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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Feb. 協力:一季出版(株)
第32回 大多喜城ゴルフ倶楽部の巻
 

原設計/ 金田武明、ゲーリー・プレーヤー
改造設計監修/ 杉本昌治

今回の舞台は千葉県夷隅郡大多喜町の大多喜城ゴルフ倶楽部だ。
南房総地域には数多くのゴルフコースがひしめいている。昭和末期のゴルフブームの時期にはゴルフコースに適した用地が多く、自治体の許認可関係もさほど厳しくなかっただけに多くの開発業者が山に林に谷に入っていった。
その後、規制が厳しくなり新しい計画こそなくなったが、既に認可を得た計画は進んだ。大多喜城GCもそんなコースの一つ。この地域では遅い平成4年の開場だった。ただ経営的に行き詰まり、平成17年に民事再生法により現在の東急リゾートサービスの経営になっている。
会員数は1,500名弱。経営交代後の決定的な違いといえば圏央道・市原鶴舞インターチェンジの開通だ。都心からの車の便は格段に良くなった。アクアライン、圏央道、そして国道297号のルートで都心から90分程度。大多喜城GCにとって大きなメリットとなったことは間違いないが、これは周辺ゴルフコースにとっても同じ。この機に、いかにゴルファーを集客するか、どう差別化するか。コース改造の意義もここにある。
“東急”というネームバリューは申し分無い。とはいえ建設当初から核となる設計理念とは無縁だっただけに数々の思いは残っていた。
その点を“東急”のゴルフコース改造に携わっていた杉本昌治氏は、「原設計は金田武明さんとゲーリー・プレーヤー。金田さんの設計の原典はスコットランド・リンクスにあるが、それをそのままでなく日本の風土にマッチさせる必要があります」と語る。その一つの例が「ハザードはプレーラインに斜めに接するように置く」という思想で、チャンピオンシップ・コースを目指すならまだしも、一般ゴルファーを相手にしたゴルフコースにはそぐわない。

大改造ではなく少しずつ進める

会社ではそうした所を意にして、圏央道市原鶴舞インターの開通を機に計画をスタートした。とはいえ27ホールあるから9ホールずつクローズして大々的に改造するという手法はとらなかった。
朝食バイキングや、昼食・コース売店での1ドリンクが含まれるパスポートプランというお得なパッケージで、平日1万円程度で十分楽しめるといった営業努力をしつつ、身の丈にあった予算で少しずつ改造を進める形をとっている。
改造の要点を杉本氏は「金田氏の設計思想を尊重し、他ホールとの違和感ない造形景観とする。西コースの7、9番ホールはコースリズムの盛り上げを図っている大切なホールであることから、安易に易しいホールとせずにコースバランスを整える。またシニア、レディースゴルファーが楽しく、納得したプレーが出来るフェアウェイとする」というが、やはりこれからのゴルフコースにとって、シニア、レディース対策の占める率は大きい。
大多喜城GCの27ホールは概ねフラットな東9ホール(3,411ヤード・パー36)、林間の雰囲気がある中9ホール(3,528ヤード・パー36)、うねりがあり面白い西9ホール(3,383ヤード・パー36)となっており、まず手をつけたのが前にあげた西コース、特に7番、9番の2ホールだった。
改造は「ウェストハザードを撤去しプレーの進行をスムーズにするとともに、コース景観の変化によるプレーヤーの興味の継続を図る。ウェストハザード内の小石によるクラブの損傷を無くし、コース管理作業の軽減を図る」などの目的を持って工事に入った。

まずは西の7・9番ホールから

西7番ホールの作業は2014年2月から5月にかけて行われた。
このホールはフェアウェイ左に三つのバンカーを配し、自分の飛距離に合わせた厳密なルート選びが必要なホールであり、またティグラウンドからガードバンカーを合わせ七つのバンカーが印象的なホールにすることが目的。
そのために「フェアウェイ左サイドのマウンドを低くし、フェアウェイを見やすくするとともに、レギュラーティから200ヤードまで5〜10ヤードフェアウェイを広げた。またフェアウェイラインはティグラウンド方向(左側)に振り、アベレージゴルファーが方向をとりやすくした」(杉本氏)という。
大きな目標である上級者の難度は落とさず、シニアやレディースゴルファーには易しさが出せた。
続いて取りかかったのが西9番ホール。この工事も5月までに行った。7番の成果を取り入れて杉本氏は、「フェアウェイ左サイドから攻めたいホールであるためウェストバンカーの先、レギュラーティより125ヤード地点からフェアウェイを配し2段フェアウェイのホールとする」ことにした。

結果的に左右のフェアウェイは1.5〜2.5mの段差をつけ立体的な造形となった。左右のフェアウェイ間、レギュラーティから170〜190ヤード地点(チャンピオンティでは245〜265ヤード地点)に65平米のバンカーが配され、ロングヒッターの左への牽制とするとともに、グリーン側2箇所のポットバンカーとの景観のバランスがとられている。
また、従来のフェアウェイ右サイドラインは4〜8m左に移動しラフを広げ球止めとすると同時に、フェアウェイ幅はIP手前で30m以上は確保された。この他、レディースティはティ前からバンカー越えとなることと、カート路から離れているため、70平米程度の面積で右サイドに設置された。
この工事では若干の積み残しも出ている。「レギュラーティ前の2箇所のウェストハザード1,900平米は全面造形。芝張りを行うことが望ましいが、予算により全面ウェストハザードで残す、または手前のみ造形し芝張りを行うことも可能」(杉本氏)ということだ。
この2ホールの改造をみても杉本氏のバランス感覚がよく分かる。
「今の若いゴルファーは飛距離が出る。一方増加するシニアやレディースはさほど出ない。同じ舞台でティグラウンドを変えただけで、どうバランスを取ればいいのか」と杉本氏の悩みは尽きない。
易しすぎれば飽きられる。意味なく難しくすれば敬遠される。
また全体のイメージアップとして樹木の伐採や下回りの整備も課題となっている。林の中に打ち込んでも、とりあえず芝があって打つことができるならいいが、木の根が絡んで打てなければ球趣は減退する。コース内には樫の木がメインで根が表面に出ている。この処理などは今後の大きな問題だ。
杉本氏の意欲は盛んだ。コースが年々“育って”いけばどうなるか、それだけの見返りに注目したい所ではある。

(文責・井口紳)

 

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