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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Aug. 協力:一季出版(株)
第38回(特別編) レセルバ・マラペンディ・ゴルフコースの巻
 

設計/ ギル・ハンス
シェイパー/ ベンジャミン・ウォーレン他

今回は特別編としてリオデジャネイロ五輪のゴルフ会場であるレセルバ・マラペンディ・ゴルフコースを取り上げた。もっとも“マラペンディ”は新設コースであり、既存のコースを五輪競技用に改造したわけではない。
しかしながら、コース用地があり、コース設計者が選任され、造成から完成までの行程の中に、改造監修のエッセンスが詰まっているといえるので、特別編として取り上げる意味もあろうというもの。
内容についてはご自身もシェーパーの1人としてコース造りに参加したベンジャミン・ウォーレン氏に協力を仰いだ。
開催目前となったリオ五輪。各競技会場、スタジアム工事の遅れなどが取り沙汰されたが、ゴルフコースは割とスムーズに進捗し、すでに完工、披露されている。
ほぼ一世紀ぶりにゴルフが五輪復活となり、その再スタートとしてリオでのコース選定が行われることになったものの、ゴルフ史の中では古いブラジルも一般のスポーツというレベルでは、全く振興しておらず、リオ地区には一部エスタブリッシュメントのための2コースがあるのみだった。
そこで手を挙げたのが、リオの資産家達。中でも積極的に力を入れたのがイタリア系ブラジル人の富豪だった。当時進めていた高級住宅開発の一環としてゴルフコースが欲しかったということだ。
空港から南西に約35km。開会式の舞台マラカナン・スタジアムから約25kmというバッハ地区は新興の高級住宅街。実業家はここに高層マンションを軸とする開発を行っており、ゴルフコースが欲しかったということか。
コース用地は、南に大西洋が広がり、国道が走る内側には大きな湖沼と自然林に囲まれた遊休地が開けていた。当時は一部産業廃棄物の処分場になっていたが、自然林にはカピパラやナマケモノなどの小動物も生息している。
この遊休地の開発と五輪のコースはまさに渡りに船といった感じで、土地改良や自然環境保護といった、クリアしなければならない問題があるにしても、オーナーをはじめ、五輪及びゴルフの協会も積極的に話が進んだようだ。
まずはコース設計者の選定だった。一世紀ぶりに復活するゴルフ競技である。その舞台のコース設計だから関係者の熱意も大きい。

設計は“大物”ではなく気鋭の若手ギル・ハンスに決定した

設計のオファーは全世界に送られたとか。当然日本にも声はかけられたが、書類段階で27に絞られ最終的に「ニクラス、プレーヤー、R.T.ジョーンズ、ノーマン、トムソン、トム・ドーク、ギル・ハンスの七つとなった」(ウォーレン氏)
コンペの条件は、五輪競技にかなうコースのクオリティー。また五輪後のパブリック運営を考慮して一般アマチュアのプレーに対応できること。
「たとえばPGAウェストのようなコースとなると、トッププロのトーナメントには適しても、一般のアマチュアには荷が重い。ブラジルのゴルフの育成振興の舞台という意義を果たせなくなってしまう。コース設計にはこうしたバランス感覚が必要だった」とウォーレン氏。
2012年、コンペは結局米国人設計家ギル・ハンスに決定した。
最終的には国際ゴルフ連盟の押しがあったようだが、連盟としては名より実を取った感がある。
ギル・ハンス=ギル・ハンス・デザイン社は1993年の設立でこれまでニューヨーク州のトール・グラスGCを設計。他にマイアミのブルーモンスターやUSオープン会場のウイングドフットなどの改修を手掛けUSGAとの仲もいい。
もちろんコンペを勝ち取るには単に仲がいいだけでは“大物”をさしおいてという訳にはいかない。
「一番の要因はハンスが、用地を生かした“リンクス”の設計を得意としていたこと。及び、設計者自身が造成中に現地に常駐でき、現場で臨機応変に対応ができたことでしょう」とウォーレン氏。
“大物”ともなると、そうはいかない。せいぜい造成中に2〜3度訪れる程度のものだろう。
ゴルフコースは“生き物”。改造監修で何度も目にした光景だが、デザイナーが現場を見て、図面とのブレを調整する……。何事も図面通りにはいかないのだ。こうした要素もハンスがコンペを勝ち上がったポイントであろう。
そして設計が承認され、女性の立場(コースは男・女共通)からエミー・オルコットが参加。工事中に2、3度訪れ、監修アドバイスをした。

フェアウェイ、ティグラウンドはコーライ芝を使用……

実際の工期は2014年4月から12月までの9カ月間。ただ土地改良、自然保護などで全体で22カ月ほどかかっている。
コースは男子7,133ヤード、女子6,500ヤード、予定ではパー71で長くは無い。
「トータルのイメージでは木がないパインハーストといっていい。フェアウェイは幅が広く、ラフはなく荒地、ただし風が強い。期間中の8月(冬期)は特に北西からの強風が吹き荒れる。コースデザインそのものが風を想定して作られているので、距離が短いといってもあなどれない」(ウォーレン氏)
ただ日本人選手には朗報がある。フェアウェイ、ティグラウンドの芝が日本にも生えているコーライなのだ。
「ハンスは現地の気候、気温、水……などを考慮してゼオン(コーライ芝)に決定。耐寒性、日陰、回復性……などにすぐれた点を考慮してのもので、オープン後の状況もその決定の正しさを証明している」(ウォーレン氏)
グリーンはティグラウンド同様大小さまざまの形態。500〜1100平方メートルで芝はシーショアパスパラム。段差も多く大きい。両サイドにラフは無い。
ハンスチームは、完成後度のシェーピングを行った。米国人、スコットランド人、オーストラリア人及びハンスを加え名で調整している。問題はやはり風だった。「バンカーの砂が度も飛んでしまったこともあった」(ウォーレン氏)というのだからおして知るべしか。
ただこの強風も懸案である“ジカ熱”に対してはいいようで、「コース内で蚊を見ることはありません。この風で飛んでいってしまうのか。それに場内の池も水がきれいで澄んでいます。ジカ熱の心配はないようですね」(ウォーレン氏)
ギル・ハンスの設計及びその後のシェーピングの過程を見ると、改造・監修のイロハが揃っているように見える。
明確な設計のコンセプト、予算をも含めたオーナー側との交渉。
このマラペンディが単に五輪の舞台として多くのゴルフファンを沸かせるだけでなく、その後のブラジルのゴルフ振興にどう寄与していくのか、注目したい。ウォーレン氏が参加したのも、ハンスの哲学に共鳴したからに他ならないであろう。

(文責・井口紳)

 

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