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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Dec. 協力:一季出版(株)
第30回 磯子カンツリー倶楽部の巻
 

原設計/ 舘黎児
改造設計監修/ 大久保昌

様々にコース設計の有り様を見てきたが、今回取り上げた磯子カンツリークラブほど改造の全てが語られるコースはあるまい。
改造の要因、発端。原設計とのバランスを考慮しつつ、現在のゴルフに対応した戦術性の確立。同時に美観に配慮した調和。営業を継続しながらの工事の進め方。もちろんコース全体における植栽や樹林の整備など自然への対応……。
これらのポイントの一つだけ取り上げても、監修者である大久保昌氏の熱意とコースへの愛情が感じられる。しかもそこには監修者と“オーナー”との密接な信頼関係があることを忘れてはならない。
磯子CCの改造は大久保氏のディレクションとなってから既に30年に及んでいるが、この間氏の手腕によって、細部に渡って、全体のバランスに留意しつつ、少しずつ進められてきた。
磯子CCは前の東京五輪の4年前、1960年(昭和35年)5月15日に開場した。
横浜市南部の丘陵地で、JR根岸線・洋光台駅からタクシーで5分。車では横浜横須賀道路・港南台ICから約1qと交通アクセスは抜群の良さを誇っている。もちろん当時は洋光台駅も、横浜横須賀道路も存在していなかった。今では住居地の中に18ホールが広がっているが、地主であるオーナーがここにゴルフコースの計画をしたことと、その後の積極的な改造の姿勢は無縁ではない。
同コースは関東圏でも指折りの人気コースの一つ。各ゴルフ誌の人気ランキングでも常に上位を占めてきた。これだけの用地を保ったことがすでに勝因≠ニもいえるが、もちろんこうしたロケーションにあぐらをかくことなく、改造に対する取り組みがその人気の由縁。磯子における“オーナー”は、その後のゴルフ場ラッシュにおける多くのオーナーとは異なり、自らの土地にゴルフに対する哲学を持ってコースを建設した点で、現鈴木康浩会長に至るコース改造の意欲がうかがえるのではないか。

改造のハイライトは旧9番、18番ホールの入れ替えだった

ただし、当初の工事では原設計者のイメージ通りの出来映えとはならなかったと大久保氏は語る。「改造の依頼を受けコースを見て、最初に感じたのは、原設計者がデザインしたものを途中で止めてしまったイメージでした。地盤の関係で昭和30年頃の工事機械の能力ではやりきれなかった部分が多く見られたのです」
オーナーから改造の依頼を受けた1985年にはブルドーザーの性能も向上しており、まずこうした積み残しの部分を整備しようと考えたという。もちろん各ポイントごとに直そうとした訳ではない。
「全体のコンセプトの中で、コース特性やクラブ側の要望を把握して改造の要点を絞り込む。設計において、ホールごとに関連性のない偏った考えや部分に特化することは意味が無い。また技量差があっても、それぞれのプレーヤーがゲームを楽しめることも欠くことのできない要件。ゴルフコースはこうした要件を満たしてこそ、高い総合的評価が保たれる」(大久保氏)
まず手がけたのは“積み残し”でもある「激しいアップダウンの修正」(大久保氏)を主眼とした2番ホール(パー4)だった。1989年11月に始まった改造の工期は翌年7月まで。池とグリーンを中心とする大工事であった。それまでの池は狭く、倒木などで景観に問題があったが石積みの滝、植栽の改良などによって明るいイメージのホールに変貌した。
続いて4番パー3のティグラウンド周りの整備を行い、旧9番と18番の入れ替えという大工事に進んでいく。両ホールの改造は会員の高齢化に対応して高低差を減らしてなだらかにすることが計画の趣旨。もう一つの問題点は「本来なら9番のグリーンから10番のティグラウンドへスムーズな移動が望まれるが、旧18番と10番が隣り合わせになっていたため、その間の移動距離が長くなっていた。9番と18番を入れ替えることで両コース間の移動が近くなり、同時にその移動の際に動線が交差する問題も解消できた」と大久保氏。
この他ホール内の整備も施して戦略性を高めたが、この間営業を続けながら半年間に及ぶ改造工事は、臨時のテンポラリーグリーンにとどまらぬ対策で、それにはメンバーの支持が必要であったことはいうまでもない。変則ホールによるクラブ競技の開催に対しても、特にメンバーからのクレームはなく、かえって「次はどこをやるのか、というメンバーの期待の声も、会社側の周到な計画の賜物」と大久保氏は語る。

営業を継続しながらどう工事を進めるのか?

本格的な改造工事を始めてから磯子CCは一度もクローズしていない。通常営業しながらの工事では、まず思いつくのが急造のテンポラリーグリーンやティグラウンドのやり方だろう。しかし磯子の場合はホールそのものを組み替え、9、18番及び8番ホールの大改造で行ったように変則ホールによって営業を継続してきた。
ここで最後の大改造というべき14番、15番ホールの改造工事を例に、その巧みな“作戦”をみてみたい。1985年以来30年に渡る大久保氏の改造も、最後に残ったのが「懸案だった14番(パー4)と15番(パー5)の2ホール。現状では17番からのティショットが15番ティに打ち込まれやすいなどの問題が多く、これを14 番をパー5とし、15番をパー4とすることで安全面からも戦略性からも良化する」(大久保氏)ものだ。
これを営業しながらということで図@(現状)図Aテンポラリー15番(パー3)図B完成図という方針で行う。来春が完成予定だが、桜が咲く頃にはますます戦略性に富んだ18ホールとなることだろう。

図@ 図A 図B

女性からの支持。また横浜ならではの中華を主とした食堂ダイニングの充実。全体の美観等、磯子はまさに改造≠フ玉手箱といっていい。
もちろんそれには大久保氏の手腕によるものが大きいが、手腕を発揮できるオーナーとの信頼関係。またメンバーの理解と支持があってのもの。コース関係者なら一度は本気の視察を行っていいだろう。
なにせ磯子カンツリークラブのシュウマイの美味はゴルフ界に轟いている。それだけでも楽しく、嬉しいコースではないか。

(文責・井口紳)

 

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