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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 Nov. 協力:一季出版(株)
第17回 武蔵カントリークラブ笹井コースの巻
 

原設計/ 井上誠一&和泉一介
改造設計/ 大久保昌

昭和32年(1957)、霞ヶ関CCでのカナダ杯(現ワールド・カップ)で日本人ペア(中村寅吉・小野光一)が完全優勝して全国に第一次ゴルフ・ブームが始まり、新設コースのラッシュが起きる。その一環で生まれたのが武蔵CCで、昭和34 年、豊岡コースと笹井コースが同時に完成する。武蔵野の面影を残す松林の平野に近接した2コースが井上誠一設計で生まれ、関東の名コースとして半世紀の歴史を刻んだ。井上にとって52歳の時で、円熟期の作品だろう。
ただし、距離はないがバンカーと砲台グリーンが特徴の豊岡コースに比べ、距離の長いフラットな難コースになった笹井コースは地形の問題で、井上誠一は基本設計図を作製したが、図面を現実化したのは和泉一介という変則的な方式になった。
それでも、日本オープン、女子オープンなどJGA公式競技を開催しており、2グリーンながら名コースと謳われた。
時代は1グリーン待望論≠ニなり、一時は米国人のジム・ファジオ(Jim Fazio 1942.)に設計を依頼したものの、東北大震災でこの動きは凍結。その後、大久保昌氏の1グリーン改造設計が始まり、平成25 年(2013)5月から11 カ月をかけて改造工事を行った。その後、仮オープンを経て正式に開場する。老朽化したクラブ・ハウスの建て替え、新しい1グリーンの誕生で、同じ道を歩んだ豊岡コース(2グリーンのままだが)とともに武蔵CCの2コースは新時代を迎えた。
井上誠一氏の初期の名コースとして名高い龍ヶ崎CCで、設計家とグリーンキーパーのコンビを組んだことで師弟的な関係を結び、その後に設計家となった大久保昌氏の起用は実に正統な路線で、見事に1グリーン改造を実現したことになる。井上作品のコースを1グリーン化改造を行うのは大久保氏にとって初めてのことだった。茨城の大洗GCはもともと1グリーンだったものを修正しただけだからである。
2グリーンから1グリーンへ、その設計内容を大久保氏に話を聞いた。

……まず、名コースと言われて半世紀を経た笹井コースの1グリーン化改造の問題点は何だったのでしょう?

大久保 井上誠一設計とはいえ、基本設計図面だけで、後の造形設計を和泉一介氏に任せたのは基本的に難しい地形が問題だったのでしょう。東南に開けた地形に、北を背にした位置にクラブ・ハウスを設けることを自分の信条にしていた井上氏にしては笹井コースの場合、矩形の地形の端っこ北東に置かざるを得ない場所で、しかもそのハウス前の土地が低く、水処理の問題が残っていた。
また、東西に横長の地形の真中あたりが南北にくびれている。くびれた土地は南北に400mしかないが、中央道路という公道が走っている。そこが18 ホールを置く中心なので、6本のフェアウェイを並べるという難しさだった。なんともホール配置に苦労し、しかも2グリーンですから難題だったはずです。しかし、なんとか18 ホールを配したけれど危険球の問題とハウス前の低地の水処理問題は現代まで残っていたのです。

……設計意欲の湧かない地形では逃げ出すことが多かった井上氏にしては苦労してホール配置図面を描き上げただけでも珍しい。その2グリーンを1グリーン化する動きで、ジム・ファジオに基本図面を描いて貰ったらしいのですが、ご覧になりましたか?

大久保 一度でも見ると影響を受けるので、見なかった。私が参加したのは1グリーン化への委員会が出来てからで、37 回もの会合を重ねました。クラチャンを何回も獲った委員もいて、私の意見を尊重してくれました。

……ボールが隣りホールに及ぶ危険球の問題にはどんな対策でしたか?

大久保 それが1グリーン化改造への足掛かりになりました。当時あったA・Bのベント芝グリーンから1個を外すと、グリーン周りを広く使える。どちらかのグリーンを選んで拡大してニュー・グリーンにし、空きスペースを自然な形にマウンドや植栽で処理すると危険球の及ばないグリーン周りが出来るからです。

……AとBのどちらを選ぶかは設計家の一存ですか?

大久保 戦略性と景観の見直しで、Aグリーンの位置にニュー・グリーンを創設したのは8カ所。Bグリーンは3カ所。2グリーンの間に新設したのは4カ所。まったく新しい位置に造ったのは3カ所になりました。
元のAグリーンの平均面積は360uと小さなものでしたが、ニュー・グリーンは505uになりました。最大のグリーンは2番ホールのパー5で、617uになりました。最小のグリーン面積になったのは12 番のパー4の455uで、300ヤード台の距離の短いパー4ホール。こうしたショート・パー4も必要だと考えました。

イメージを一新した1グリーン化改造工事

……さてハウス前の低地による水処理ですが、6番ホールに池がらみのホールを仕上げたのはそのため?

大久保 改造設計の目的のひとつにフラットな地形なので変化を求めたいという希望があった。そこで、低地部分にある6番グリーン左と7番ティ前にクリークで繋がるウォーター・ハザードを新設しました。水の処理にもなるし、景観的に前の笹井にはないものになったと自負しています。このグリーンは左右に二段となる段差があり、右が高い左傾斜で、およそ90p差があります。

……井上流のグリーン造形にモダンな造形が加味された印象ですが、グリーン周りのバンカーについての考え方は?

大久保 グリーン周りのバンカーは以前より深く、1・8.2mの深さにして、立体的なバンカー・スタイルにしました。特に17 番のグリーン周りはパー5なので印象的なものにしたくて、新設グリーン正面に深さ2mのバンカーを置きました。

……その反対に、グリーン周りにバンカーが1個だけというスタイルも。

大久保 14 番ホールは砲台式グリーンの反対で、周囲がマウンドに囲まれる、いわゆるパンチボウル式=i中窪み式)のグリーンにしたからです。マウンド群の中にグリーンがあるような印象になるからです。また、マウンドの大きさと形については、なるべく自然な型に見えるように裾野を広くとるスタイルです。バンカーの数は2グリーンが多く、1グリーンは少なくなるのは当然で、83 個あったのが今は50 個です。

……グリーンの位置と同時にティとの関係も大事な問題ですね?

大久保 基本的にホールの戦略性をもとにしてティをホールの中心線に置くことは避けました。右か左に寄せて、ホールの中心線に対して斜めになるように配置しました。設計の基本的思想の対角線デザイン=iDiagonal Design)ですね。ホールの中心線に沿って置くより、戦略的になる配置だと思います。

……これでこれまでの笹井コースのイメージが大きく変わると思われます。総ヤーデージで7063ヤード、コース・レート74 ・0、スロープ・システムで129という数値がそれを象徴しています。フラットな地形、距離の長い難コース≠ニいうイメージから変化のある立体的な景観の戦略コース≠ヨと変貌したようです。

大久保 1グリーン化改造設計とは多くの関係者、会員、土地との相談などかなり根気の要る仕事ですね。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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