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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2009 Feb. 協力:一季出版(株)
日本ゴルフコース設計者協会特別座談会
ゴルフ場コース改造のすすめ(1)改造は世界的流れ
司会・理事長 佐藤  毅
理 事 佐藤謙太郎
理 事 嶋村 唯史
理 事 倉上 俊治
理 事 戸張  捷
 

改造に積極的なアメリカ 全米オープンは徹底改造

佐藤(毅) ここ数年、わが国でもゴルフ場のコース改造が増えつつあります。改造はわが国に限らず、世界の流れともいえ、その広がりは世界に及んでいるといった傾向にあるようです。これから国内でもコース改造が盛んになると思われますが、今日は「コース改造のススメ」をテーマに、設計者の立場からコース改造について様々な観点から議論を交わしていただこうと座談会を企画しました。 諸外国の中でも特にアメリカでは、名コースといわれるゴルフ場で大規模なコース改造が進められていると聞いています。その改造の必要性と目的はどこにあるのか? そこには、わが国にとっても参考にすべき点が多々あるようにも思います。そこでまず世界のゴルフ場をよくご存知の戸張さんに、アメリカのコース改造の実態と現状について、お話いただきたいと思います。

戸張 現在アメリカには1万7000弱のゴルフ場があるといわれていますが、昨今の経済事情で昨年は100コース以上がクローズしています。昨年の新規オープンは恐らく70〜80コースで、実態としてゴルフ場が減少するというアメリカのゴルフ史上始まって以来の状況になっています。これにはサブプライムローン問題が大きく影響しています。アメリカでは宅造とゴルフ場がセットで造成されることが多いのですが、その宅造が減りゴルフ場の造成も減った。
そういう状況はありますが、アメリカというのは、ゴルフ場の改造に対して非常に積極的に取り組む土壌というか風土があります。一般の方でもなんとなくなじみがあるのは、全米オープンやマスターズではないでしょうか。オーガスタはご存知のように、毎年どこかを直しています。これが世界のゴルフ場の改造の一つのトレンドを作ってきたのではないかと思われます。
具体的に言えば、18番右がどんどん後ろへ広げられ、全体としては70ヤードくらい伸びました。また15番パー5ではティーの位置が移され、2オンが出来なくなる。タイガー・ウッズがウエッジで2オンしたという15番が、ティーを変えることでもうショートアイアンでグリーンを狙う人はいなくなった。このように毎年変えてくる。これが改造なのですね。
また全米オープンは大体6〜7年前に開催コースが決まりますが、その瞬間から全米ゴルフ協会が設計家だけでなく芝や土木の専門家を集めてプロジェクト・チームを作り、どういうコース・セッティングにしていくかの検討を開始します。
これもメンバーシップとパブリックのコースでは随分違って、メンバーシップだとメンバーの同意を得ないといけない。これが中々大変だといいます。例えば07年開催のオークモントは開場以来100年を超すメンバーシップコースで、プライドの高いメンバーが多い。その中で改造を提案し一定のメンバーの同意を得て、バンカーの位置、ティーの位置、グリーンのコンター、表面の傾斜、グリーンの床までも直していく。それから芝の種類を変えることもあります。例えばオークモントではフェスキューに転換しました。また、06年開催のウィングドフットも木を大体5000本ほど伐採し、さらにティーの位置・バンカーの位置なども全部変えていきます。
08年開催のトーレパインズでは設計家のリース・ジョーンズがオープンドクターとして、ボランティアでUSGAのプロジェクトに入り、コース全体をUSオープンにふさわしいコースに変えました。トーレパインズはサンディエゴ市営のパブリックコースで、この改造費用が相当かかったということですが、これらの関連経費を全米ゴルフ協会が全部持ってしまう。地元の所有者には一切負担させず、その代わりUSGAの指導どおりにやって欲しいということで、やはりティーの位置も全部後方に移し全体で400ヤード近く伸ばしたんじゃないでしょうか。
それから芝も全部替えました。グリーンは一時ベントに替えた時期もあったのですが、いろいろ混在していたので、日本で言うスズメノカタビラとは少し違いますがカタビラの一種です。またフェアウェイも、フェスキューやバミューダなど色々混じっていたようですが、これを全部はがしてキクユグラスに転換しました。ポロで使う芝に近い素材で、馬が走ってひづめで駆けても乱れない丈夫な芝だそうです。このように向こうはトーナメントに合わせて芝をどんどん替えていく。

