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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 Sep. 協力:一季出版(株)
第15回 紫カントリークラブ・すみれコースの巻
 

原設計/ 小林英年
改造設計/ ダミアン・パスクーツォ&スティーブ・ペイ

醤油の名産地、千葉県野田市は松林の平地が広がることから多くのゴルフ場が生まれている。その一つ、創設50年余を経た紫カントリークラブすみれコースが今、全くユニークな方式で改造されて話題を呼んでいる。
豊富な松林を縫うフェアウェイが日本的な林間コースの景観を見せて半世紀あまり、21世紀の日本のコースの在り方として斬新な改造設計が2人の米国人設計家の手で行われたのだ。
ダミアン・パスクーツォ、以前に北海道の小樽カントリー倶楽部の改造に参加したベテラン設計家と元PGAツアーで6勝したプロのスティーブ・ペイト。
その改造設計コンセプトは

1.アウト・インの入れ替え。
2.ツー・グリーンをそのままに新たなグリーン造形を行う。
3.グリーン周囲だけでなくフェアウェイ・バンカーを含めて位置と形、ラインを修正する。
4.距離の短いパー5ホールを戦略性豊かにする。
5.ウォーター・ハザードの導入で戦略性を高める

などであった。
高麗グリーン(メイン)をAグリーンと呼び、ベントに草種を替えて2009年9月から約1年をかけ新しいグリーンに改造した。その3年後に元のサブ・グリーンをBグリーンとして改造工事を終了、芝の養生期を迎えている。
グリーン改造というと“ベント芝のワン・グリーン化”という時流の今、敢えてツー・グリーン全てをそのまま改造する方式にしたのは、松の平地林が豊富な広さであることと、18ホールで36ホールの球趣を味わえるメリットを追求した結果だろう。
川田太三理事長とともに中村昭広副支配人、吉場等グリーン・キーパーに話を聞いた。

……まず、小樽CCを改造設計したパスクーツォに依頼した経緯は?
「うちのコース管理アドバイザーを委託していた大江康彦氏による紹介です」(吉場キーパー)
……小樽CC改造の後、プロのS.ペイトとコンビを組んだので、2人の改造設計は日本国内でここが初めて。ペイトは南カリフォルニア大で心理学を学んだインテリ・プロで、一家言あるユニークな個性派。
「ニュー・グリーンの造形や位置についてはペイト氏の意見を聞き、パスクーツォが実行するというコンビネーションでしたね」(吉場)
……実にユニークなグリーン造形で、B具リーンがプレー出来るようになるとイメージは一変するはず。グリーンのバラエティがあり、戦略ルートが多くなった。
「18ホールで36ホール以上の球趣が味わえるはずです」(中村副支配人)
……“グリーンはコースの顔”といわれるのだから、表情に変化があるのはメリットです。
「36ホールの表情に加えて、ホール毎にグリーンをピックアップする方式でトーナメントなども開催できると考えています」(中村)
……アウト・インの9ホールを入れ替えた理由は?
「彼等の意見で、昔の9番ホールは距離も短く、戦略性も低いので入れ替えました。またクラブ・ハウスから見えない場所だったので。今では池越しにグリーンも見え、ハウス前の林帯整備のおかげでスケールの大きな空間が広がる景色になりました」(中村)

ウォーター・ハザードの導入

……新たに改造された印象深いホールは、池のハザードを利用した6番(181ヤード・パー3)、12番(495ヤード・パー5)そして、最終の18番(523ヤード・パー5)の3ホールでしょう。本来、池のハザードは攻略ルートを外れたボールを誘い込む役割ですが、ここ6番ホールでは水のハザードがベスト・ルートのぎりぎりに迫り、距離と方向が少しズレれば没入するように設定されている。奥行き36メートル、左右幅19メートルの縦長グリーンは斜めに置かれ、縦に左半分は左傾斜。その先にあるグリーン斜面は芝が短く刈られ、池に転がり入るようになっている。
「旗が左奥に立つ場合はティ・ショットから池がからむ攻略ラインになり、プレッシャーがかかるはず。旗の位置で難易度が大きく変わるはずです」(吉場)
……12番もロング・ヒッターには2オン可能な距離だったので、池を拡張してリスキーなホールになった。これぞ危険と報酬設計≠ナしょう。グリーン手前111ヤードから始まる左の池がグリーン前と左に控えるので、岬の突端にグリーンがあるように見える。ツー・オン狙いは相当にリスキーですね。
「このグリーンも左傾斜で砲台グリーンの斜面はボールを池に誘い込む。2オン狙いの人はもちろん100〜130ヤードの3オン・ルートでもプレッシャーは大きい。とにかく池はボールを集める形状で、攻め方に気を抜けないはずです」(吉場)

18番の新設グリーンでは今度は池が右側になる。左右幅は22メートルと大きなグリーンだが、グリーン右の開けた空間が怖い。右に外すと坂を下って池に届くし、途中で止まっても縦長のグリーンを横から狙う羽目になる。これまでツー・グリーン制は日本の風土が生んだ悪しき風習であると思われて来た。しかし、紫CCすみれCではそのハンディを逆に利点と捉え、より多くのバリエーションに活かす結果となった。
この日の視察プレーではAグリーンのみで、工事の終わっているBグリーンは外から見るだけだった。しかし、垣間見た4番ホール(548ヤード・パー5)のBグリーンは驚くほどユニークな形だった。縦長の砲台グリーンの中ほどに深い溝が左右に走るもので、スコットランドの古いリンクスにあるような奇抜さだった。

……Aグリーンの完成で、メンバーや来場者の数と感想はいかがですか?
「全体的に距離も長くなり、難しくなったという意見が多く、来場者の数字を心配したのですが、年平均35,000人を上まわりました。それも最近落ち着きましたが」(中村)

今度の改造ではフェアウェイ・バンカーの位置とラインの見直しがあったらしいが、これまでの紫CCのイメージとは違って、砂面の見える立体的なバンカー造形が多くなった。加えてターゲットとして狙うグリーンが多彩な変化で、攻略ルートが明確になった。ただし、ルートを外れるとその後のショットがさらに難しくなる。今までの日本的な林間コースの佇まいに慣れたメンバーには幻惑される場面があるかも。

……グリーン造形のユニークさで驚いたのは17番(465ヤード・パー4)でした。Aグリーンの平均面積が500平方メートルなのに、ここは380平方メートルと小さく、縦長のグリーンが斜めに置かれ、真ん中の右半分が大きく抉れている。その先は芝のないグラスバンカー風なチッピング・エリア。5〜6番アイアンで攻めるには難し過ぎる?
「ラウンドの終盤にドラマを予感させる狙い。これも2人のユニークな発想と思います」(吉場)

18ホールで36個のグリーンを造形するのだから、変化を追求するのも当然だろうが、2人のグリーン造形はかなり遊びの部分があるように思えた。時代に呼応したデザインを採用したクラブの未来は明るい。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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