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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2006 Apr. 協力:一季出版(株)
オーガスタナショナルGCの戦略性(2)
日本ゴルフコース設計者協会 理事長
大西 久光
 

様々な技術を要求するオーガスタナショナル

オーガスタナショナルGCは70数年の長い歴史の中で何回も改造が加えられてきた。特に近年は選手の飛距離が驚異的に伸びてきたことに対応し、ティーグランドを後ろに伸ばす改造が進んでいる。1934年の第1回大会の時に比べ、今年のコースは780Y伸びて7445Yになった。

然し、創始者であるボビー・ジョーンズのコンセプトに沿ったものであることは言うまでもない。過去の改造の中には「改悪ではないか」と言う意見もなくはないが、結果として現在のコースがドラマを生み出し、選手に挑戦意欲をわかせるコースであることは間違いない。むしろ、コースコンディションの大きな変化については少しの疑問があるが、それは最後に付け加えることとする。

13番パー5(510Y)は優勝争いをしている選手がどうしても4以下のスコアがほしいホールである。左への大きなドッグレッグ。左側に大きくせり出した森とクリーク。ティーショットで左の森すれすれのショットで左フェアウェイに置くと、かなり短いアイアンで2オンを狙うことが出来る。安全に右サイドをねらうと、右の林に入ってしまうことが多い。右から左へのドローボールが有効である。セカンドはグリーン手前のクリークに神経を使う。第2打を刻んでも第3打で神経を使うショットが必要になる。グリーンは右が遠くなっているから、最終日の右のピンは難易度がさらに増す。昨年タイガーが2オンし、イーグルパットをクリークに入れたシーンに驚いた人は多いだろう。それほどグリーンの傾斜は難しい。

14番パー4(440Y)は左へのドッグレッグホールで、フェアウェイは右に傾斜しているから落下したボールは右へ転がっていく。ティーショットのコントロールも難しいがセカンドはさらに難易度が高い。グリーンの傾斜が強く、ピンに対し、よいポジションにつけないと2パットも難しい。

15番パー5(500Y)はTVでおなじみのホール。このホールも今年はティーが左後ろに伸び、1m程度低くなった。おそらく今まで以上に素晴らしいティーショットが要求されるだろう。それでも池越えの第2打でピンを狙い、イーグルのほしいホールだ。優勝争いの中で追いかける選手のイーグルもあり、リードしている選手のボギーもあるホールだけにドラマが生まれる。グリーンは左手前に傾斜し、バックスピンが強すぎると池に入ってしまう。グリーンを狙うショットは距離とスピンのコントロールが不可欠になる。

16番パー3(170Y)と言えば、昨年優勝したタイガーの信じがたいチップインバーディのシーンを思い出す。タイガーが強烈な集中力で神業を発揮したが、彼にしても100回に1回あるかないかの奇跡的なショットだった。ティーショットは最悪のグリーンオーバー。グリーンの奥からはダウンヒルのライ、グリーンもダウンヒルで右の池に向いかなりの傾斜になっている。タイガーのショットは低いスピンの効いたアプローチショット。落ちたあとほとんど直角に右に曲がり、ホールの前で一度止まりかけながら、カップイン。まさに奇跡のショットだった。ティーからは左サイドに長い池、右サイドは手前と奥にバンカーがある。大会3日目には右奥にピンが立つことが多いが、そのスペースが四畳半の部屋かと思うほど狭い。少し右にそれるとバンカーで、ここからはまず寄せられない。少し安全なピンの左側に打つと、傾斜で左端まで転がってしまう。左端からのパットは名手でも2パットで満足するほどの難しさである。マスターズのフィナーレを飾るにふさわしいホールといえる。

17番パー4(440Y)は今年15Y伸びただけではなく、両側の木が多くなったと言われている。比較的平凡なホールだったが、グリーンの傾斜が複雑でしかもきついので、ピンに対し攻める位置を間違うと3パットの可能性が高くなる。特に左から右へのパットは難易度が高い。1999年より40Yも距離が伸びたのでフェアウェイ左にある大木がティーショットでとても気になるだろう。私にはこのホールで忘れられないシーンがある。1982年にクレイグ・スタドラーが優勝した時のことだ。最終日の大詰め、17番で会心のドライバーショットを放ったのだが、フェアウェイの真ん中をとらえたそのボールは誰かがディボットをとった跡に入った。当時はまだターフを深く取る時代だったから一見して、セカンドでグリーンをとらえられないのではと心配するほどの深さだった。然し、顔を真っ赤にしながらもそのディボット跡をなぞるようなショットでグリーンをとらえた。絨毯のようにきれいなオーガスタでおそらくたった一つの深いディボット跡だっただろうが、そんな不運を跳ね返す精神力はドラマ以上の迫力だった。


18番パー4(465Y)は右へのアップヒルのドッグレッグ。バック9は10番、13番、14番、15番、17番とティーショットにドローボールを要求するホールが続くが、一転して最終ホールはスライスが要求される。しかもティーが以前より60Yも遠くなったので、左側にあるフェアウェイバンカーまでは300Y近くある。両側の大木はアップヒルの地形のためより高く感じる。右の大木を越すことは出来ないから、トンネルのようなフェアウェイを通し、右に曲げるショットしか良い位置に置くことが出来ない。1997年にタイガーが勝った時にはセカンドにSWを使うようなすごいティーショットもあったが、距離が伸びてからはロングヒッターでもミドルアイアンが必要になった。グリーンは奥行きが長く、3段グリーンのような傾斜になっている。最終日のピンは左手前の深いバンカー越えになる。セカンドはフックの出やすいアップヒルからのショットなのだが、グリーンの左は強い左傾斜のためプレッシャーがかかる。右に逃げるとバンカーが待っている。ピンの位置にもよるがグリーンをはずすなら、右のバンカーがまだましとバレステロスが言うくらいの難易度である。グリーンの右と奥には大きなマウンドがあり、多くのパトロンが優勝者を祝福できるような自然の観覧席になっている。

1987年からオーガスタのコンディションは大きく変化した。それまでの比較的止まりやすいグリーンから、堅くて止まりにくいグリーンへの変化である。オーガスタはラフがないことも特徴の一つだったが、ラフも作られた。ラフからはグリーンで止まるショットは打てないから手前から転がす技術が要求される。また、グリーン周りのカラーも短くカットされようになり、ピンの横に落ちたボールがスピンでバックし、カラーで止まらず池に入る場面も多くなった。せめてカラーに止まればよいのにと考えるのは私だけだろうか。選手の実力が上がれば、それに応じてセッティングも厳しくなる。然し、オーガスタは高低の変化、両側の大木などセッティングで選手をいじめる必要がないくらい多種多様な技術が要求されるレイアウトになっている。スピン量が減少し飛距離の出やすいクラブやボールになったが、一方で曲げる技術が要求されるという難易度がある。バンカーなら飛び越えることも出来るが大木を避けるにはフック、スライス、高低の球筋が必要になる。大木はバンカー以上の障害物としてゴルフを興味深いものにする。オーガスタはバンカーが少なく、ホールの両側にある大木が大きな特徴になっている。

全米オープンのように優勝スコアを抑えるセッティングはマスターズらしくない。多くのトッププロがオーガスタでプレーすることを楽しみ、喜びを感じるところから、世界一の華やかなマスターズが生まれたのだから。

 

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