佐藤(毅) 佐藤(謙太郎)さんにお聞きします。佐藤さんは、日本はもとより外国での設計も多いですが、その中で特にアジア地区での改造はどうなっていますか。

佐藤(謙) まず隣の韓国には現在約250のゴルフ場があります。中にはかなり古い歴史を持つコースもありますが、これはほとんど改造に走っています。何故かと言うと、韓国のプレーヤーも世界に進出しており、技術を磨くには単純なゴルフ場ではなくショットバリューも求められる。技術が必要なコースでプレーしていないと勝てないということに彼らも気づいて、どんどん改造しているというわけです。
設計において韓国や中国、アジアでも求められるのはきちんとしたデザインであり、欧米に負けない戦略性、ショットバリューです。特に韓国では、岩盤が固くてリニューアルも大変なコースが多いのですが、そんなところでも改造は増えています。

日本では小規模な改造が中心 プレゼンで決定する米クラブ

佐藤(毅) 今アメリカとアジアのお話をうかがいましたが、ひるがえって日本ではどうでしょうか。

倉上 日本でコース改造を頼まれる場合は、ほとんどグリーンおよびその周りが多いですね。やはりクラブや理事会の考えを中心に設計家が直す、という形です。ですから、2グリーンを1グリーンにすると設計者が盛んに提案しても中々受け入れられない、というのが現状だと思います。その理由は、2グリーンを直すべきだとわかっていてもコースメンテナンスに不安があって1グリーンに踏み込めない。私はコース改造と共にコース管理方法についてアドバイスをしながら改造をやっています。

嶋村 日本では話題性のある改造例が多い割には、その評価が明確にされないということがいえます。ご承知のように新設ゴルフ場の場合は、造って10年は経たないと植栽の落ち着きなどを含めコース自体の評価は得られないものですが、改造の場合は誰が設計しどう変わったかということで、すぐに改造前と比較されてしまう傾向があります。ですから改造の真の評価がいつ定着するのかという点が不透明で、クラブの中にはすぐにも評価しようとする短気な人も出てくる。そういう意味では改造を評価する人の心構え、さらにはゴルファー自身やゴルフをしない人も含めたゴルフの進化への取り組み方や愛情がアメリカとは基本的に違うのではないかと感じられます。ですから改造コースは5年は経たないと、その改造コンセプトは正しかったのかといったような点を含めて、踏み込んだ評価はできないのではないでしょうか。改造に対する評価の基準と、じっくり見守ろうとする評価の姿勢が、アメリカと日本では基本的に違うので改造に中々取り組めないということなのかも知れません。

戸張 アメリカでは、例えばロサンゼルス近郊の開場後100年近いコースの場合、時とともに古くなって、今の飛距離に合わないこぢんまりしたコースになっていました。そこでメンバーが4〜5人の設計者に有料でプレゼンテーションをしてもらい、その中から1人を選び理事会と会員総会にかけて改造計画を承認したと言います。この改造は去年完成し、メンバーも大喜びだということです。このようにアメリカではドナルド・ロスやウィリアム・ベルといった昔の著名な設計家のコースをいじってどんどん直していく、というトレンドになりつつあるわけです。

嶋村 ゴルフ場サイドにはぜひそういう姿勢で改造に臨んで欲しいし、我々もプレゼンテーションで改造計画をきちんと説明できるようにならなければなりませんね。

改造の要因は飛距離の増加 グリーンの難度高めて対抗

佐藤(毅) そういう基本的なものがないから、わが国では本格的な改造が少ないのでしょうが、何故今になって大規模な改造が必要になってきたのでしょうか。

戸張 一つは飛距離じゃないでしょうか。昔も100人いれば2〜3人はめちゃくちゃ飛ぶ人がいた。ですが今は全体の飛距離が伸びてきた、という事情がありますね。それから、学生を含めて若いゴルファーが増え、アマチュア全体が若くなった。このため古いコースのフェアウェイサイドのバンカーをほとんどキャリーで越えていってしまう。これが一番大きな問題です。これによってティーを下げたりバンカーを移動して対応することになった。
その次に飛距離の増大で、短いコースではほとんどショートアイアンでグリーンを狙えるようになった。古い昔のままのグリーンをショートアイアンで攻めると、ゴルフコースが元々持っていたコンセプトがずれてしまいます。そこでグリーンを高速化して難度を高める。クラブやボールにそういう変化が起きているから、それに対応してコースも変わらざるを得なくなってきたわけです。

佐藤(毅) 今のお話のように日本のゴルフコースは改造しないと、距離も短く易しすぎますね。その意味で、もっと積極的に改造を進めていく必要はあると思います。日本のゴルフコースの易しさという点について、佐藤さんはどのように考えていますか。

