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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 May. 協力:一季出版(株)
第11回 東京五日市カントリー倶楽部の巻
 

原設計/ 小寺酉二
改造設計/ 嶋村唯史

東京五日市CCは多摩丘陵の北端、あきる野市に昭和48年(1973年)創設の丘陵コース。設計は小寺酉二で、軽井沢GC新Cや相模原GC東Cの設計で知られる日本アマ界の重鎮。当初は36ホール規模を目指すが厳しい土地条件から18ホールでスタート、3年後には27ホールとなる。小寺設計の狭山CCと同じく、ワン・グリーンに高麗芝とベント芝を併用するスタイルだった。その後、独立した2グリーンに分割、当時のグリーン・キーパーによる設計・工事だった。キツイ高低差、小さく乗せ難いグリーンながら攻め甲斐のあるコースとして、東京地域で難コースの評判を集める。
そして時代はベント新品種によるワン・グリーン化の要請を受け、ユニークな方式による改造に挑んだ。平成21年(2009年)から3年かけての改造工事で、27ホールある有利さから1シーズンに9ホール毎に9カ月のクローズをし、西・南・東コースの順に工事を完了した。
ユニークな点は三つある。一つは直営プロジェクト(ゼネコンを利用せず、現場のスタッフに専門家を導入する)。二つ目は設計家はコーディネーター(調整役)。クラブ側の理事会、各委員、会員の意見を集約して、現場の工事に反映させる役目だった。
そして、最後はエコな改造工事。都内の建設残土を利用してリスキーなホールの高低差を緩和し、プレイアブルなコースを目指したのだ。結果的に大きなイメージアップにつながった。
これまでの改造設計に携わったコース設計家は陣頭指揮に立ち、自分なりのイメージで図面を描き、グリーンやプレー・ラインを調整したものだが、ここではクラブ側と会員の総意を聞き、現場対応してニュー・グリーンを生み出した。実に民主的な工事進行であった。その上、工事は現場をよく知る直営スタッフだから、設計家・嶋村唯史のイメージは確実に実現されたようだ。
その行程には忘れてならない人物がいた。小林正義氏(当時社長、現顧問)で、メンバーとしてクラブ対抗に出場30年、ハンディ0のゴルファー。2000年の関東クラブ対抗戦(会場・大利根CC)で東京五日市CC初優勝の原動力にもなった人。

コースのイメージを変えるデザイン

「なにしろ立地条件が厳しい上に、セパレートさせた2グリーンはグリーン・キーパーの素人設計。ワン・グリーンにして、なんとかコースのグレードを上げ、戦略的なコースを実現したかった」という。

……まず、ワン・グリーン化設計の改造テーマから、嶋村さんに説明願います。

嶋村 まず、デザインの見直しで考えたのはパー3ホールには池を採り入れ、個性的で印象に残るものに。パー5ホールはよりダイナミックで戦略性の高いホールにと考えました。
その実例として挙げると、昔からあった名物ホールに南コース6番がありました。別名“二百三高地”と呼ばれる創設以来の難ホールで、ティからグリーンまで40mの打ち上げ。冬場になると打ったボールが戻ってくる。これを改良するにはホールを二分化してパー4とパー3の2ホールにする以外ないと考え、実行しました。355ヤードと132ヤードの2ホールにしたので、40mの登り傾斜に一休み出来る。

……ワン・グリーン化の具体的なサイズは?

嶋村 当初の小寺氏設計の高麗・ベント芝併用のワン・グリーンは平均600〜800平方メートル。だから一つの面積は350〜400平方メートルと小さく、配置も前後に重なったり、極端に離れていました。だから、平均600平方メートルにしたワン・グリーン化改造で、グリーンの輪郭が明確になり、さらに周囲にスペースも生まれ、以前のようにグリーンからこぼれたボールがOBになるようなトラブル・ゾーンがなくなり、リカバリー・ショットが可能になった。

……池の導入でいえば、南コース7番ホール(570ヤード・パー5)の池にはビーチ・バンカーも造った。これは井上誠一流デザイン?

