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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 Mar. 協力:一季出版(株)
第9回 霞ヶ関カンツリー倶楽部・西コースの巻
 

原設計/ 井上誠一
改造設計/ 川田太三

2020年、東京オリンピックのゴルフ競技開催が決定した霞ヶ関カンツリー倶楽部は国際試合のカナダ・カップ(現ワールド・カップ)を開催したことで、「日本に霞ヶ関CCあり」を世界に印象づけた。その結果、1929年開場の東コースに次いで3年後に西コースが開場、当時としては初めての36ホールを擁するクラブでありながら、人気は東コースに集中して時代は経過した。
西コースの造成は藤田欽哉キャプテンのもとで当時23歳の井上誠一氏が現場を指揮した。ただ井上氏が本領を発揮したのは、独り立ちして大洗GCや西宮CCを手掛けていた頃の戦後の大きな改造設計だった。1954年、今の野戸池周辺の土地を駆使して8ホールを新設した。平坦な地形の中に、池や小川のハザードを採り入れた12番(パー4)、13番(パー5)と16番(パー3)はまさに“ウォーター・カムズ・イン・プレー”の戦略で、画期的なホール・レイアウトとなりイン・コースの山場を演出した。
そして、1986年、東コースの本グリーンをベント芝に改修したのが評判を呼び、ますます東コースの評価が高まった。「それなら西コースも」という声があがり、本グリーンのベント芝化、いずれはワン・グリーン化へと時代の流れが生まれ、1991年に改造案が承認され、2年後に着工、10カ月で本グリーンをベント芝化した。そして、残したサブ・グリーンはそのまま使用を続け、1998年にサブを撤去、跡地を整備し、植栽を施して改造は完了する。その間、会員の意見を集約し、営業しながらの改造工事は10年以上の歳月をかけるものだった。メンバーでありコース設計家でもあった川田太三氏が改造設計の先頭に立ったのは米国初期の名門クラブでもよくある例で、ボランティアでの関与は当然であった。
井上誠一設計のテイストを残しながら、グリーン・サイズも平均325平方メートルから550平方メートルに拡大、ホールの中央にあるように見せる工夫を含めて、現代的なニュー・グリーンに仕上がった。その効果は2006年に行われた日本オープン選手権(P.シーハン優勝)のゲームの盛り上がりからも想像がつく。 いまや東西2コースの人気は二分され、オリンピック招致にも役立ったはずである。そこで、川田氏に時代にマッチしたニュー・グリーンの考え方、改造設計の経緯について訊いてみた。

9番アイアンでも載せ難いグリーンとは?

……ワン・グリーン化設計のテーマは?

川田 最初に約束したことは西コースのグリーンの特徴を残すこと。昔から、西コースの難しさはグリーンを狙うショットでは9番アイアンでも載せ難いこと。グリーンが小さいサイズだったこともあるが、ハザードが前後にくる。東コースのハザードが左右にあるのに比べてそれが特徴だと思う。つまり、正確な距離をジャッジして、正しいスピンの球質を打たないと狙い通りにボールはグリーンに載ってくれない。東コースが左右、つまり方向のコントロールを要求しているのに対して、西コースは前後のコントロール、つまり距離感の正確さを要求しているのです。

……それは距離を長く採れない地形の制約と関係する?

川田 その通り。ゴルフの命題、距離と方向のコントロールで、ボールをどこに止めるか?の重要性を問うていると考えたのです。

……それが井上誠一設計の特徴だった?

川田 それは私の判断で、井上氏の時代と現代では世界の趨勢の情報量が大きく違いますから、私なりに現代のゴルフに対応したニュー・グリーンを模索した結果でしょう。

……具体的に言うと?

川田 サイズを大きくして、ホールの中央に見える工夫と、グリーン上のアンジュレーションについては高麗芝時代の勾配を基本にしているが、そのホールの戦略性、ボールの転がりの違いを考慮して、3%までの傾斜にとどめた。西洋芝の速さでも4箇所以上のピン・エリアを確保するためでした。

……2番と5番ホールはどちらも“ドライブ&ピッチ”の短いパー4で似ているのに戦略性が違う。

川田 どちらもグリーン前に深いバンカーで、グリーンへの入口が左手前なので、勾配で差をつけた。2番は奥から手前エッジまで30ヤードの奥行きに70cmの受け勾配、5番は左が高く、右が低くなる傾斜で、36ヤード幅に80cmの高低差と方向を変えることで、バラエティを出せた。

……クラブ・ハウスの位置が変わったことで生まれた新しい9番ホールは?

川田 これまで見えなかった弁天池と調整池の間にフェアウェイを置き、グリーンを新設した。形の良い松の木を残し、左から右奥に横たわる長いグリーンになり、42ヤードに高低差100cmですから2.5%の傾斜になり、右奥に行けば行くほど傾斜が強くなる。アウト9ホールの最後に変化あるホールが実現した。

パットの名手が外すラインを生む

……井上誠一設計のグリーンは受けた傾斜にマウンドで変化を出す設計だった。そこへ川田氏のグリーンは新しさを出した?

川田 ピンの位置がどこにあってもグリーンの右半分に乗れば左曲り、左なら右曲りではパターン化してしまう。“パットはもう一つ別なゲーム”ですから、中凸や溝のあるグリーン傾斜も考えました。

……その意味で、17番グリーンはかつての西コースにない新しい形になった?

川田 これは改造前のグリーンが右に寄り過ぎていたので左に拡大し、グリーン面を1m上げて砲台にした。その結果、以前グリーンの左にあったバンカーが正面に来て、深い形になったのでここでは珍しい花道が左右2本あるアプローチになった。正式には右からが入口で、左奥に向かって凹状の受け傾斜になる。結果的にこれまでの東西2コースになかったホールになったが、違和感はないと思う。
総じてグリーンへの入口は正面にはなく、左右に振られている。入口からのアプローチは受け傾斜になり、寄せやすくなるはずです。

……グリーンの入口を知って攻めると戦略の組み立てが可能になる?

川田 入口以外のエリアからピンを狙うアプローチは極端に難しくなるはずです。寄ることがあってもそれはラッキーの部類でしょう。

……ベント芝のグリーン傾斜を3%以内にする発想はどう生まれたのか?

川田 個人的な判断で、パットの名手にラインを2〜3cm外させることが出来れば良いと考えます。それには人間の知覚能力で限界に近い3%以内の勾配で良いのではと思うのです。ジェットコースターのように大きく曲がるラインはその時だけは醍醐味があっても飽きられるのではないでしょうか。曲がりそうで曲がらない、ストレートに見えて微妙に曲がる……それがパットの面白さではないでしょうか。
ゴルフ・コースはプレーヤーの技量を写す鏡で、その人の技量をスコアという数字に置き換える場所。技量を正しく反映する戦略性がグリーンにも必要なのです。

霞ヶ関CC西コースはニュー・グリーンが誕生して長いクラブ史に新たなページを加えることになった。2020年のオリンピックでゴルフ競技がどんな形で行われるか定かではないが、世界のゴルファーにお披露目する機会であることに間違いはないだろう。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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