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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2014 Feb. 協力:一季出版(株)
第8回 東京ゴルフ倶楽部の巻
 

原設計/ 大谷光明
改造設計/ ギル・ハンス

東京ゴルフ倶楽部は2013年、創設100周年を迎えた伝統ある日本の名門コース。所在地は東京・駒沢から埼玉・朝霞、そして狭山へと三遷した。
現在のコースは会員だった大谷光明の設計で、グリーンは1940年代半ば、井上誠一による“知々夫”グリーンの追加で2グリーン制となった。
2009年、2グリーンのうち片方のグリーンの大幅改造を行い、米国人設計家、ギル・ハンス(1963〜)の設計で2010年10月にプレーを再開した。改造後“ニュー・グリーン”は6,915ヤード、コース・レートは74.1になっている。
G.ハンスはコーネル大の大学院で造園・設計を学び、奨学金でスコットランドへリンクス巡礼し、英国のコース設計事務所・ホートリー社(親子三代の設計事務所、1912年設立)で研修した。欧米で活躍したハリー・コルト(1861〜1952)の設計コースを研究、キャッスル・スチュアートGLやラスチック・キャニオンGCなど英米で活躍、2016年リオのオリンピックでゴルフ競技の会場になるコースの設計を担当する第一人者である。
東京GCでは、コルトのパートナーだったアリソン設計の影響を受けた大谷光明設計のオリジナル設計図面に忠実なグリーン造形を手掛けたと言っている。

Q1. G.ハンスのニュー・グリーンの全体的印象は?オールド・グリーンを残したままのグリーン改造については?

〈武居振一・協力会員〉
現代の飛距離、技術にマッチしたグリーンになった。残念なのは2グリーンのままにしたこと。

〈佐藤謙太郎・副理事長〉
2グリーンのままの改造は全体のバランスが悪い。アリソン設計の廣野GCに比べて、大谷設計の砲台グリーンが低くなり、転がってボールが乗る易しいグリーンになった。グリーン奥の高さはボールを止まりやすくするためか?

〈辻村寛・協力会員〉
G.ハンスの任された改造設計はグリーンのみで、コース全体に責任はない。ニュー・グリーンは砲台式を低くして、長いクラブでもボールを止めやすくした。例えば、11番ホールはバンカー越えの砲台グリーンを三分の一程度下げ、その代わりにアンジュレーションを強くした。全体に、乗せやすくなったが、パットはポテトチップスの多い起伏で、難しい。つまり、「ショット・バリューを下げ、パット・バリューを上げた」と言えると思う。

Q2. G.ハンスは2グリーンから改造グリーンをどちらかに選択した。サブ・グリーンを選んだのは3、4、6、8、14、18番の6ホール。全体としては左グリーンが9ホール、右が9ホールになったが、このバランスを取る配慮についての意見は?

〈中嶋隆雄・協力会員〉
バランスはとれているが、第2打でドロー系の球筋が有利なホールが多い印象だった。

〈武居振一〉
左右のグリーン選択はフェアウェイのルートがグリーンに対して真っ直ぐにならない方を選んだと思う。

〈辻村寛〉
例えば、3番は大谷の“朝霞”グリーンを選んだ。高い位置のグリーン左にのみバンカーを置き、攻めてくるショットには難しいレイアウトになった。道具の進化に対して有効な形になったと思う。5番の改造も同じ趣旨だと思う。……ちなみに2013年日本アマ選手権では全国のトップ・アマが挑戦した。パー5を4にした(全体でパー70)この3番ホールが予選2ラウンド目で、難度が一番であった。予選通過のスコアは2オーバーの142、メダリストは5アンダーだった。

Q3. アウト5番、585ヤードの右グリーンは大掛かりな改造になり、池を埋め、斜め縦長のバンカーの寄り添うグリーンになった。アプローチ・エリアを広くしたグリーン周囲の造形については?

〈中嶋隆雄〉
池を埋め、アプローチ・エリアを広くした意図は良いが、第2打を刻むルートにはターゲットが広く、ぼやけた印象があった。
同じパー5の15番も奥に下げたニュー・グリーンは2オン可能な割にハザードがなく、少し物足りない印象だった。

Q4. 大谷光明オリジナルの戦略性は残った?日本の名門コースに相応しいニュー・グリーンになったと思うか?

〈武居振一〉
全体に大谷オリジナルに改良を加えて改造すべきではないか。ニュー・グリーンの配置だけでは妙味が薄いと思う。改造の価値ある歴史的コースは起伏と造形の変化で生まれ変わるので、古い英米の名門はその努力を怠っていない。もう少し大胆な改造設計を望みたいと思う。

〈辻村寛〉
残念ながらニュー・グリーンは他の部分と統一がとれていない。ある会員の意見として「G.ハンス設計はモネの絵にピカソが修復したようだ」と言ったが、同じ意見だ。

Q5. G.ハンスは、15番パー5ホールのフェアウェイ真ん中のクロス・バンカーが、大谷オリジナルでは左右にフェアウェイを用意する2ウェイだったのを知り、復活させたかったらしい。クラブ側はグリーンのみの予算を理由に実現させなかった。この決断は?

〈武居振一〉
今は林の左側にティ・ショットを打ち込んだジャンボ尾崎選手がバンカーへ第2打を出すだけでパーを獲った日本オープンを覚えている。2オン可能なパー5ホールだけに大谷オリジナルを復活させても良かったのでは? いろいろなオプション(選択)可能なホール内容にして欲しかった。

Q6. G.ハンスは大谷設計の2番ホールを絶賛した。第1打で越すか、左に逃げるかの選択を迫る斜めのクロス・バンカーが効果的だからとか。

〈佐藤謙太郎〉
設計家はティに立ってホールを見てイメージを膨らませるもの。グリーンに至るルートについても、18ホールがすべて違って見える工夫をする。グリーンへの景色が同じ顔になることを避けたい心理があるはず。グリーンへの入口が正面ではなく、左右に振られるのもそのせいである。G.ハンスも18ホールのニュー・グリーンについても同じ発想だったのでは?
だから、2グリーンのままの改造設計はG.ハンスのニュー・グリーンが良い線を行っているだけに勿体ない印象だ。2グリーンを残すクラブ側の意向は日本人の固定観念と昔からのコース観に根ざしたものなのだろう。
……日本の古い伝統あるコースは英米のコース設計家に設計を委託して来た。廣野GCがC.H.アリソンであったように、東京GCも駒沢Cはブレディ&コルチェスター、朝霞Cがアリソンというように。現在のコースは秩父コースとの合併だったため大谷光明設計だが、ニュー・グリーンの新設にG.ハンスを起用したのはクラブの伝統に従ったこととも考えられる。
彼がハリー・コルトの設計を愛し、リンクス風グリーンに仕上げたことは東京GCにとって幸いであったと言えるだろう。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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