は母体企業の経営破綻の後、紆余曲折あってメンバーが立ち上がり、平成15年12月に新生・清川カントリークラブが誕生している。
ニクラウス“プライド”はこうした経営の変遷を経ても持続されている。
では今回のテーマは何なのか?グリーンの“改修”工事を監修した倉上俊治氏は、「当初はグリーンを全面的に改修するという話ではありません。その頃近くの本厚木CCの改造を手掛けていた縁でグリーンを席捲する雑草スズメノカタビラへの対応を相談された訳です」と語る。
早速現地調査をした倉上氏は、状況の重大さに簡単には済まないと分析している。
「18ホールに渡ってグリーン面積の20〜50%を雑草スズメノカタビラが繁茂していて、営業を行いながらグリーンの手取り除草、薬剤処理では不可能という状況」と倉上氏。ただし、会社側では大がかりなグリーン改造は認めておらず、コース側と倉上氏の間で検討が重ねられた。結局、「グリーンの改修は、テンポラリーグリーン(仮設グリーン)で営業し、既設グリーンは雑草が繁茂したベントグラスをはぎ取り、床砂を入れ替える。夏の暑さに強いニューベントグラスに草種変換した方が年間を通して良好なターフコンディションが保てる……」ことなど倉上氏の提案がコース側に了承された。
改修の期間は平成20年9月24日から平成21年5月29日で、まずテンポラリーグリーン工事が平成20年10月26日まで。続いて本グリーンが平成21年2月2日から、ベントグラスの養生期間を含んで5月30日まで。最後にテンポラリーグリーン撤去工事が平成21年5月19日から5月29日まで行われた。

まずはテンポラリーグリーン。仮とはいえ丁寧な作業に徹した

「テンポラリーグリーンは平均200平方メートルとし、床砂は粒径のやや大きいあらい川砂とした」と倉上氏。理由はグリーン改修後、使用した床砂をフェアウェイの目砂に利用できるように……ということで、本グリーンの床砂をティ、アプローチの目砂に利用することと相まって倉上氏の合理性がうかがえる。
まずはテンポラリーグリーンの造成だ。
「テンポラリーグリーンは安価なペンクロスベント4,000平方メートルをソッドで購入し芝張りを行いました。結果として工期が短く約1カ月で完了。たっぷり養生期間を経て3カ月後から本グリーン工事に入ることができました。本グリーンが使用可となってから、ペンクロスベントグラスはメンバーの希望者に分配できたので廃棄処分を行わずに済んだ」と倉上氏。
さて本題の本グリーンの改修工事に入ることになるが、ここでデリケートなことはニクラウス“プライド”。改造はダメで改修ならOKといっても現実的にはどう対処したらいいのか。
結局、倉上氏のとった方法は、あくまで忠実にニクラウスの形状をなぞることだった。

縮尺1/200で高低差を忠実にトレース

ニクラウスの設計上のラインを忠実にトレースしていけば、改修の意義は達せられる。
そこで倉上氏のとった方法は丁寧すぎるほどだった。
「現況グリーンの勾配(アンジュレーション)を縮尺200分の1で高低測量し碁盤の目のように各交点の高さを計測して、ニクラウスの設計コンセプトを厳密に守るようにした」(倉上氏)。
実は当時のクラブ理事長からコース設計契約書では「設計者の許可なく改造してはならない。もし許可なく改造した場合には設計者ジャック・ニクラウスの名前は使えないと明記されている」と話された。ニクラウス“プライド”のコースにとって、メンバーにとってそれは何にもまして避けなければならない所だった。
従って倉上氏も「この工事はあくまでも改造ではなく改修でありグリーンのアンジュレーションや現況の造形、マウンド、バンカーなどを変えない」という認識をコース側と共有した。
とはいえ変えなければならないこともある。スズメノカタビラを徹底的に封じ込めるにはグリーン全体のベント芝を変えなければならない。「ベントグラスの選定は3種類のニューベントグラスをナーセリーで播種し、育成試験を行いました。その結果ベントグラス007が生育旺盛で耐病性、耐暑性があることが確認されたのでこれを採用することに決定した」と倉上氏。
また工期短縮も考慮し、ベントグラスの場合、播種すると使用までに時間を要するということもあって、鳥取の芝草業者にベントグラス007の種子を提供し育成を依頼している。
こうすれば改修が終わったグリーンに007のソッドを張ることになり工期はかなり短縮される。
「圃場で仕上がった007のソッドは8mmでカットして芝張りを行った。ソッドが薄いと早く新根が出て活着し、ターフが均一に成長するので仕上がりが早い」と倉上氏。通常は15〜20mmカットだが、圃場で播種後の育成は均一なベントグラスになるように刈込み、目砂の管理方法について3度鳥取に足を運び現地指導している。
テンポラリーグリーンが使用できるようになってからグリーン改修工事に着手。営業しながらの工事なので、早朝、午後3時以降、夜間に工事を進めている。工事の順序はまずは工事のやりにくい所、例えば2番のパー3などから始めた。
改修に使用する床砂は「関西グリーン研究所に川砂のサンプルを送り、粒径分布、川砂の硬度、形状、pH、シルトなど科学的に分析し選定した」と倉上氏。
このようにニクラウス“プライド”を守りながらグリーンの改修は進められたが、「グリーン周りのカラー、エプロンにもスズメノカタビラが繁茂しており、これらは新しいコウライ芝に張り替えた」(倉上氏)ように現状復帰のような工事も行っている。
「ガードバンカーの中には設計当初より面積が小さくなったものもあり、バンカー内に入り込んでいた芝草を平均幅15〜25cmカット、バンカー砂が足りない個所は補給し、あくまで当初の形状バランスに戻した」と、ニクラウス“プライド”を守るべく、倉上氏の苦心が理解できるが、「こうした改修工事が成功したのはクラブの会員、支配人をはじめとするスタッフの協力のおかげ」と倉上氏は感謝している。
テンポラリーグリーンに対する苦情も少なく、プレーヤーの説得も、すべてコースの意義が行き渡っていたためと思われてならない。

(文責・井口紳)

 

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