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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Jun. 協力:一季出版(株)
第24回 ファイブハンドレッドクラブの巻
 

原設計/ 宮澤 長平
改造設計監修/ 杉本 昌治

今回の舞台はファイブハンドレッドクラブ(以下500クラブ)だ。知る人ぞ知るエリートクラブといっていい。東急電鉄系のクラブでは300クラブに次ぐクオリティを誇るコースで、霊峰富士を仰ぐロケーションと相まって、首都圏のゴルファーならせめて一度は訪れたいコースの一つ。
開場以来十数年に渡ってレディストーナメント(フジサンケイ・レディスクラシック)を開催。知名度では全国区といっていい。そんな多くのゴルファーから羨望の眼で見られるクラブにおいても、やはりコースの改造改修は必要になってくる。
昭和55年(1980年)10月25日開場。設計は東急系のコースを数多く手がけた宮澤長平氏。もっとも、メインのコンセプトに関しては当時東急グループの総帥であり、300クラブの生みの親ともいうべき五島昇氏の意向が反映されていた。昇氏は実業界のトップであると同時に関東アマを制すなど、一流アマチュアゴルファーとしても知られていた。それだけに昇氏のコースにかける思いは大きく、コース関係者は昇氏のコンセプトをマニュアル化し常に意識していたとか。このようにクラブ運営の核が確立したコースの改造とはいかなるものだろう。
改造監修にあたった杉本昌治氏は「元来ゴルフコースは時代の変化やプレーヤーの要望に調和した改造が必要です。しかしながら18ホールのリズム、ストーリーで設計されているにも関わらず部分的な改修の積み重ねによって、アンバランスになっているケースも出てくるものです。また、年月とともに設計のコンセプトが不明瞭になっていったり、運営方針が変更されているようなコースも多く見受けられます」と語る。
「平成18年に設計コンセプトの見直しをしました。現在の課題、今後の方向性を明確にして改造計画を練り上げ優先順位に沿って改造改修を進めています」(杉本氏)ということである。コースは18ホール、7,068ヤード、パー72。ベントの2グリーン(Aグリーン・007、Bグリーン・ペンクロス)のシステムを現在とっている。

まずはAグリーンの全面改造工事から始めた

明確な改造コンセプトに従って最初に手がけたのがAグリーンのニューベント化による全面改造。「Aグリーンは元々コーライグリーンをペンクロスベントにしたもので、グリーン面の勾配が4〜5%と強くニューベント化した場合にカッピングエリアが限られてくることと、傾斜ではなく本来のスムーズなボールの転がりをプレーヤーに楽しんで貰うことを考えました」と杉本氏。
コーライのベント化ではこれまでも、傾斜と転がりの問題はいくつかのコースで見てきた。500クラブの場合も同じ。「まずは草種の選定からスタートしました」と杉本氏。
まず5品種を選択。アプローチグリーンで試験栽培を行い、その結果、生育状況、夏越し、グリーンのクオリティなど500クラブの環境に最も適していた007に決定したという。
肝心の傾斜については、コーライで4〜5%、ペンクロスで3%であるのに対し「ニューベントは2%に抑えています。平成20年に18ホール全てのAグリーンを改造しましたが、年間降雨量が3,000ミリと多いこともあって、全面的に土壌を改良し水抜けをよくした」ことも杉本氏は付け加えてくれた。
結果としてAグリーンは1年を通じてボールの転がりがよく好評であり、耐暑性、耐病性も高く管理面でも高く評価されている。

コースのイメージを高めるための改造とは何か?

Aグリーンの全面改造の次のテーマは何か?
杉本氏は「ゴルフコースにとってスタートホール、ホームホールそしてパー3のホールはプレーヤーの印象に残る重要なホール」と位置づけている。この視点からまず注目したのが9番ホールだった。
9番はアウトの最終ホールであるとともにパー3。プレーヤーにより印象づけるために杉本氏のとった手法はグリーン手前の池にビーチバンカーを作ることだった。
ビーチバンカーについては賛否あるところだが美しさ、印象的ということでは異論はないだろう。正面のクラブハウス後方に富士の雄姿があるとなればこれほど印象的なホールはない。
「グリーン左後方にある富士山を見えやすくするために、ティグランドの右サイドを拡張した」(杉本氏)。この結果、ビーチバンカーと相まって美しさは500クラブのシンボルホールとなった。
平成22年の9番ホールに次いで平成26年には懸案であった18番ホールに取りかかった。
「レギュラーティから約120ヤード地点フェアウェイ左サイドに、コース造成時から山桜の大径木がありました。この桜が飛球による損傷が著しく痛々しいものであり、またこの桜のための地山(マウンド)によってレギュラーティから200ヤード付近のボール落下点が見えないという課題がありました」杉本氏。
この桜を救い、同時にボールの落下地点が見えるようにする工事を行った。
まず山桜の大径木をホール右サイドに移殖して飛球線から外し、残ったマウンドを削って落下地点がティから見通せるようにした。また削った発生土でフェアウェイ右サイドのバンカーマウンドを嵩上げしバンカー拡張、同時にティグラウンドの拡張によってレギュラーティからの距離延長も行った。
山桜の救済からこれだけの改造を行うというというのは合理的。ただ500クラブのコンセプトを知る上で注目されるのが「以前の桜の位置から45ヤードほど後方にクロガネモチの大径木を移植」(杉本氏)したことだろう。
「オープン当初からフェアウェイに大径木がある風景。そのイメージを極端に変更しない」と杉本氏。なかなかできる心遣いではない。
特に18番ホールはホームホール。ホームホールとしての歴史を尊重しつつ新たな改造を試みるというのもまさに500クラブらしいとはいえないだろうか。
移植は成功し今年も桜は花を咲かせたとか。

ケースバイケースで500クラブの改造改修は今後も続けられていくのだろう。
「今後の課題も結構多いのです。開場から四半世紀を経て諸々の問題点が生じ、その都度改造を行ってきました。クラブ運営のコンセプトを守りながら優先順位をつけて実施してきたのです。35年を経たクラブの現在の課題は、コースの手直し。メンバーの高齢化や、レディスゴルファーの増加に対応することです」と杉本氏は語る。
現在、5人乗り電動カートでのプレーが基本で、場内高低差の問題は少ないものの、プレーヤー個々の飛距離の格差が大きくなったことへの対応や、レディスゴルファーが気持ち良くプレーできる仕組みの構築など考慮すべき点は数多くある。
「昨今何処のゴルフ場も入場者はピーク時に比べ大分減っています。きびしい予算の中でもより一層コースのクオリティを上げながら、バラエティに富んだプレースタイルに合わせた運営に適したコースに育てることが、改造の使命だと思っています」と杉本氏は結んでくれた。
核のしっかりしたコンセプトを持って作られたゴルフコースの改造とは何か。多くのコースにも参考にしてほしい500クラブの取り組みであるし、今後も注目されてならない。

(文責・井口紳)

 

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