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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Dec. 協力:一季出版(株)
第42回 小杉カントリークラブの巻
 

原設計/ 大成建設
改造設計監修/ 川田太三

これまでも首都圏、近畿圏以外のコース改造の例を見てきたが、それぞれの地域には地域なりの改造目的とその内容があった。
今回注目したのは富山県射水市の小杉カントリークラブ。県内ではトップレベルの入場者を誇る27ホールのパブリックコース。付近には太閤山や呉羽、高岡などのコースがひしめいている。この激戦区の中で、入場者を確保するのは並大抵の努力ではないし、コースの改善と同時に、多岐に渡った営業戦略が求められる。

1990年(平成2年)の9月1日に27ホールでオープン。バブル経済のピーク時で、特に設計者を置かずに某大手ゼネコンの設計部によって設計、施工を行い、パブリックコースでの運営となった。
10年くらい前から潟eィアンドケイが運営を受託して、川田太三氏が責任者となり、そこからゴルフ場の再構築が始まった。3年前に地元の企業が買収を行い、再構築はさらに加速した。今回の改造・改修のディレクターでもある川田太三氏は、「ソフト面である営業戦略とともに、コース全体の見直しも必要でした。というのも設計部が図面を書くのは、規制を考慮して違反がないように、きちんと27ホールが配置されているかが目的であって、ゴルフコース設計者が考える戦略性や美観などを考慮するのとは少し違ったからです」と語る。
何故に設計者にまかせなかったのかは今となっては謎であるが、各設計者が持つ、ゴルフ哲学がコース設計の中になく、パー3、パー4、パー5を組み合わせ、そこにフェアウェイ、グリーン、ティグラウンド、バンカー、池……などを図面上でうまく配置した、ステレオタイプの設計となっていたということだろうか。

日本女子プロゴルフ選手権の開催決定を機に戦略性のあるコースに…

川田氏が運営委託された最初の7年間は充分な改造予算も組めなかったので、ゴルフコースの内容については、入場者も県内ではトップクラスだったこともあり、違和感があったがいじらないままであった。「こればかりは合点がいかなくても仕方ないことでした」(川田氏)
ところが3年前からコース改造に対する環境は大きく変化した。富山県の企業がオーナーとして運営に参加した後、しばらくして日本女子プロゴルフ協会から日本女子プロゴルフ選手権大会を全国各地で行いたいという意向があり、1982年以来の富山県での開催を小杉カントリー倶楽部に白羽の矢が立った。2015年には『LPGAレジェンズチャンピオンシップ アイザックカップ』を開催。トーナメントを開催してさらに改造ポイントが定まってきた。「単に広くて長いというコースイメージから戦略性のある美観を考慮したコース≠ノ改修することになった」(川田氏)わけだ。
川田氏はコース改造に対して「各ホールとも全部違うテイストを持ち、同じ方向に似たようなホールを置かない。パー3の4ホールはできるだけ別の方向に配置する。上りのブラインドホールで見えないところに池などのハザードを置かない」等、設計者が考慮するチェック項目は多数ある。
小杉カントリークラブの27ホールは二つの山があり、クラブ側から遠い台地へのホールは長い橋での移動となる。川田氏はギャラリーの移動も配慮して、クラブハウス側の台地のホールでトーナメントを開催すべきと考え、北9ホールと東・南のコンポジット9ホールで行うことを決定。コースの改修に取り掛かることとなった。
「幸いにして27ホールあるので、北・南で営業しつつ、とりあえず今年の3月〜6月に東コースと北コースの一部の改造に取り組み、すでに完工して8月4日からオープンしています」(川田氏)
改修のポイントは単なる数字上のレイアウトではなく、違和感のある所に設計者のテイストを加えることだった。

次は北の9ホールの改造、これで小杉カントリークラブは生まれ変わる

違和感というのは一律の形状のグリーンやティグラウンド、必要のないハザード、バンカーなどさまざま。例えばビーチバンカーなども「メンテナンスの大変さを思えば必要ない。また2打目が打ち上げで、見えないグリーンサイドに池があるなど、戦略的にも景観的にも意味をなさない」(川田氏)
なるほど「グリーン手前に池があって……、バンカーはいくつかあって広さと傾斜はこれこれで……」という単なるパズル合わせでは、ゴルフの思想に通じた設計者が見たら不満な点も多いだろう。
「もちろん改修に当たって肝心なことは、トップレベルのプレーヤーに対してはチャレンジ度を上げることは当然だが、アベレージクラスのプレーヤーには難しくならないように逃げ道を作ってやること」(川田氏)も忘れられないポイントだ。
コース改造はトーナメントのアウト9ホールとなる東コースから始まった。キーポイントは元の9番パー5を新8番パー4と新9番パー3にすることだった。元の9番パー5はブラインドで上がってきたところに池があったが、ホールを分割することによって、新9番パー3はティグラウンドから池が見える戦略性の高いホールに変わった。
また元の9番パー5を分けたため、橋の向こう側にある元の東5番パー3と東6番パー4は合体してS字の面白いパー5に仕上げた。
北1番パー4はティグラウンドの目の前に高圧線があって見た目も悪く、またボールが高圧線に当たってしまう可能性もあるので、ティグラウンドを下げることにした。そこで出た土は練習場の整備に当て、合理的に処理している。
改造後、今年2016年も『LPGAレジェンズチャンピオンシップ アイザックカップ』を開催したが、参加した女子プロ達もそのあまりの変貌に驚いていた。
来年の3〜6月にはトーナメントのインとなる北コースの改造に入る予定。
「ステレオタイプで合点がいかなかったコースだったが、女子プロのチャンピオンを決める大事な大会で女子プロゴルフ協会からのリクエストもあり、バンカーの配置や拡大の検討、ボールが落ちても影響がないようにカート道路を再配置、クラブハウス前のカート待機付近やスタート前の待ち位置、各コースのスタートホールへ行く経路などの整備を行うなど改善項目はたくさんあります」と川田氏。
このコース改造の他にも、林支配人のもと、クラブハウス周りでも様々なサービスを始めていて充実に努めている。
東コースの売店は居心地が良さそうな明るいログハウス風にして、プレーを待つ間のひと時の空間を提供している。
またダイニングではパティシエを抱えて本格的なケーキを提供し、プレーヤーだけでなく周辺に住むご婦人達の話題にもなっているとか。これなど、まさに地域に密着したパブリックコースとしてマッチしているサービスではないか。
2018年の『日本女子プロゴルフ選手権大会』に向かって、どのようなコースになるのか、選手やギャラリーの目にどう映るのか、今から楽しみである。

(文責・井口紳)

 

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