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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Sep. 協力:一季出版(株)
第39回 筑波東急ゴルフクラブの巻
 

原設計/ 宮澤 長平
改造設計監修/ 杉本 昌治

今回の舞台は茨城県つくば市の筑波東急ゴルフクラブ。名峰、筑波山を仰ぐフラットな松林の中に18ホールがレイアウトされている。
全長6,704ヤード、パー72と距離は長いとはいえないが、自然樹林と点在する池を巧みに生かした18ホールは変化に富み球趣はつきない(コースレート71.6)。
オープンは昭和52年(1977年)。当初はパブリックコースとしてスタート。経営母体は東急不動産(運営は東急リゾートサービス)でパブリックのスタートは募集環境を考慮してのものであろう。
その後ゴルフ場ブームもあって募集環境が好転。1987年には首都高速と常磐道が接続。交通アクセスの好転を機に会員募集を開始し、会員制へと移行した。
いわゆる“林間コース”の典型ともいうべきコースは“東急”のブランドも相まって人気を集め会員募集は好調。当然メンバーにも好評で、ビジターのリピート率も高かったという。しかしオープンから20年、30年と時間を経るうちに、これまで見てきたようにコースには必ず綻びは出てくるもの。
改造監修の杉本昌治氏(東急グリーンシステム)も「確かに人気があり、集客もあったのですが、ゴルフ人口の減少や、ゴルファーの世代交代を考慮すると安穏としてはいられません。となればコース状況を万全なものにして地元のゴルファーの支持を集め、数多くの周辺コースと差別化を図ることが大切」と語る。
皮肉なもので集客が順調で予算的に余裕がある時にはコース改造の意欲は高まらないようだ。“忙しく”なくなってハタと見直したくなるものだが、それでも筑波東急の場合には開場30周年を経てトータルの意味で改造に踏み切ったことは慧眼に値する。
「もっとも最初から大々的にこれこれの改造に入るということではなく、まずはコース全体のチェックを重ねました。こうしたリサーチによってレポートを積み上げ、運営側と折衝して改造・改修の順位を決めました」(杉本氏)
改造監修においては、これまでも見てきたように会社側とディレクターの信頼関係が重要なファクターだが、筑波東急の場合には同じ東急グループ内でコミュニケーションもスムーズという利点があった。杉本氏は、これまで東急グループの数々の改造を重ねた実績がある。原設計の宮澤長平氏の意図も理解しており、その観点から18ホールを精査している。

まずはサブグリーンのバミューダ芝への転換

こうした精査を経て最初に取りかかったのがサブグリーンのバミューダグラスへの草種転換だった。「2012年5月から開始。サブグリーンは当初のコウライグリーンを赤土の床土のままベントに草種転換したものでした。ところが近年の夏季高温による障害でグリーンコンディションが悪化、満足できるプレーに支障が生じたのです。これではプレーヤーの評判は落ちてしまう。ということで夏場でもイキイキした緑のグリーンでゴルフを楽しんでいただけるようにバミューダグラス(プレミアムドワーフ)への草種転換・改造となったわけです」と杉本氏は語る。
床土は既存の赤土に砂をミックスして使用した。またベントグラスに比べるとグリーンスピード(BRD)が多少劣るため「これにはアンジュレーションを強めにすることで対応した」と杉本氏。
サブグリーンのバミューダグラス化から4度目の夏を迎えているが、プレーヤーの評判は上々。特にメンテナンスは好評価を得ており改造は大成功といったところ。
改造とまではいかないが、コース全体の改修ということでは「グリーン及びティグラウンドの芝育成の改善も考慮しました。サブグリーン改造と前後しますが、日照や通風の改善のために密生した樹林を間伐したり、枝打ち、及び戦略木の剪定整枝など樹木の整備を実施しました」と杉本氏。
こうした樹木の整備はティグラウンド、グリーン周りに止まらない。コース全体の整理を進めながら2014年3月からクラブハウス周りの樹木整備にも着手した。これによってハウスからの景観がアップし、明るくなったことでハウスの評判は上がったという。
杉本氏の考えでは戦略樹の伐採はなるべく行わない方針だが、同じ時期に13番ホールグリーン手前のアカマツ大径木がマツ枯れ。そこで、ここにバンカーの築造とマウンドの造形を行った。また関連する既存のバンカー形状の5箇所の修正も行っている。フェアウェイの中に立つ戦略樹は1本とはいえ伐採すれば、多岐に渡って修正が必要となるという見本であろう。

懸案であった横断水路の撤去と改造工事

マツ枯れではないが同じようなことが1番ホールでも起こった。グリーン手前にモミの大径木があって戦略上のポイントになっていたが、落雷によって枯死してしまったのだ。結局撤去することになったが、攻略的に木がなくなっては様変わりしてしまう。「結局、グラスバンカーを3箇所造り、マウンドの造形によって難度は変えずに景観を整えた」と杉本氏。
このように精査した順番に従って改造改修は進んだ。ときには樹木の立ち枯れといった突発的問題にも臨機応変に対応。
2015年の6月にはかねてからゴルファーの要望があったアプローチ練習グリーン及びバンカー練習場の築造を行っている。
次に手をつけたのが、コース内を横断するアンダーパス(地下道)の撤去工事であった。
「地下道といってもコース上に大きく口を開けている状態で、ハザードとして活かすことはできず、撤去するしかない状況。工事までは金網でボールの落下を防いでいたのですが、景観的にも宜しくない」(杉本氏)ということで2016年5月に2番ホールと8番ホールの地下道撤去工事にとりかかった。
まず2番ホール。519ヤードのパー5だが、第1IP先を幅6mの地下道が口を開け横たわっていた。側壁上端の高さが高く、第2IP付近が見えない。
「戦略的にも安全面でも支障があったわけです」と杉本氏。
営業しながらの工事なのでプレー進行には最大の注意を払い、まず地下道を撤去し埋め土した。
「フェアウェイを1.5m切り下げ第2IPは付近を見せるとともに、軽い船底状のフェアウェイに造形してティショットも打ち易い雰囲気と景観の向上を図りました」と杉本氏。
それまで見えなかった第2IP地点が広々と目視でき、しかもフェアウェイが軽い船底状ともなれば、ティショットは格段に打ちやすくなったはずだ。
続いて8番ホール。2番ホールから続く地下道は、ティグラウンド直前に口を開け横たわっていた。ただプレー面には全く影響なく、これは埋め土して景観の向上を図ったという。
いずれも既に工事は終了し、プレーヤーには好評だ。
「改造といっても予算との相談。精査によって順位をつけ手がけていきますが、コース全体をバランス良く見、何が当面必要なのか。筑波東急にも練習場やクラブハウス他、懸案事項はあります。それらを一つずつ片付け、プレーヤー、メンバーの支持を得られるようにしていきたい」と杉本氏。
今年度中に開通予定の圏央道により、都内からも、近隣からもアクセスはさらに良化する。とはいえ、「まずは地元ゴルファーに好かれるコースとしての営業を考えるためには、コースの良化」。ただ料金を下げるのではなく、“価値感”のあるコース造りのために筑波東急はこれからも改造を続けていく。まさにディレクターの見せ所ではある。

(文責・井口紳)

 

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