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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Jan. 協力:一季出版(株)
第31回 富士カントリー可児クラブ可児ゴルフ場志野コースの巻
 

原設計/ 上田治
改造設計監修/ 海津康志

ゴルフコースの改造における諸事情を見てきた。中でもオーソドックスなテーマは2グリーンの1グリーン化であろう。
夏期の高温多湿に対応すべくメンテナンス上の理由から夏のコーライ、冬のベントという日本独自の文化が育ってきた。無論、ゴルフコースは1グリーンが基本で、気候条件に合うべき芝の開発ではなく、器用な発想で2グリーンを作り出したのだ。でもコースとして“世界”レベルには物足らなくなってしまう。
当然、世界レベルを目指すコース関係者は、当初の2グリーンを1グリーンにすべく改造を心懸けるもの。今回の舞台である富士カントリー可児クラブ可児ゴルフ場志野コースもその一つ。

コース改造は“原曲”を時代に合わせて編曲すること…

可児クラブ可児ゴルフ場は、この志野コース18ホールの他に織部コース、黄瀬戸コースの各18ホールを持つ、計54ホールの大型ゴルフ場。3コースの設計者は異なるが、志野コースは名手上田治が幾多の名コースの悼尾を飾るべくレイアウトしている。
1972年11月28日開場。名古屋中心部から車で約50分という地の利もあり、名古屋圏のゴルファーの人気は高かった。ただコースサイドとしてみれば、中心的存在である志野コースを1グリーン化して、メインコースを世界レベル化したいという思いが強かったようだ。改造工事は2008年1月から9月に渡って行われた。
改造監修には設計者協会副理事長である海津康志氏が当たった。海津氏は、総合建設会社のスタッフとして、志野コース建設当時コース造成に携わっていた。従って上田氏の仕事も熟知している。
海津氏はコース改造を音楽における原曲の編曲とみている。「音楽は時代に合う編曲をすることで、みんなに親しみの湧く曲ができ原曲への親しみ、編曲された曲の親しみが湧く。ただしゴルフコースの場合には、一度手をつけてしまえば原設計には二度と戻れない。上田治という日本の名設計家の名に恥じないような改造をしたいと責任を感じた」
この改造についてはコース側からいくつかの条件が提示された。「まず関係所官庁の指導、条件を重視した計画を立てること。岐阜県は許認可関係が厳しい。次にコースの戦略性。ティショットの場所からフェアウェイバンカーやクリーク、美観池が確認できること。IP付近よりグリーン、バンカーが確認できること。グリーン面が見えないホールはグリーンの形状が分かるようにすること」と海津氏。
条件はこの他にも、「お客様にコース改造を印象づけるホールをいくつか作ること。また森林伐採は行わない」ことなどがあげられた。これらの条件を設計に入れ計画、施工したという。

メインテーマは2グリーンを1グリーンにすること

世界に通用するベント1グリーン(平均600平米)がこの改造のメインテーマ。ベント・コーライの2グリーン(原設計は450平米)を拡張して一つにする。
「この1グリーン化は、ベント・コーライの中央にベントの1グリーンを造る工法でグリーン、グリーン周辺を造形した。グリーン周辺を細部測量し、現地を把握し現状のバンカー等を残せるか検討。戦略性のある1グリーンに、また美しく絞ったホールに見せるように苦労した」と海津氏。
上りでグリーン手前を目視できるように工夫(700平米に拡張)。グリーン周りのマウンド・山や、樹木・水などゴルフ場の自然全ての素材を考慮して工事は進んだ。
ベント1グリーン化において形状の改造とともに、重要な点は芝種の問題だった。
「種子の選択は現地の土地柄・気候を最も把握したコース管理キーパーの意見を参考にし、2種類のブレンド品種にした。その選択にあたっては、1.耐暑性に優れていること(温暖化のため)。2.耐病性に優れていること。3.最新品種でないこと(実際の特性が把握できないため)。4.ブレンド品種であることを考慮し、グリーン品種はブレンド品種(ブライトン2・サンドヒル1)約10g/平米とした」
この海津氏の種子選択は、以来7年を経て十全な評価を得ている。

プレーヤーが満足することが第一。愛されるコースを目指す

コースから指示された「印象づけるホールを作る」には、どう対処したのだろうか?
「コース改造には見せ場が必要だと思う。“名物ホール”と呼ばれるホール。樹木・バンカー・美観池、見せることで挑戦意欲をかきたて、ゴルフの楽しさを演出したいもの。もちろん本来のコースのバランスを崩さないことは、原設計の設計理念を考慮し尊重することが必要だった。その上で自然と対話して未来に残る調和のとれた美を追求、芸術性豊かなコースに仕上げたと自負している」と海津氏は語る。
海津氏の珠玉の“作品”は7番パー3、196ヤード(鏡の森・ニックネーム・以下同)。グリーン手前に美観池を設置。難易度のあるホールに仕上がった。13番パー4、394ヤード(五水宝)。グリーン手前に5個の美観池を設計、美しさの中にもミスが許されない緊張感のあるホールだ。また17番のパー5、577ヤード(竜の谷)は雄大な打ち下ろしで、ティグラウンド手前からグリーン手前までホール内を竜のようにうねるクリークと、見せるバンカーで球趣を高めている。
こう見てくると戦略的にも難度が高くなったようにも思えるが、海津氏は「改造にあたってディレクターが気合を入れたところで、プレーするお客様が満足しなければ改造の意味はない。難易度を上げ難しくなってお客様がスコアを悪くしても、再度チャレンジしたいと思っていただけるコース造りを目指した」と語る。「JGAのコースレート審査基準『日本』は、距離÷210ヤード+39.8+難易度+補正係数となっているが、この改造においては、距離を伸ばすことは難しく、原設計7,263ヤードのコースレートは73.4だったが改造後7,117ヤードに、全体で約150ヤードほど短くなった。しかし池・クリーク・バンカーを増設することにより、ほぼ変わらない73.8のコースとなっている」(海津氏) いずれにしても可児ゴルフ場は54ホール、年間来場者平均12万人以上の優秀コース。この改造で8カ月休業し、約2万人のお客様を失ったことになる。そのリスクを承知で1グリーン化に踏み切ったコース側の英断に拍手を送りたいところだが、ディレクターとしては、「営業をしているコースなのでできるだけ短い工期で仕上げる方法をとった」と海津氏は言う。
アウト・インで改造業者を分けて工期を短縮すると同時に「業者によってコースアンジュレーションが少しでも変わるといけないので、シェイパーを1人にして全ホールのシェーピングを実施した」という細かい配慮もあった。
工事終了後4月下旬に藩種し、8月からメンバーオンリーの試打を経て、9月にオープンした。 当時日本一暑いとされた多治見市の隣町。梅雨明けすると夏期は雨も少なく、雷雲のにわか雨も期待できないこの地域はキーパー・管理者の苦労も大変。「1グリーン化してもグリーンを守りきらなければ運営できない。皆さんの努力がコース側の英断を支えている」と海津氏は結んだ。

(文責・井口紳)

 

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