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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 Oct. 協力:一季出版(株)
 
第16回 大分東急ゴルフ倶楽部の巻
 

原設計/ 宮澤長平
改造設計監修/ 杉本昌治

今回の舞台は大分東急ゴルフクラブ。大分県の県庁所在地大分市の中心部から車で約25分。標高約100メートルの東南向きの兵陵地に18ホールがレイアウトされている。1975年(昭和50年)の開場。設計は数多くの東急系ゴルフコースを手がけてきた宮澤長平。高低差も少なく乗用カート使用ということもあってプレーヤーの人気は高い。いわば一般的なアマチュアゴルファーが楽しめるゴルフコースのモデルともいえる。それでもバックティからのコースレートは72.3と球趣は十分に満たされている。
ではなにゆえの改造なのか。監修にあたった東急グリーンシステム株式会社ゴルフ事業部の統括部長で、設計者協会会員でもある杉本昌治氏にコース改造の理由を尋ねると、「現在のゴルフコースには大なり小なり改造が必要でしょう。ゴルファーの興味の継続、盛り上げという目的から時代の変化及びプレーヤーの要望に調和した形での改造が望まれています」と語る。同時に「ゴルフ場を取り巻く環境が厳しい中で経営の改善という目的も重要です」と加える。
翻って大分東急ゴルフクラブに目を向けると、毎年4万名を超える入場者がいてビジターの稼働率もいい。とにかく広々としていて明るいイメージと、乗用カート利用の気軽なコースとして地域のゴルファーの支持を集めている。つまりチャンピオンコースを標榜する訳ではないゴルフコースでの改造とは何なのか。そしてなぜ必要であったのか。

夏季グリーンの維持にバミューダグラスを採用

大分東急ゴルフクラブではベントグリーン(クレンショウ)の2グリーンを採用してきた。2グリーンともにベントというスタイルの管理の難しさを克服してもプレーヤーに万全のグリーンを提供したいという熱意を感じることができる。
コース全体の使用芝のことをいえば、ティーインググラウンドがコウライ芝、ラフが野芝、フェアウェイがコウライ芝となっていた。改造≠フ発端は夏の猛暑だった。
地球温暖化の影響か昨今の日本列島は、ゲリラ豪雨と夏場の酷暑に見舞われるようになって久しい。このしわよせは当然ゴルフコースにもやってくる。
そもそもベントグラスの最適温度は地上部で摂氏18〜24度。地下部で摂氏10〜18度といわれており、地温が摂氏25度で新根の発生は停止し、28度以上となれば根の生長停止と活性低下をまねき、摂氏30度以上が続けば、根毛は枯死してしまう。
早い話、地温28度以上の日が続くとベントグラスの生育限界以上のストレスとなり、重症の場合には枯死してしまう。これがサマーディクライン現象。カーッと照りつける日が続けば夜の冷気もおいつかず、朝になったら全滅ということにもなりかねない。
まして大分東急ゴルフクラブの場合、サブグリーンの面積は平均500平方メートルの土のグリーンで、20センチ前後の目砂の層があり、暗渠排水は無かったという。水管理のコントロールは難しく、7、8月の平均気温が摂氏30度を超える中で「ベントグリーンを維持するだけでも大変な作業を強いられる」(杉本氏)状況になっていた。
こんな状況ではプレーヤーに良好なコンディションを提供するのは厳しくなってくる。グリーンのコンディションはゴルフコースの命。そのためにベントの2グリーンを採用したのに状態の悪化はコースの評判を落とし、すぐさま営業成績に表われてしまう。
検討は急がれたが、結局サブグリーンの芝をバミューダ(プレミアドワーフ)に換える決断に至った。コウライ芝でなくバミューダ芝というところが東急グループらしい。
「このバミューダグリーンについては他の東急系列コースで実施しており、データもあって草種転換工事もスムーズに進めることができました」(杉本氏)
営業をしながらの工事ではあったが2013年3月から踏査、設計、4月中旬から既存芝の撤去にかかり、6月上旬にかけて18ホールすべての工事を終えることができ、8月中旬から使用開始となった。

フェアウェイのコウライをバミューダにチェンジ

サブグリーンのバミューダ化が成功すると、フェアウェイにもバミューダ芝をという案が生じた。元々大分東急ゴルフクラブの地質は変成岩で表土は薄い。また、フェアウェイにはスプリンクラー設備はなかった。
水源の問題と散水設備の問題があり、そんな状況の中で2013年の記録的な猛暑と少雨旱魃の影響によってフェアウェイのコウライ芝の大半が枯死してしまったというのだ。
「ところがフェアウェイの20パーセント程度を被っていたバミューダグラス(ティフトン)は青々と残っていました」(杉本氏)となると、この事実を参考にしない手はない。
「ティフトンは地上部面積の2〜B倍のランナー(地下茎)が地下部に張り巡らされていると思われ、フェアウェイをコウライ芝に戻すには莫大な工事費と営業の問題がありました。今後も見込まれる猛暑、旱魃や散水設備などの問題を考慮するとコウライ芝の張り替えは現実的ではないと思われ、結局営業しながら施工できるバミューダグラス(ロイヤルターフ)の挿し苗工事によるフェアウェイのバミューダグラス化に踏み切ったわけでした」と杉本氏。
このようにして大分東急ゴルフクラブのサブグリーン及びフェアウェイの草種転換(バミューダ化)は完成したわけだが、今後の課題が全く無いわけではない。「当コースの場合にはフェアウェイもバミューダグラスにしたために問題はないものの、他の多くのコウライ芝のフェアウェイではバミューダグラスの侵蝕の問題が起きます。大分東急で使用しているティフドワーフや他品種のウルトラドワーフタイプの場合、多くのコースで問題となっているバミューダグラス(ティフトン)より根が浅いことと、除草剤感受性が強いことなどを利用したグリーン外への広がりを抑制する管理構築などが課題でしょう」(杉本氏)
一方グリーンの管理面では、気温が摂氏25度以上になるとバミューダグラスは旺盛な発育となり、更新作業、目砂散布等、管理コストがかかるため施肥計画、生育抑制剤などによる管理省力化の構築が急がれるということも大きな課題。
またプレー上の問題も生じてくる。バミューダグラスはボールが沈みやすく、特にラフを長くすると、ボールが出にくいことやロストボール、時には手首を痛めることもある。
「ラフにおける野芝の密度低下によるフェアウェイのバミューダグラスの侵蝕を抑える芝管理も必要であるし、バミューダグラスがラフに侵入した場合にはフェアウェイ幅を広げたりラフの刈り高を下げるなど工夫したい」と杉本氏。
こうした課題はあるにせよ、フェアウェイが赤く枯れてしまうという根本的な事態は避けられるわけで今後の日本の気候状況を考えればコース管理面から「バミューダグラス」は有力な選択肢の一つとしてコース経営にインプットされることと思われる。
戦略性、レイアウト面での改造を美容面とすれば、今回の改造は健康面のそれ。多くのコースにとっても参考にしたい改造≠ニいえる。

(文責・井口紳)

 

 
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