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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2009 Apr. 協力:一季出版(株)
日本ゴルフコース設計者協会特別座談会
ゴルフ場コース改造のすすめ(3)設計者が果たすべき役割と支援
司会・理事長 佐藤  毅
理 事 佐藤謙太郎
理 事 嶋村 唯史
理 事 倉上 俊治
理 事 戸張  捷
 

関与した設計者全員を明記する欧米の倶楽部

佐藤(毅) これまでコース改造の必然性について話し合ってきましたが、では実際に改造をする場合、改造設計者と原設計者との関係、つまり名義表示などの問題が出てきます。日本の場合、原設計者だけ表示されるケースが多いですね。

戸張 改造設計者の評価の問題でもありますが、真のメッセージを伝えていくためにも、改造設計者の名前はきちんと出していくことが必要です。欧米ではオリジナルの設計家がいて、その後いくつかの改造が行われたとすると、ゴルフ場側は誰が元々のコースを設計し誰が改造したのか、そこに少しでも携わった人の名前は必ず公表します。それは依頼したゴルフ場側の責任であり、設計者に対する礼儀でもあるはずです。私もトーナメント中継でのコース紹介や、リリース用資料の中にきちんと明記すべきだと言ってきましたが書かれることは少ないですね。ただ、オーガスタなどは、倶楽部の信念として設計者はあくまでボビー・ジョーンズとマッケンジーだけと考えているようです。

佐藤(毅) 設計者の明記がコースの評価にも影響する。それは各種のコースランキングにも現れているように思います。

戸張 アメリカのゴルフ誌がベスト100を発表していますが、ちょっと寂しいのは日本は古いコースしか選ばれないことです。それは海外のパネリスト(選者)が新しいコースを見る機会がないからであり、外国に対して日本の最新情報の発信も含め、交流すらしていないからだと思います。

佐藤(謙) 本当の意味での日本の100選というものをぜひ作って欲しいのですが、なかなかそれが出来ない。多くはトーナメント開催コースや、行きたいところが選ばれる。でも、もっといいコースはいっぱいあるのですけどね。

嶋村 ダイヤモンド誌のランキングでは、今まで行きたいゴルフ場が選考基準となっていたので、一般の人があまり行けない廣野とか東京GCが上位に入っていました。今回は自分たちがプレーして良かったゴルフ場とか個人の印象をポイントにした企画が組まれ、色んなジャンルが入ってきた。これでもゴルフコースの掘り起こしが始まった感じはしますが、日本の場合、やはり話題性と興味本位で選ばれてしまう。コースを評価するという視点が根本的に違うのです。アメリカでは30年以上の歴史を持つゴルフマガジン誌のランキングに選ばれることは名誉であり、クラブとしてのステータスも認められることにもなるわけです。

戸張 ダイヤモンド誌もそうですが、コースのハードをきちんと評価するという、そういう視点に欠けているのではないでしょうか。

佐藤(謙) やはり審査する人が、バラバラでは話になりません。

嶋村 アメリカの場合は、パネリストは幅広くゴルフ界のために貢献している100名ほどの有識者が選ばれていますね。日本ではどうなのでしょう。

佐藤(毅) そう考えてみると設計者協会もきちんとした判断基準を持たなければなりませんね。

戸張 元理事長の故・金田武明さんも、そう思っていたようです。協会設立者の1人としてそういう夢を持っていたのではないですか。

倉上 やはり日本全国、幅広く、うずもれたゴルフ場の再発見と評価の見直しが必要な時期に来ていると思います。

佐藤(毅) 知名度やトーナメントコースというだけではなくてですね。新しい改造で大きくデザインが変わった場合、古い評価基準は適用できませんからね。

コース改造の内容説明はプレゼンテーションが主流

佐藤(毅) ところで日本ではコースの新設はほとんどありませんが、外国、特に新設ラッシュのアジア地区での設計活動の現状はどうなっていますか。

佐藤(謙) 日本では法律などで厳しい条件が付けられることが多いですが、アジア地区ではいろんな意味で自由に土地を利用することができます。もちろん全く規制がないわけではありませんが、地域計画としてのマスタープラン(基本計画)が重要視されます。防災優先の調整池も必要ないし、トータル的にゴルフコースを優先したデザインができるのです。オーナーも契約したら設計者にすべて任せ、あとは口を出さない。そうすると当然、我々も自信と責任もってやらなきゃいけない。けれどその後、出来たものに対しては評価・批判も含め、大きな反響が出ます。改造の場合、当然だと思いますが、私が言いたいのは、そういう自由なキャンバスを与えてくれるのは、海外のほうが多いということです。日本のゴルフ場全体の意識レベルを考えたとき、発注者であるオーナーの資質の違いを感じることが多く、そこに問題があるとも言うことができます。

戸張 僕のアメリカの友達にブライアン・シルバーという設計家がいて、結構著名なコースの改造を手がけています。彼によると過去75コースを改造したが、その度にプレゼンテーションをして、変更も含め数回の調整をするという。それで今まで1回のプレゼンでOKになったことが1件だけあるが、残る74件は1回でOKになったことはない。だけど2回3回と色んなやり取りやって、関係したスタッフ同士のコンセンサスも得て初めてスタートする、という話をしていました。

