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これからのバンカー
日本ゴルフコース設計者協会 理事長
大西 久光
 

転がるボールのための障害物

私が初めてゴルフコースの設計に興味を持ったのは1974年に岩手県で開場した南部富士カントリークラブを開発した時のことだった。森澤オーナーにピーター・トムソンを設計者として選んでもらうことを強く推薦し、受け入れてもらった。1929年生まれのトムソンは全英オープンで54、55、56、58、65と5回優勝し、エリザベス女王から「サー」の称号をもらった事で有名だが、一方ではアジアサーキットにも出場し、アジアの後輩たちに道を切り開いてきたことでも大きな貢献をしてきた。

そのトムソンも後年、設計を趣味とし、仕事として取り組むようになった。日本での最初の作品は1971年に開場した愛知県の藤岡カントリークラブである。私はトムソンが來日するたびにお世話をしていた関係で彼からゴルフについて色々と指南を受けた。

彼はゴルフが始まったと言われるセント・アンデュルースを「神が造られたコース」といい「ゴルフコースのバイブル」と考えていた。藤岡CCにはSt.アンデュルースと同じようにダブルグリーンも設計されている。

ゴルフコースには必ずあるバンカーもスコットランドのリンクスから生まれたものだ。私が初めてSt.アンデュルースをプレーした時のことだ。ベテランのキャディが「ミスター・オオニシ、このホールは真ん中だけには打ってはいけない。右でも左でも良いから」と。

理由はフェアウェイの真ん中にバンカーがあるからだ。つまりバンカーは避けて打つための障害物だった。特に昔のボールやクラブを考えると、低い球やランする弾道が多かった。そんな時、バンカーに入れると必ず1打は多くなる。現在のように高い球やロングショットでバンカーを越えたり、サンドウェッジでパーセーブすることはかなりむずかしかった。サンドウェッジが開発されたのも1930年代になってからで、それまでは9番を開いて使っていたからバンカーショットの難易度は高かった。つまりバンカーは転がるルートを阻止することに意味があったが、バンカーを越えて止まるボールを打つ現在のゴルフでは、バンカーのあり方を考え直さねばならない。

昨年、ニクラウスの主催するメモリアルトーナメントではバンカーを均すとき、溝のあるレーキを使うように変えた。平らに均すとやさしすぎて障害物にならないというのがその理由である。

トムソンが日本で活躍していた頃「日本のバンカーはきれいに均し過ぎて、やさしすぎる。バンカーは障害物だから、1打のペナルティになって当然なのだ」と主張していた。スコットランドの古いコースを見ると、グリーンまわりのバンカーの位置は左右にあって、正面には転がってグリーンに乗るルートが残されている。それらを見てもバンカーは転がるルートを阻止する障害物だったことが判る。しかもリンクスでは穴には海砂があり、それがバンカーに砂のある理由なのだろう。トムソンは「リンクスにあるから砂のバンカー」という考え方をもっていたから、藤岡では松葉の落ち葉を敷き詰めたバンカーを作ったことがある。ゴルフコースは自然なものと言う基本的な考え方からすると、そこにある自然を生かしてこそ良いコースと言える。ゴルフコースは当初リンクスに始まったが、インランドにコースが作られるようになってからも必ずバンカーは造られてきた。当時は打球が低く、ランの多いショットが普通だったから、転がすラインを遮るバンカーは有効だった。用具の発達によって弾道が高くなり、スピンが効いたショットが多くなったのは20世紀後半からだから、そろそろバンカーのあり方を考え直す時期にきている。

ポットバンカーの時代へ

米国ツアーをみると、まさに点から点を攻めるゴルフになった。点から点を狙うゴルフでは転がるラインを阻止しても上級者には意味がない。そんなゴルフの変化から最近では池に囲まれたグリーンなどが増えてきた。その一方でアベレージゴルファーには転がるルートがないとプレーの難しい人もいる。同じコースを上級者とアベレージゴルファーが共有し、楽しむためにはバンカーの配置に十分な配慮が必要だ。私の設計ではバンカーは18hsで30箇所以内にしている。用具の発達したこれからのゴルフでは障害物としてバンカーよりホールの両側にある大木が有効だというのが私の持論である。マスターズが開催されるオーガスタコースはバンカーが少なく、フェアウェイの両側は大木に囲まれている。

パーシモンからメタルへの変化の時代にも、しばらくの間はメタルを使う選手がマスターズに勝てなかった。その理由はメタルではフェードやドローを打ちわけにくいからだと推察できる。オーガスタでは左右の大木を避けて、良いポジションにボールを置くためには意図的に曲げるショットが必要になる。1930年代に造成されたオーガスタが用具の発達した現代でも名コースとして熱い戦いを演出しているのはまさに両側の大木であって、白く美しいバンカーは二次的なものであろう。

一方、スコットランドでの全英オープンでは大木はないが、100箇所以上もあるバンカーが選手を苦しめる。ほとんどがポットバンカーと言われる小さくて深いバンカーである。バンカーからでは遠くへ打つことが出来ないだけではなく、名手でも後ろに出さなくてはならないケースすらある。風が強く、フェアウェイやグリーンが堅いから点から点のボールコントロールは難しい。米国では高い球で勝負するタイガー・ウッズですら、全英オープンでは低い弾道とグリーンまわりでもパターを多用する。そのために深く小さなポットバンカーが名手を苦しめる。リンクスでは今もバンカーの存在感は大きい。数年前に南部富士に来たトムソンは「これからのバンカーはポットバンカーだ」と一部のバンカーの改造を指示して帰った。

私も同じ意見を持っている。バンカーはある意味では弱者いじめの障害物になる。上級者はフェアウェイバンカーを越えたり、入ってもそこからグリーンをとらえたり、グリーンまわりでは軽々とパーセーブしてしまう。コース設計では強者のバーディに難しく、弱者のボギーにやさしいのが理想だと考えているので、自然の木が多い日本ではバンカーよりも木の活用が重要だ。又、ほとんどのゴルファーには転がるスペースが必要だから花道と呼ばれるグリーンへ転がって乗るルートを確保することも重要だろう。

日本のコースには改造した方が良いバンカーも多い。砂の面がフェアウェイと同じレベルにあるような浅いフェアウェイバンカー。トーナメントでもバンカーに入ったボールが転がって飛び出すことがある。英国のゴルファーが見たら笑うだろう。英国では入りやすく、出にくいのがバンカーの特徴だから。

浅いバンカーなら、ラフやグラスバンカーにしたほうが良い。当然バンカーは障害物という目的だけではなく、ビジュアルな必要性もある。コースを引き立てる白く美しいバンカー、ゴルファーに心理的なプレッシャーを与えるバンカーなどである。然し、バンカーの原則は転がるボールを止める障害物だから、プレーを助けるためのOB止めのバンカーなどは邪道だ。むしろそんな場合はグラスバンカーやラフを活用した方が良いだろう。

日本のトーナメントを充実するためにも、これからはバンカーを含めた改造が必要だ。世界的なレベルのコースが増えていくことこそ、日本のゴルフが発展するための第一歩であろう。

 

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