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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Nov. 協力:一季出版(株)
第29回 木曽駒高原カントリークラブの巻
 

原設計/ 石井健一郎
改造設計監修/ 川田太三

これまで数多くのコース改造・改修を見てきた。今回はリゾートコースとして“名門”と呼ばれるグレードを誇る木曽駒高原カントリークラブに注目。同クラブは昭和38年、前回の東京五輪開催の前年の開場だから、かれこれ半世紀余の時間が経過している。
オープン時18ホール、6,356ヤード、パー72。やや距離的には短くコースレートも70.3。元来リゾートコースとして位置付けられ設計も自然を生かし、楽しめるコースを志向していたと思われるが、この間に「もう少し競技性の高いコースに……」という要望も高くなっていたという。それに50年という歳月がコース全体に変化をもたらす、多くの歴史を経たコースが直面する問題が生じてきた。

「木一本、首一つ」の精神を大切に守ってきた…

木曽谷の木の伐採は江戸時代、尾張藩の頃から「木一本、首一つ」というほどに木を大切にする気持ちが受け継がれてきたという。
当然コース内の樹木をレイアウト上必要な部分は除いて、守ろうという姿勢がつらぬかれてきた。となれば時間の経過とともに樹木は大きくなり、林は隙間なく生茂り、オープン当初の快適なコンディションとは違ったものになってしまう。
当時のその辺の事情を内藤浩樹総支配人は「自然のままの弊害が出て、40年も経過すると生い茂った樹木で景観が遮られ、暗いイメージになっていました」と話す。
高原リゾートコースの売りは明るく雄大な景観、木曽御嶽や木曽駒ヶ岳を望む広大なイメージでゴルファーはプレーとともに、その明るい空気を満喫する……。そんなリゾートコースが暗いイメージでは話にならない。
景観以外にも日照不足、風通しの悪化などによる芝地の雑草化、裸地化、病気の発生……などの課題も生じていた。
「競技性の高いコースへの要望と、こうした自然との問題解決のために、改造・改善への要求が挙がってきたのです」(内藤総支配人) 当時の二村義章支配人(常務取締役)はこうした悩みを各方面に相談。知人を介して川田太三氏に巡り合うことになる。中京地区のゴルフ界に知己が多く、そうした重鎮達が育てあげたリゾートコースに共感を持っていた川田氏はこの話を快諾した。
「といっても大がかりなコース改造を意識するものではなく、イメージとしては手直し、修繕でいいというものでした」と川田氏。

改造というより、むしろ修繕に徹しよう…

相談を受けてまずプレーした川田氏のイメージは「平均標高1,000メートルの高原コース。赤松林に点在する白樺の美しさ。30メートルに届こうという樹木は見事。さすが樹木を守ってきた歴史が感じられた。ただ自然のままにされたので、例えば山小屋風の洒落たクラブハウスも、ハウス自体は好評でも、高原コースとしては肝心の空も山々も眺められない状況というのはコース側の懸案を象徴するようでした。各ホールの状態も当然同じようなもの」。
それだけに川田氏の“修繕”に対する考えは、暗いイメージの一新と、競技性の高さをどう工夫するかの2点に絞ることだった。
こうしたコースの危機感はやはり入場者減によることが大きい。コース開場のほぼ10年後、木曽駒高原は本コースに続いて木曽駒高原宇山カントリークラブ(18ホール)を開場し、同時に木曽駒高原ホテルも設立。バブル期には冬期を除く4月から11月のシーズン営業ながら両コースで8万人の入場者を得ていた。
1年の3分の1をクローズしてこれだけの入場者数となれば、経営として申し分なく“改造”の話もそれほど切実なものではなかった。ところがバブルが去ってしまうと、経済界と密接につながったコースの利用も落ち込んでくる。
元々木曽駒高原のロケーションは中部経済を担う大手企業の保養地。各企業の保養所が多く点在するところであり、これらの稼働率が減ってくれば当然入場者も落ち込んでくる。
リゾート気分の楽しめるゴルフを1ランク上げて、競技性の高いコースに変身させたいというのもこうしたことと無縁ではあるまい。
「コース側の要望は、高原コースらしさを取り戻すことに加えて、コースのグレードを上げたいというもの。具体的には『日本のベスト100コース』入りを目指すという、いってみれば遊べるコースから大人のコースへの変身を図るというものでした」と川田氏。 この目標の結果は改善工事終了後に、コースレート査定で70.3から72.5への査定アップという形で表れている。とはいえ最初に手を付けたのはコースイメージの一新だった。工事は2003〜04年を第一段階。05年〜07年を第二段階として進められた。
当初の2年は樹木の間伐、枝打ち、藪切りを主体とした工事を専門業者に依頼、外注工事で実施。
「春先と11月頃に雪の具合を見ながら進めました。なるべく大きな樹木は残しつつ間伐や枝打ち、特に樹木周りのブッシュなどもきれいに刈り込んでボールを打てるまでに整備。クラブハウス周りも間伐と枝打ちやブッシュの刈り込みで、周辺の山並みや、コース内のホールも見えるようになり、リゾートコースとしての魅力を回復した」と川田氏。
これまで木陰に埋まっていたクリークも姿を表わし、せせらぎの音が聴こえるまでになったという嬉しいこともおきている。

ティグラウンドの微調整で十分に修正できる

第二段階は川田氏の意向もあり、コース管理課(渡澤正久・前キーパー)の社内工事で実施した。
「基本的にグリーンは問題なく、いじっていません。メインの作業は全長をどう伸ばすか。短めのホールをどう伸ばすかでした。幸いにして第一段階でティグラウンド周りの間伐や地面の整備で余裕が生じ、例えば4番のパー4なども370ヤードから402ヤードへとティを後へ下げることで伸ばすことができました。
もともと11番ティの最高点から2番グリーンの最低点まで100メートルほどの高低差で、約5%の傾斜。地形的には素晴らしい素材でしたので、大人のコースにするためには距離の延長で十分と考えました」と川田氏。
12番のパー3では同様に190ヤードを203ヤードに。14番パー4は350ヤードから382ヤード。15番パー5は555ヤードから579ヤードに延長。このほか10ヤード前後の延長はほぼ全ホールに渡って実施し、トータルでは6,356ヤードを6,768ヤードに延長。結果的にコースレート査定のアップにつなげた。
「懸案事項であったフェアウェイ内の樹木にしても1、2、4、5、6、10、11、13、15、18番各ホールでティを左右にずらすなどの工夫をして残した」と川田氏。戦略上のポイントとして後々まで大切にされるだろう。
そして広く明るい、風通しの良いコースに復活。せせらぎの音の聴こえるリゾートコースとなった。
07年の工事終了から8年、コースでは管理部門が枯れてしまった白樺の木への対処、及びホール内の大木の枝打ちや、樹林内の間伐、整備など自社でもできる工事を続けている。
大きなテーマとしては電磁誘導カート道のルートの見直し。
「お客様の負担軽減、プレー進行のスピードアップに寄与する最適ルートへの改善も予定しています」と内藤総支配人。
カートルート変更も、ディレクターの腕の見せ所。川田氏のディレクションに注目したい。

(文責・井口紳)

 

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