佐藤(謙) やっぱり海外で多く直面するのは、コンペティションですね。最近では、韓国のプロジェクトとよくプランニングでぶつかります。また日本では福島のコースを設計したドナルド・フリームなども、やはりプレゼンがうまい。さらにネゴシエーションも巧みですよ。このようにコーディネーターには、プレゼンテーション能力がなければならないのです。

嶋村 25年前、ローバート・トレントジョーンズJr.に聞いた話では、アメリカの設計者はコース設計業をコンサルビジネスと考えていますから、売り込み手段も営業戦略の一つとなっています。

戸張 彼らのすごいのは、自分が出た雑誌の切抜きなどをホームページに全部載せ「僕を使いたければホームページをチェックしてくれ」と。アクセスすると今までの実績が全て出てくる。

佐藤(謙) 日本では名乗ればT設計者_になりますが、アメリカやイギリスではコース設計家の立場が確立されているので経歴に対する評価はかなり厳格です。アピール欄に有名なモンゴメリーとかニック・ファルドなどの一流プロの推薦文まで付いている。また意外な話ですが、トーナメントをやったのかとかいうふうに飛躍していくことが結構ありました。実績評価ですね。ですからいろんな意味で設計者の評価基準の一つに、宣伝の媒体としての位置づけがあると思います。まさにオーナー次第で評価と期待度が違ってきます。

異質な改造に違和感も コンセプト継承こそ大事

佐藤(毅) アメリカではコースの見直しのためにたっぷり時間をかけ、しっかり議論をするということですが、日本では我々設計者がこういう内容でと提案しても、オーナーやクラブサイドから反対されることが多々あります。では日本の場合は、改造の方針決定・計画の策定、設計者の選定などはどうなっているのでしょうか。

戸張 日本の倶楽部の場合、経営者やオーナーがいても、一応理事会やコース委員会でいろいろ課題を検討します。しかし委員といっても他のコースに対する知識、情報、技術レベルの分析・判断能力を持っている人は少なく、序列的に就任している人が多い。ゴルフの基本的知識を持たないと自分の技術レベルの範囲内で考えてしまうため、その改造がクラブやゴルフ界にとってどういう意味を持つかというところまで思考が広がらないのです。

嶋村 戸張さんの言われる通り、発注者側の資質の問題もありますが、コース設計家自身も変わる時代にきたのではないかと思います。コース改造の理由はいままで話してきた通りですが、一番の問題はやはり資金計画だと思います。捻出された予算で、短期計画なのか中期で行うのか、いかに効率的かつ有効にコースのグレードアップをはかるか。そのために選ばれた設計者はオーナー側とのコンセンサスを得るため、より一層の努力と能力が要求されます。

戸張 それには、まずプレゼンテーション能力でしょう。結構向こうの設計者は、そのクラブの担当者や理事と数多く意見交換をやっていますよ。設計者協会も設計者としての考えを具体的に発信して、幅広くゴルフ場の要望に対応できる体質を作ることが必要ですね。

倉上 アリソンの設計コースも、やっぱり少しずつ変わっています。最近、名設計家の赤星兄弟のコースを見て、昔と比べ全く異質のグリーンの配置になっていたコースがありました。新しいコンセプトを導入したのかもしれませんが、形やバンカーのセッティングを必要以上に変えたため、全く違った感じを受けました。評価は別にして私としては、設計者のコンセプトが大きく変わることは少し寂しい気がしました。

佐藤(謙) やはり赤星さんのコースで、ニクラウス風のポテトチップスグリーンに改修したところがありましたね。内容には今のところ賛否両論があるようですが。

嶋村 そこのメンバーの話では、バンカーデザインも大きく変えたようですね。現状復元かニューデザインの導入か、まずオリジナルコンセプトの継承方法をしっかり決めることが重要です。コンセプト自体は普遍ですから、形状は変えてもいい。あとはデザイナーのプレゼンの問題です。

戸張 必要ならば他の設計者と競争やコンペをして、コース側が選んだ設計者のプレゼンテーションをきっちり受け、コースの改造計画を立てればそんな大きな間違いはないはずです。仮にコンセプトを変える場合は、設計者は徹底的に時間をかけ、その重要性ゆえに、しっかりコンセンサスを得るための努力をすべきです。あとで受ける評価の良し悪しは倶楽部側と設計者の共同責任です。

協会を改造相談窓口に 手引書の制作も必要

佐藤(毅) 現実に改造を計画しているゴルフ場で、内部に抵抗があり全体のコンセンサスがなかなか得られない場合、設計者としてプレゼンテーションを含めた適切なアドバイスが必要だと思います。

佐藤(謙) 協会が改造のプレゼンの実例をまとめたものを作って情報としてゴルフ界に発信する。例えばゴルフコースの改造コンセプトというのは、個々の設計者によってこのように幅広くかつ、いろいろな考え方があるというように。それらを一つの実例集として発表することも可能だと思います。