嶋村 パー5ホールの第3打に対応するグリーンですから、ハザードが明瞭になる方が良策だと思います。池に沿った“逆レダン型”グリーンは右奥から左への傾斜で、ピンが右に立つほどハザード越しなって難度も上がります。 でも勾配は2%ほどで、キツイ勾配ではない。勾配の基本的な考え方は“分かりやすく難しい”をテーマにしました。シンプルなスロープライン(大きなうねり)を使い、スネークラインを避けました。グリーン傾斜の面白さと難しさは違うものですから。グリーン毎に適度な難しさを設定して、パットのバリエーションをいかに愉しめるかがゴルフの本質だと思うのです。

……バンカーの考え方は?

嶋村 各グリーンに個性的なガード・バンカーを配し、グリーンとの組み合わせで変化を求めるスタイルです。バンカーとはその位置、大きさ、向きで花道(入口)を教える“道しるべ”となるものだと考えます。

エコな工事の実現とは?

……現場スタッフによる直営プロジェクト、設計家は調整役という斬新な改造計画に、もう一つの方式がありました。それは経済的にも工事費の削減につながる? この改造計画をまとめた小林氏に伺います。都内の建設残土を改造工事に役立てたことについては?

小林 当時、京王線の調布付近の路線を地下トンネル化する工事があり、そこから出る建設残土をコース改造に役立てたのです。

……残土の規模は?

小林 4トントラックで3万台でした。およそ10万〜15立方メートル。これが府中からあきる野までトラック運送するので、近在の住民に説明して理解して頂きました。建設残土の処理問題は大きなテーマでしたから理解されたのだと思います。コースにしてみれば経済的に大きく役立ったのです。総工費約8億円のところ、残土処理での収入が3億にもなったのですから。

……その残土を利用した地形変更の方針については嶋村さんにお願いします。

嶋村 ホール改造は距離の延伸を目的にティを下げる、グリーンの位置移動、ハザードの配置検討など平面的な見直しもありますが、ここでの大きなテーマはホール全体のアップダウン解消でした。例えば、西コース4番ホール(502ヤード・パー5)では谷合の狭いフェアウェイの地盤を残土搬入で6〜8m嵩上げしました。その分、左右の樹木も伐採し、ボールが飛ぶ空間を広げる改修を行いました。ボールのランディング・エリアが見えるフラットなフェアウェイに第一打を打てるようになりました。
また、名物ホールだった南コース6番の急激な登り勾配のフェアウェイにも残土を搬入して、なだらかな傾斜にできたのも残土のお蔭です。これでパー5ホールをパー4とパー3の2ホールに分けることが出来たのです。その分、2番と3番ホールをつなげてパー5ホールにして、パー・バランスを保ちました。

……都内の建設残土もありますが、河川のヘドロ処理もありますね。

嶋村 都内の建設残土やヘドロを、防災施設の整っているゴルフ場で引き受けることは理想に近いと思います。残土を出す側も、引き受ける側も残土搬入は資金捻出の最も有効な手段の一つだと考えます。環境にも配慮出来るし、ゴルフ場の改造工事には一つの明るい材料になるのではないでしょうか?

この取材をした3月6日は、雪のせいで長くクローズしていたコースが久し振りに再開場した日で、平日にも関わらず待ちかねたゴルファーが大勢訪れていた。特に平日だからか、女性ゴルファーが多く、カラフルな厚着のウェアでプレーに興じていた。正会員2,600人のうち、夫婦会員が250組いて、女性会員が全体の2割になるというから賑やかである。都心に近い交通の至便さ、イメージのアップしたコース内容、メンバーも参加した意識の強い改造グリーンで和やかな歓声を上げる女性ゴルファーの姿に、ニュー・グリーンがもたらした東京五日市CCの明るい未来を感じた次第である。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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