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ウォーキングゴルフのすすめ
日本ゴルフコース設計者協会
監事 戸張 捷
 

ご存じのように、米誌『ゴルフマガジン』が選ぶ、いわゆる「世界のゴルフコース、ベスト100」には、日本からは廣野、東京、鳴尾と並んで、毎回、川奈ホテルの富士コースが選ばれている。
同コースは6,691ヤード(パー72)で、現在のチャンピオンシップコースに比べると距離は短い。そのうえアップダウンがきつく、乗用カートでのプレーではないため、上級者にも敬遠するゴルファーがいるそうだ。
しかし、アメリカなど海外から来たゴルフ関係者やゴルフ好きを連れて行くと、例外なく感激し、1日楽しそうにプレーしていく。川奈の面白さは、歩いてこそ味わえるものである。
いうまでもなく、ゴルフは元来歩いてプレーするウォーキング・ゲームである。乗用カートプレーが主流のアメリカでも、20年も前からウォーキングは見直され、ガイドブックには、ウォーキングが可能なことが一目でわかるマークを付けたり、ウォーキングのコースを高く評価するものがある。
また、クラブのなかにはメンバーが「ウォーキングクラブ」を作って、「同好の仲間」を増やす動きもある。
アメリカの場合は「健康のため」という目的もあるようだが、ゴルフには本来、歩いてプレーするから味わえる面白さ、喜びがある。それは周りの自然を感じることであったり、同伴プレーヤーとの語らい、歩きながらひとり思索する時間、あるいは全身の快い疲れであったりする。
また、プレーの上達にもつながるように思う。歩いてプレーすることにより、その日の風の向きや強さ、空気の重さ、地面の硬さなどをより的確に知ることができる。ボールのライの微妙な傾斜も、そこまで歩いて行く過程があるから、より知覚しやすいはずだ。
ゴルフとは自然を相手に戦うゲームである。その自然は、その中を歩くことによって知らず知らずのうちに何かしら察知したり、深く記憶にとどめることができるのである。

バンドン・デューンズの魅力のひとつ

アメリカ・オレゴン州、ポートランドから空路1時間ほどの距離にノースベンドという小さな町がある。1999年、その町の郊外、太平洋を望む海岸沿いに、バンドン・デューンズ・ゴルフリゾートというパブリックコースが誕生した。そこは今や、全米はおろか、世界中から多くのゴルファーが集まる人気コースになっている。
同リゾートには現在、バンドン・デューンズ(設計:デビッド・マクレイ・キッド)、パシフィック・デューンズ(設計:トム・ドーク)、バンドン・トレイルズ(設計:ビル・クア&ベン・クレンショウ)、そして今年オープンしたオールド・マクドナルド(設計:トム・ドーク&ジム・ウルビーナ)の4コースがある。そして、アメリカのパブリックコースには珍しくすべてウォーキングが基本だ。
1994年、オーナーのマーク・カイザーがゴルフ場を計画するにあたり、デビッド・マクレイ・キッドという当時24歳の若い設計家の才能に惚れ込み、設計を依頼した。
それに対してキッドは、カイザーが望むスコットランドの伝統的なリンクスを再現させたいのであれば、周囲に別荘地を造らないこと、大きなクラブハウスは建てないこと、そして乗用カートを使わないこと、という条件を提示したそうだ。
その結果、バンドン・デューンズはウォーキングのパブリックコースとして誕生。そして、開業するや、メディアや専門家から高い評価を受け(前記ゴルフマガジン誌の「世界のベストコース」では、直近の昨年ランキングでパシフィック・デューンズが16位、バンドン・デューンズが58位。オールド・マクドナルドも間もなくランクインすると思われる)、その評判が評判を呼んで今日の人気コースとなった。
それは、まさにここがウォーキングゴルフの面白さを実感させるコースだからに違いない。

歩きのプレーでこその触れ合い

数年前、私もまったくのビギナーゴルファーの女房と一緒に、同所のロッジに泊ってプレーを楽しんだ。 当日、スタート小屋に行くと、多くのキャディが控えていた。ここの基本はいわゆる1バッグ制。各プレーヤーにキャディが付き、キャディはバッグを担いでラウンドする。聞くところによれば、百数十人のキャディがいるという。それぞれ、一応プロキャディなのだが、この仕事でお金を貯めて、また大学に戻るとか、弁護士になるための勉強をしながら働いている、という人が多いそうだ。
プレーヤーは各々キャディと相談しつつプレーを進める。歩きながら一緒に残りのヤーデージを測り、使用クラブを選択し、狙う方向を決める。グリーンに乗れば、ともにラインを読む。
場所によっては、キャディからここ独特の風の影響を教えられる。そして、いいショットが出れば、「グッドショット!」の声がかかる。ミスしても「大丈夫!」と元気づけてくれる。そうしたキャディの心遣いがありがたい。
プレーの間、コース上を歩いているときは、お互いのお国事情を聞いたり、日常生活のことを語り合った。
この日、私は女房とともにバンドン・デューンズと、パシフィック・デューンズの計36ホールスをプレーした。女房にとっては生涯初の1日36ホールスであった。だが、彼女は疲れよりも楽しさでいっぱいのゴルフだったと言っていた。それは乗用カートではなく、歩きのラウンドだったからに違いない。
プレーを終え、ロッジに戻った。陽が太平洋に沈みかける頃、コースを見渡すと、黄金色に輝くコースの上にリンクス独特の起伏が長い影となって伸びていた。それは何とも幻想的な風景だった。大海原、沈みゆく夕陽、夕焼け空、そしてリンクス。それらが刻一刻と色調を変えていく様に、時の経つのを忘れてしばらく見入った。
我に帰ると、体には2ラウンド歩いた心地よい疲労感と充実感が……。それは何とも言えない至福の時だった。

ウォーキングの面白さと価値を伝える

日本ではバブル崩壊以降、もう10年以上にわたって、乗用カートに移行するコースが増えている。もともとは省力化やコスト削減、低料金化のための導入だった。それが最近は、若い人を中心に「歩き」が敬遠されるから乗用カートにするコースがあるそうだ。
考えてみれば、若いゴルファーには、ゴルフを始めたときからもっぱら乗用カートでプレーという人が少なくないのだろう。彼らはウォーキングゴルフの面白さを教えられなかったのだ。
しかし、前述したように、ゴルフにはウォーキングによってしか味わえない面白さ、喜びがあり、同伴プレーヤーとの楽しい語らいがある。
確かに乗用カートプレーのほうが、特にアップダウンのあるコースでは疲れが少なくて済む。何かと楽である。だが、ゴルフの故郷スコットランドのゴルファーたちは、リンクスに風が吹き始めると、「よし、面白くなってきた」とスタートする。
ゴルフにとって「快適さ」はどれほどの意味があるのだろう。ゴルフに限らず、人間が「効率」や「楽(快適さ)」を追求すると、同時に失う価値も大きい。
ゴルフに携わるものとして、いまこそウォーキングゴルフの面白さや価値を再認識させる努力をすべき時かも知れない。

 

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