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第10回 橋本カントリークラブの巻
 

原設計/ 上田 治

“堂々たるチャンピオンコース”というキャッチフレーズは建設ラッシュ時の会員募集で毎日のように目にした言葉。当時はある種の羨望を持ってゴルファーに支持されていたものだった。
思えば、ウィザード・トーナメントを開催していた頃の橋本カントリークラブが、まさにイメージにマッチしたコースであったといえる。
橋本カントリークラブは名手、上田治氏の設計によって1966年に18ホール(東・中)で開場。翌67年に西コースもオープンし27ホールでの営業となった。
ウィザード・トーナメントはオープンから4年目の70年に第1回を開催し以後78年の第9回まで全国規模の名トーナメントとしてゴルフ業界を賑わせてくれた。第3回では時代の寵児、尾崎将司が優勝。またアーノルド・パーマーら米国のトッププロが参戦した日米ゴルフ対抗の舞台ともなっている。
そのスケールの大きさ、いずれの18ホールの組み合わせでも7,200ヤードを超える距離。その名は関西地区だけでなく全国に知れ渡った。当時メンバー諸兄が“東の大洗、西の橋本”とその難易度の高さを誇示していたのもうなずける。
ただし、オープンから半世紀近くを経てコースの自然状況も変ってきたし、用具、ボールの進化によってゴルフの基本的スタイルも変化している。設計者が当初意図していたトラップやハザードが本来の意をなさなくなっている。現在多くのゴルフコースが共通して抱えている問題は橋本カントリークラブでも切実なものだった。

まずはベントの1グリーン化から始まった

この間の事情を木暮賢一橋本カントリークラブ支配人に聞いてみた。木暮支配人はコース運営を受けた会社からの出向の形。「運営、管理としてコースに入ったのが2011年。その時すでに09年に始まったベント1グリーン化の工事が10年の9月には完了していました」という。
そのベントの1グリーン化は難易度の高さを基本コンセプトに置いていたそうだ。「“橋本”イメージを損なわずに前面に立てたためグリーンの凹凸、起伏がよりきつく施されていました。改造工事、特にグリーンの造成で一番大事なのは、播種する前の段階で施主の希望通りに、或いは図面通りに砂の表面が出来上がっているかのチェックです。2.5%傾斜だったらOKですが、3.5%になってしまうとスロープが急過ぎて、コンディションによってはカップを切れなくなってしまいます。それこそ1%の違いでグリーンの優劣が決ってしまう。1%というと1メートルの距離で高さ1センチの違いですから、それこそ、プロ中のプロの眼で見ないと正確に判定は出来ません。当初の構想通りとはいえ、結果的にとんでもなく難しいグリーンとなってしまった」そうである。
傾斜のきついグリーン。止まったと思ったボールがコロコロ転がって池へ……。そんなメジャー競技で見るようなグリーンが出来上がった。これでは一般ゴルファーはお手上げ。「そんなこともあって状況を見て欲しいという要望から運営を引き受ける前に視察。途中降雨で中断。しばらくして、雨も上がったので見るだけは見ようとコースに出たところグリーンに大きな水溜りが出来ていました……」と支配人。
1時間も前に上がった雨で水が溜ったまま。大きな凹部の水はけがされていない。他のホールでも大きく凹んだ個所には水が溜っていた。これではいかんということで全面的に排水環境を考慮して見直すことになった。
「まずは極端なアンジュレーションの改善を進めました。水溜り原因ともなっていた大きな凹部の改修をしたのです」。もっとも、1時間前に上がった雨が溜ったままというのは別問題だっただけに、スムーズに作業に入れたという。「現場の営業面、管理面も考慮しながら、問題点を一つ一つピックアップして片付けていけます」と木暮支配人。
すでに極端な起伏の8ホールを直し、基本的にグリーンのアンジュレーションを2.5%以下に抑えた。
こんなことも通常の営業に大きく影響する。グリーンの傾斜が強すぎるとカップが切れない。ピンポジションも片寄り、メンテナンス上もプレーの側から見ても面白味に欠ける。難しさとゴルフの味は違う。納得のゆく難しさならば誰も口を挟まない。グリーンの起伏一つをとっても改造の奥深さが感じられる。

原設計者のテイストをどう残し、どう生かすか?

改造のポイントはグリーンだけではなかった。原設計者のテイストを損うことなく、いかに現代にアジャストしていくか。またコースは生き物。樹木も大きく育っている。当初のイメージとは異った状況になっているのをどう手直ししていくか。
「ベントの1グリーン化をした年の夏、多くのグリーンが灼けてしまいました。原因を調べてみると、意外にもグリーン周りの樹影が濃すぎたことが理由だと分かりました。あまりに茂ってしまって空気が通らない。
熱い気がグリーンを被って灼けたわけでした。そこで鬱蒼とした林を間伐し、枝を払って風通しを良くしたところ、状態は改善しました」
素人目には繁茂した樹林の方が涼し気だが、意外な一面。コースでは積極的に間伐、枝払いを行っている。
「ティ周りの樹も小マメに枝を払い見通しを良くする。東の5番などは枝を払うことによって眼前の池が迫り、視覚的に広々となって豪快な景観を取り戻したと思います」と支配人。
距離においても、全ホールで6カ所のティを設け、レベルに応じたプレーが楽しめるという。
「フルバックからレディスまで7,100ヤード〜5,200ヤードまで対応しています。レディスティを新設した一方で、西の9番で187ヤードのフルバックを新設しました」と、“距離”橋本のイメージを損うことなく楽しめるものになっている。
「“強きをくじき弱きを助ける”という基本理念を大切にしたいと思い、打ち上げホールの手前の見えないバンカーなどは極力抑えました。また220〜230ヤード地点のバンカーも、現在となってみれば、上級者にとってトラップとしての意味はなくなっていますし、逆にアベレージクラスがナイスショットすると入ってしまう……」
これでは弱い者いじめだ。
「これらのバンカーを20〜 30ヤード先に移したいわけです。上田さんの作ったバンカーをそのままの形で移す。今の土木技術なら可能でしょう」
なるほど将来が楽しみだが、とりあえずランディングエリアの改造。場外球出し防止策のOB止めのバンカーの設置……。なるほど弱きを助けてくれるわけだ。
「来年度(2015年)の冬にはこういうバンカー変更を西の3、5、7蕃ホールで試みます。冬場に9ホールをクローズして東、中、西の順で徐々に取り組んでいく」という支配人。
数年後にプロトーナメントを計画しているという橋本≠フ取組がどのように我々の目に現れるか注目される。

(文責・井口紳)

 

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