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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2006 Mar. 協力:一季出版(株)
オーガスタナショナルGCの戦略性(1)
日本ゴルフコース設計者協会 理事長
大西 久光
 

ドラマを生み続ける理由

「何処がベストコースですか?」と言う質問は興味深いが、それぞれのゴルファーによって好みの違いがあって、一定の基準があるわけではない。私の場合には色々な意味でマスターズを開催しているオーガスタナショナルが最も好きなコースであり、プレーして一番楽しかったコースだと断言してもよい。そこでオーガスタの主なTVホールを分析してみたいと思う。

最終日の優勝争いが激しくなると、8番パー5(570Y)でバーディーを取れるかどうかが一つのポイントになる。過去の平均ストロークは4・85だが4つのパー5では最も平均スコアが悪い。アップヒルで両側には大木がまるで塀のように並んでいる。その上グリーン手前の左側に大木がせりだしているので、セカンドからはまるで左ドッグレッグのようなホールになる。そのためツーオンをねらうロングヒッターはフェアウェイ右サイドにロングドライブを打ちたいのだが、右300Yあたりに大きなバンカーがあるので、これを避けねばならない。バンカーの左に避けると、セカンドショットでグリーンが見えず、左の大木を避けたフックで攻めなくてはならない。過去にロングヒッターがパーすらとれず、脱落したケースも多い。むしろグリーン右手前を攻め、サードショットでバーディーをねらうのが、安全だがそれではイーグルのチャンスがなくなってしまう。イーグル狙いには大きなリスクが伴うホールといえる。

9番パー4(460Y)は1996年にグレッグ・ノーマンがまさかの6打差をニック・ファルドに逆転され、初優勝を逃がしたキッカケを作ったホールといえる。ティーショットはダウンヒルで左へのドッグレッグ。従来はフックで攻めると、谷底のようになった低いところまで転がったので、セカンドはショートアイアンでの打ち上げショットだったが、近年、距離が伸びたため、大変難しくなった。右側の大きな木が邪魔になり、フェアウェイをキープするショットすら大変難しい。その上、従来のようにダウンスロープの下まで飛ばないため、セカンドで左下がりからかなりの打ち上げショットを要求されるケースも増えた。傾斜の強い受けグリーンのためスピンの効きすぎたショットが少しでも手前に落ちると、グリーンの下まで転がりでてしまう。ノーマンもピンの横に落としながらスピンでバックしてグリーンからこぼれ落ちてしまった。ところが、オーバー気味のショットは奥からのパットが残り、多くの名手でも恐怖を感じるパットを打たねばならなくなる。

10番パー4(495Y)は難度bPのホールである。25メートルはあろうかと言う厳しいダウンヒルで、左ドッグレッグ。左側にせり出した大木を避けると右の林に入ってしまう。どうしてもフックのほしいホールである。スプーンでのティーショットを選ぶ選手も多いが、距離が伸びたので300Yショットはほしい。セカンドもダウンスロープから、左へ傾斜したグリーンを攻めるショットになる。そのため少しピンの右から攻めたいところだが、右サイドにバンカーが配置されていて、このバンカーに入れると、ダウンスロープへのショットになるため、寄せにくい。左下がりのライからの素晴らしいフェードボールが要求されているホールといえる。1989年ニック・ファルドとプレーオフをしたスコット・ホークがこのホールでツーオンしながら、10Yほどを3パットして優勝を逃がし、「もしあの時ピストルをもっていたら、自分の頭を撃っていただろう」と悔しさを表現したほどだった。それほどにグリーンも難しい。

11番パー4(490Y)も名物ホールの一つである。ダウンスロープの右ドッグレッグでグリーン左手前には名手も怖がる池がある。グリーンは池に向って傾斜がある。両側には林があるから、正確なティーショットが要求されている。出来ればフラットなライになる左のフェアウェイをキープしたい。このホールの特色はセカンドショットである。優勝争いをする選手は左端にあるピンを攻めきれず、グリーン右にはずすケースも多い。1987年ノーマンとのプレーオフでセカンドを右にはずしたラリー・マイズが劇的なチップインで逆転優勝したこともあった。然し、右からのアプローチは池に向ってものすごく速いから、寄せることも奇跡的と感じるほどだ。池を全く恐れない米国選手がこの池を驚くほど嫌がる。3回も優勝したファルド成功の秘訣はアイアンのフェードショットにあったと思う。

球聖の残した歴史的傑作

12番パー3(155Y)は私の最も好きなホールだ。オーガスタの4つのパー3で一番距離が短いのに、難易度はbPである。18ホールで一番低い位置にあり、グリーンの前に池、後ろに丘と林があって、風の読みにくさはどんな名手も怖がるほどだ。マスターズの経験豊富なニクラウスは「このホールでは何処にピンがあってもグリーンの真ん中しか狙わない」と言ったことがある。グリーンの奥行きが短く、横長の形になっている。池もグリーンに沿って、右に行くほど遠い形になっている。最終日には右端にピンが切られるが、優勝争いをする選手が警戒するのはスライス系のボールがグリーンに少しでも届かないと、池に入ることである。「このホールがもう少し長ければやさしいのに」と言った選手がいたが、短いためショートアイアンとなり、弾道が高くなる。そのため風の影響が強くなるが、一番低い位置にあるためか、風が回るのか極めて読みにくい。

素晴らしいフェードボールが要求されたホールと思うが、名手でもドローを打ちたくなってしまうグリーンの形のようだ。1992年フレッド・カプルスは優勝争いの中でこのホールにやってきた。果敢にピンを攻めたショットは少しフェードがかかりすぎたのか、グリーン右手前に落ち、池に転がりだしたが、前日の雨に救われたのか、草一本に助けられ池に入らず、危機を脱して優勝した。まさにドラマを生むホールといえる。

オーガスタは1930年全米アマ、全英アマ、全米オープン、全英オープンの全てに優勝し、年間グランドスラムを成し遂げて、アマのまま引退した球聖ボビー・ジョーンズが見出した土地に、名設計家アリスター・マッケンジーが基本設計をして、生まれたコースである。オーガスタは用具が進歩した今も名手に愛され、名手をてこずらせる「にくいコース」と言える。当時のボールとヒッコリーシャフトの時代にはボールの飛距離も少なく、曲がりやすい時代であった。その時代にティーショットでは主にフックボールを要求し、グリーンをねらうショットにはスライス系のボールを要求したホールが多い。打ち下ろしのショット、打ち上げのショットだけではなく、あらゆるライからのショットをこなす技術も要求されている。

スコットランドと違い、バンカーは少ないが、背の高い木が曲げる球筋を要求している。メタルウッドと2ピースタイプのスピンの少ない弾道の時代になりながら、選手は曲げる技術を発揮せざるを得ない。大木がバンカーに優るハザードとして現代の名手を悩ませている。比較的広く、グリーンのように刈り込まれたフェアウェイ、速いグリーンなどが選手の挑戦心を駆り立てる。コースを埋め尽くしたパトロンの前で日頃磨いた技術を発揮できる喜びに選手はしびれる。それほどのタフなコースでありながら、レギュラーティーでプレーすれば、アベレージゴルファーにも楽しめるオーガスタはさすがに球聖ジョーンズの残した歴史的な傑作である。

次回は毎年のようにドラマを作り続ける13番から18番ホールまでを取り上げてみたい。

 

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