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ゴルフコースは文化遺産
細川 道夫
 

(1)ゴルフ場は鏡

「ゴルフは鏡である」と思っている。ゴルフは今の自分のすべてを確実に、しかも冷酷に反映して示してくれる。ピンチヒッター(代役)がきかないゴルフは、唯一の味方であるキャディの判断も含めてすべて結果的に自分が責任を負うゲームであり、その時の技術面・精神面が表れる鏡のようなものであると思っている。

ゴルフコースも長い歴史の中でその時代のその土地のゴルフがどうであったか、どうしてきたか、を後世でプレーする私達に示してくれる造形物であり、その時代を映す鏡であると言っていいと思う。

ゴルフの長い歴史を想う時、ここ数十年の用具・コース・プレーの変化は目覚しいものがある。用具が進歩していても結果的にスコアは数十年前と大差なく、技術は進歩していないと言われることもあるが、用具やプレーヤーの技術進歩に合わせたコースの改造などによって間断なく対応している結果であるといってよい。

この常に必要なコースの改造が時として、本質とは別の次元で安易に行われたり、本来の設計意図と異なる改造を受けたりした結果、そのホールやコース全体のバランスを欠いている例が見受けられる。

現在、ゴルフを取り巻く環境はバブル時代が去り大きな変化が求められており、実際急速に変化しつつある。将来のゴルフのあり方を考える時、歴史を振り返ることは今後ゴルフがどうあるべきかのヒントを与えてくれる重要な過程だと思う。

その歴史を反映したゴルフコースは現在プレーする「場」という機能のみならず、過去の事実を示し、現在の姿を鏡として示し、将来どうあるべきかを考える材料となる貴重な財産である。

そういった意味でゴルフコースは文化遺産と思っている。

(2)コースの改変

ゴルフコースは遺産といっても自然と共存し植物系の素材も多く常に変化しているため、過去のものをそのまま大切に護るといった性格のものではない。むしろ用具・プレーヤーの技術・コースの運営形態などによって、常に変化が求められるものである。約100年の歴史を誇る日本のゴルフコースは、今後の100年がどうあるべきかを考える重要な時期を迎えた。

一時期行われた改造によってバランスを欠いているホールやコースは、設計家の意図を汲み取って現状と照らし合わせどう改造するべきかを考える必要がある。

かつてはスタート室に各ティからの主要構造物までの距離、グリーンの大きさ、ホールの高低差を示した断面図などを掲載したハンドブックが置いてあった。

今思うとこのハンドブックはとても立派なものであり、良い意味でのバブルの遺産だったと思う。

このハンドブックが増刷されなくなったのは単に経費削減の面もあるが、頻繁なホールやコースの改造が一因であったのかも知れない。

最近よく気づくことであるが、ホールハンディキャップが訂正されないまま、オリジナルと決定的に異なる改造を受けているホールが多いように思う。主な改造はハザードの撤去が多く、「かつては池やクリークがあったが埋めてしまった」とか「次のショットに影響があった木がなくなった」といった例である。前者はトラブルによるプレーの遅延といった設計家の意図とは別の次元での改造が多く、後者は風害や虫害によるものが多いと考えられる。

ホールハンディキャップは設計家がプレーのリズムを考慮してレイアウトしているはずであり、安易な改造を放置しておくことはそのホールのみならずコース全体やプレーヤーのリズムにも影響を与えることとなろう。そこで今後の改修の課題として「設計家の意図の復元」がテーマとなる。

(3)設計家の意図と復元

安易に改変されたコースは元に戻すべきであると思うが、ハザードの位置や形状という外面的な造形を復元することは、用具・ボール・プレーヤーの技術の進化によってあまり意味がない。

近年グリーンを維持する芝草技術の進歩はめざましく、この技術によってかつてやむを得ず造った2グリーンが1グリーンの本来あるべき姿に改修される機会が増えている。改修はグリーンやグリーン周りにとどまらず、グリーンを狙う地点やホール全体の見直しも行われるに違いない。

ゴルフコースの将来あるべき姿を考える時、ヒントは歴史にあると述べたのは設計家の描いたスケッチやエスキースが改修のヒントになることもあるということである。例えば結果として2グリーンを容認した設計家でも、構想段階における1グリーンのスケッチが残されていないだろうかということを考えてみたい。

コースが完成するまでに設計家は、基本構想・基本計画・基本設計・実施設計・施工監理といった手順で関わることになると思われるが、竣工に至るまでに工期・工事費・運営形態など様々な現実的な要素が加味され、最終的なコースデザインはある意味で妥協の産物になることもあろう。


稀に設計家自らが竣工後の環境やプレーの状況を見ながら、当初の予定通りまた予定しなかったことであっても改修に手がけることがあるが、これは理想的なことであっても古いコースの改修では不可能である。古いコースの場合、設計家がほとんど制約を受けないうちに描かれた基本構想段階のスケッチが存在すれば、これが改修のヒントになると考える。

(4)史料の収集と公開

設計家の意図の復元には史料が重要である。史料には設計家のスケッチ・設計図書・施工図・写真などが考えられる。

スケッチはオリジナルのイメージを伝える手段として貴重な史料であるが、どの段階におけるものか、実施になったものか、などの解析が必要となろう。また、メモの切れ端などに描かれて捨てられたり、図面化するにあたりスケッチを渡しそのまま散逸しているものも多いであろう。

古写真はその時の姿をダイレクトに伝える史料として重要である。写真は造成前・造成中、開場時、改修時などその変遷がわかり貴重であるが、設計者が想定した樹木の生育した将来のイメージは課題として考慮する必要がある。

設計図書や施工図はコースのディテールを知ることができる重要な史料であるが、施工中における設計家の変更指示や場合によって自らが施工に関与するなど、細部の変更は大いにあり得ることであろう。この場合、竣工図が残されていれば重要な史料となる。

これらの史料は設計家やゴルフコースが保存することも重要だが、できればすべてのゴルファーやゴルフに関心がある人々が、気軽に見ることのできる環境が作れないだろうかと思う。これらの史料は今後のゴルフがどうあるべきかを議論する有効な材料となろう。

通常、プレーヤーの目が触れるロビーやレストラン周辺にはハンディキャップボードやクラブチャンピオンボードが掲げられていることが多いが、こういった場所にそのクラブの歴史や古写真などを展示したらいかがだろうか。

所有者が変わることが多い近年は年々史料が散逸する傾向にあるため、早い時期にゴルフ関係団体が一体となり、史料の収集や公開を行ってはどうであろう。公開については東京で例えると、待ち合わせなどで少し時間がある時ゴルフ仲間が気軽に立ち寄れる場所、東京駅や羽田空港などが適していると思う。

将来のゴルフがどうあるべきかは、今後もあらゆる機会にいろいろな立場の人々が議論することだろうが、その素材のひとつはまちがいなく歴史であると考えている。

 

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