嶋村 今、規模は別にして改造を考えているゴルフ場は多いと思います。しかし、何から手をつけどう進めていくか、大規模に改造した場合の費用や設計料はいくらかなど、多くの悩みがあると思います。当然このような要望に対するデーター提供、相談は当協会でできますよね。場合によってはコーディネーターとして設計者の推薦もできる。そこが今後の協会の活動のキーポイントでもあり、役割ではないかと思います。

戸張 具体的には、協会としての改造依頼に対する対応方法としては、二つの方法があると思います。協会で受けて会員の希望をとってコーディネーターとして正会員を推薦するか、今までどおり個人の立場で各ゴルフ場とコンタクトしてそれを取っていくかです。

嶋村 仮に、協会で対応する場合は、とりあえず会員が現地調査をしコースを見て、依頼内容に対しポイントを示しアドバイスをしてあげるべきです。我々の役割はただ改造を勧めるのではなく、まず依頼者の相談に乗ってあげることからスタートすべきでしょう。

佐藤(謙) 実際に行おうとする改造全体のコンセプトの説明書を、協会から出したらどうでしょうか。「改造の基本」は出しましたが、次のテーマとして改造の概念、つまりコンセプトがいかに大事かを説明する。コース設計者の目から見た「手引き書」を作ってやれば、明確なコンセプトのないコースに対するコンセプト作りの手伝いにもなり、コースデザインの再認識もできるはずです。

佐藤(毅) 考えればいろいろなアイデアがありますね。そういうものをどう作ればいいか迷っているゴルフ場も多いと思います。

嶋村 コースコンセプトのないゴルフ場は考えられません。運営方針やシステムとは根本的に違います。自分たちのコースはどうあるべきかということですね。

佐藤(謙) 設計者協会が改造のプレゼンを提案する。相談を受けたゴルフ場を視察し、アドバイスしてあげるのも一つの方法ですよ。

佐藤(毅) そういうものを作って協会から発信できるように、次なるステップとしてその辺も用意していきたいですね。

原設計者と改造設計者の関係 コンセプトの継承こそが課題

戸張 この間、僕のところにあるメールが来ました。僕がかつて関係していたあるゴルフ場の改造設計の依頼を受けたという、挨拶の内容でした。そこで喜んで、どうぞ思いっきりやってくださいとメール返しましたが、そういう信義が守られれば私は特に問題はないと思います。前任者に対する礼儀ですね。人間としてなんとなく任せても良い気持ちになります。

嶋村 設計者としての礼儀は大切だと思います。井上誠一さんも生前、大阪の茨木CCの改造の時に、前設計者である大谷光明さんに挨拶に行ったら「お前なら良い」と言われて自信持って改造に専念出来たと言っていました。そこに人の作品を大事にするという設計者の姿勢と、前任者との間に無言の信頼関係が生まれ、コースの形が変わっても源流であるコンセプトは継承されていくのだと思います。

戸張 マスコミもトーナメントや技術、用具のことは報道しますが、選手が活躍するフィールド、つまり一番大事なゴルフコースという舞台についての報道がない。開催コースの伝統や他のコースとのデザインの違い、特徴などをきちん取材して正確に報道できるよう、人材を育てたらどうかと思っています。当然僕らも応援しますよ。

嶋村 先日、ゴルフ史家の大塚和徳さんから聞いた話ですが、オーガスタの設計者として知られるドクター・マッケンジーの設計コースのイギリス、アイルランド、アメリカ、オーストラリアのクラブが、マッケンジー・ソサエティを結成しているそうです。イギリスの処女作品オーウッドリーとアメリカのパサティエンポを中心にサイプレスポイント、ロイヤル・メルボルンなど有名なクラブが入っています。会の目的は互いに親睦を保ちながら、マッケンジーの設計思想を正しく後世に伝えようというもので、毎年何れかのコースでゴルフ競技を行っています。この会の最初の仕事は各クラブがコース誕生以来の年月の中で崩されたマッケンジーの原型に復元するというものでした。オーウッドリーではこの方針に従って60年代に植えられた約500本の木を伐採し、グリーンの形状や起伏を元に戻しています。他のクラブも同様で、いかに名設計家の作品を大事にしているかが分かります。同様のソサエティはイギリスのジェームス・ブレイド、ハーバード・ファウラーという名設計家のコースでも作られています。日本でも大谷光明、赤星六郎、井上誠一等の名設計家のコースで同様の動きがあってもよいのではないかと。

佐藤(毅) 予定の時間が近くなりました。この座談会は、日本のゴルフコースをもっとよくしようという設計者同士の発言、発想の中から生まれた企画です。今回初めて開催されましたが、その中で出されたいくつかの提案は、協会としていろんな場面で発信していかなければなりません。私たち設計者は日本のゴルフ界発展のために、これからも一生懸命努力していかなければならないと考えています。本日お集まりの皆様にも一層のご協力をお願い申し上げ、座談会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 

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