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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2007 Aug. 協力:一季出版(株)
コースと樹木
日本ゴルフコース設計者協会
監事 戸張 捷
 

最近、ゴルフ場からコンサルティングの依頼が増えてきた。そのなかでコース改造のアドバイスを求められることも多い。

そこで開場から20〜30年の歴史を経たコースを見て回ると、多くが成長した樹木の問題を抱えている。例えば、バックティに立ってグリーン方向を見ると、先の大きな木立で、コース戦略上大事なポイントのサイドバンカーが視界からさえぎられている。ボールはフェアウェイにあって、グリーンが見通せるにもかかわらず、手前にある松から大きく張り出した枝がプレーの線上にかかってしまう。

千葉県の某コースでは、ナイスショットでIP近くまで飛んだボールのところに行って驚いた。なんと、その地点とグリーンを結んだ線上に欅の大木が立っているのだ。これではナイスショットが報われない。もちろんコース設計家が初めからそのような位置に大木を配して設計したはずはない。その大きくなった欅は、ゴルフコースにとっては邪魔者以外の何物でもない。それで、「この欅は思い切って伐採するか、移植したほうがいいですよ」と提言すると、コース管理の担当者からは「そうしたいのですが、メンバーさんにご神木扱いされている木なので、伐ろうと提案しただけで大騒ぎになります」という返事だった。

大きくなりすぎた、あるいは枝が広がり、葉が繁茂しすぎた樹木は、設計意図を阻害する点からも、また風通しが悪くなるというコース管理の点からも、マイナスになるケースが多い。

ところが、日本人の伝統的なメンタリティなのだろうか、樹木が大きくなればなるほど愛着を抱く人が多くなり、伐採はコース委員会からも、個々の会員からも反対され、やむなく残しているという例が少なくない。

樹木を大切にしたいという気持ちは理解できる。だが、ゴルフコースにとってはそうした樹木の存在は、コースの価値を下げる要因となる。ひと言でいえば「コースをとるのか、樹木をとるのか」というほど割り切った決断をすべきであろう。

樹木の問題のついでに指摘すれば、フェアウェイサイドにある樹木の細い下枝は、最低でも2mの高さまでは枝打ちをきれいに行うべきだろう。そのことで、まずはプレーの進行が早くなる。改めて言うまでもないが、クラブが当たる高さに枝があれば、それだけでプレーが遅くなるうえに、スウィングによりその枝が折れた場合、「意図するスウィング区域の改善」でルール違反となるため、プレーヤーはより慎重になるからだ。また、下枝のカットには、風通しが良くなるという効果もある。

樹木伐採の効果

コースを設計するときは、よほどシンボリックな樹木や戦略的に価値のある樹木でない限り、プレーイング・ラインにかかる樹木をコース上に配することはない。例えそうしたとしても、設計家の頭にあるのは、その時点の樹木であり、それが成長することまでは考慮していないはずだ。だから、樹木が成長するに従い、コースのデザインはオリジナルの設計意図から外れていく。

先日行われた今年の全米オープンの舞台、オークモントCCは同大会を迎えるにあたり5000本もの樹木を伐採した。昨年開催のウィングドフットGCでも5〜6000本もの伐採が行われていたが、アメリカのゴルフコースはトーナメント開催に当たり、こうした思い切った伐採を断行する。もちろん、それでチャンピオンコースとしてのレベルがアップするからだ。

今回のオークモントも、PGAツアーのホームページに掲載された紹介には、冒頭に「樹木を伐採したことで、オリジナルのオークモントが再び現れた」といったタイトルがあり、続けて「約5000本の樹木が伐採されたオークモントを今回訪れる選手やフアンは、ここがオークモント? と戸惑うかもしれない。だが、昔の神々しいまでの素晴らしいレイアウトを知っている人なら、当時とまったく変らないと言うだろう」と、伐採の意味が謳われていた。

国内のゴルフ場には、様々な点からコース改造の時期を迎えたコースが少なくない。そのとき、思い切った伐採や枝打ちを躊躇しないことだ。繰り返しになるが、それをせずして設計家がコースにこめた意図は取り戻せないし、コースの価値を高めることはできないからである。

もちろんそれには、クラブメンバーを始め利用者の理解が必要になる。樹木伐採の反対意見は―前述したように―論理ではなく情緒的理由からの「反対」だけに、納得してもらうのは大変な作業かもしれない。しかし、それでも論理的にきちんと説明して、その効果を実証してみせることが大事なのだろう。

改造に際しての重要な視点

他にも、改造に当たってアドバイスしていることがある。そのひとつが、ティインググラウンドの高さだ。

例えば、ホワイトティから400ヤード、その後ろのブルーティから420ヤードのホールがあるとする。ブルーティは確かに20ヤード距離が長いが、ティが1m高くなっていたら、20ヤード分の難易度アップの効果は半減することになる。1m高い分、飛距離が伸びるからだ。

また、よりコースの先まで見通せる(俯瞰できる)ことで、難易度が下がる効果もある。

実際には、必要もないのに、後ろのティほど高くステップアップされたコースは案外多い。

もちろん、後ろのティからハザードが見えなくなるという場合はその分、ティを高くしなければならない。しかし、現実にはそうした支障のないホールが少なくないのだ。後方のティを、一様に段々と上げているコースは、その改造を検討すべきだろう。

それとも関係するのだが、日本では、ティとフェアウェイを結ぶウォークパスのあるコースが少ない。アメリカではほとんどのコースでティからフェアウェイへと幅2mほどのウォークパス(フェアウェイと同じ刈り高の道)が設けられている。

プレーヤーが歩きやすく(ラフを歩く疲労度が軽減される)なるだけではない。細かな配慮だが、ウォークパスがあれば、朝露でズボンの裾が濡れないという効果もある。

一方、日本では―ティがステップアップされているせいもあるが―ティの前がフラットなホールでも、ティから直ぐ進行させないためだろうか、ウォークパスがほとんど見られない。この導入は是非とも考えてもらいたい。

もうひとつ、コース改造を計画しているコースを見て気がついたことがある。それは、フェアウェイのライン出しだ。

特に開場から10年、20年とたったコースには、オリジナル設計のラインとはだいぶ違っているように思われるコースがある。設計家の目でティから見通すと、戦略面からして、ライン出しが不自然なホールがよくある。「あの設計家がこんなラインを描くはずがないのだが……」。恐らく、コース管理をするなかで、ライン出しが少しずつずれたのだろう。

フェアウェイのラインは、一度ティに立って、設計家の意図を踏まえて、検証し直してみるといいだろう。

今、ゴルフは用具等の進化により、コースに求められる難易度の基準が変わりつつある。そうしたなか、日本の競技ゴルフのレベルアップのためにも、ゴルフ場は全体的に難易度を上げる時期にあると思う。それゆえ、設計家が果たすべき責務は、今後ますます大きくなるのかもしれない。

 

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