佐藤(謙) 根本的には距離が短いということでしょうね。また、昔のグリーンはほとんど受けグリーンで、通常右に乗せたらフック、左ならスライスというグリーンが非常に多い。ですから昔のグリーンは手前から打ったら非常にイージーになる。戦略性が一番高いのは、やはりグリーンの難易度だと思います。距離が伸ばせないなら、後は難易度を上げるにはグリーンしかないのですね。グリーンにアンジュレーションを付けたり、バンカーを厳しくして狙いを狭めたりして難度を高める。それがセカンドショットに求められるようになってきた。見た目にも外国のコースはハザードがガンと効いています。ですからポイントで攻めていかなければいけない。それを外したらペナルティーがつきますよ、と。日本でも最近は昔のバンカーは越えていくし、PWで乗るようなコースもある。そうなるとどうしてもハザードで固めて戦略性を高めなければならない。だから改造が必要になってくるんですね。

佐藤(毅) 日本ではグリーンの草種転換と、2グリーンの1グリーン化が増えていますが、グリーンの難度を高めることについて嶋村さんはどう考えていますか。

嶋村 今たまたまグリーンの話になっていますが、その前にコース設計家として客観的に、ティーやフェアウェイを含めたコース全体の見直しをすべきだと思います。当然、周辺の景観樹木のチェックも含めてです。最終ターゲットとしてグリーンが大事なのはいうまでもありませんが、それだけでコースが出来ているわけではありません。ある意味でトーナメントコース仕様が一つのオピニオンの役目を果たしていますが、やはりグリーンは個性だと思います。傾斜もトーナメントでは一つの基準を設けますが、受けグリーンには受けグリーンの魅力もありますし、それもバリエーションの一つです。要するに日本のゴルフ場はこうあるべきだと決めつける必要はないと思います。だから速さも芝の種類もクラブの独自の判断で決めればいい。その相談に乗るのが私たち設計者の役割でもあるのだと思います。2グリーンの1グリーン化は一つの流れだとは思いますが、それは価値観の問題でもあると思います。日本独自のゴルフ文化のためにも、日本のグリーンはどうあるべきかといった捉え方をするべきではないでしょうか。

目的に見極めこそが大切 改造理由は歴史的に飛距離

佐藤(毅) 私も確かにそうだと思います。だから、トーナメントを開催するゴルフ場もあれば、逆に一般大衆向けのゴルフ場もある。それはそのゴルフ場のコンセプトが決まれば決まってくるわけです。その中で難易度をどこに持っていくかということは、そのクラブのコンセプトとプレーヤーにかかってくる。ゴルフ場全体のデザインバランス、戦略性の高さなどいろいろありますが、このコースは全くトーナメントを開催しないということなら、それはそれなりのデザインが出てくると思いますね。
私たちが尺度を世界に求めた時、日本が世界と戦えるフィールド作りとはなにか、全体の問題の中で世界と共通した理論を話していくべきじゃないかな思います。その中で世界に打ち勝つにはどこをどのように替えますか、というようなことを僕は思います。だから嶋村さんの言っていることも、色んなジャンルの中で通じなきゃいけないと思う。

戸張 嶋村さんが言っているのは基本で、たまたま今回のテーマが改造だからですね。で、改造したいと思っているコースが何を求めるかはコースによって違うと思うのです。ただ、なぜ改造を欲するかというと、グリーンの高速化だったり日本の場合はベント化だったりしますが、それらを含めて改造の目的をきちんと見極めることが大切なのではないでしょうか。

佐藤(謙) 私が改造してたまたま成功したと自負しているのがやはり高速化でしたね。今まで7.3フィートでプレーしていたが面白くない。それが10フィート以上の高速グリーンになったら、とたんに皆さん満足してリピーターも増えてきた。全体の売り上げでも客単価が2〜3割上がるという、一つの経済効果も出てきました。

嶋村 それは、おっしゃるとおりです。改造の重要ポイントの一つといって良いと思います。そういうグリーンが平均的にレベルアップしてできるようになることが大切です。トーナメントコースを12フィートに仕上げるのではなく、コース管理も含めて日本のゴルフ場全体のクオリティー底上げの問題だと思っています。
戸張さんが先ほどいくつか改造のポイントを挙げられましたが、歴史を調べると時代背景は異なるものの改造の理由はすべて同じです。それぞれの改修はコース整備の一貫として年々やっているわけですが、コース全体の見直しを前提とした改造には、デザインを含めたきちんとした改造イズムというのを持っているかどうかが重要になってきます。例えば高速グリーンは技術の向上という背景があって可能になりましたが、その背景がないゴルフ場でもそれを求めようとします。そこにはテレビの影響も大きく、トーナメントで速いグリーンを見たゴルフ場経営者が「うちもああいうグリーンにしたい」ということになる。それができる技術があるかどうかを判断するのが、我々設計者の役割でもあるのだと思います。

(次月に続く)

 

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