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ゴルフコースをもっともっと勉強したい
川田太三

例えば1番ホールのあり方
霞ヶ関カンツリー倶楽部西コースの1番ホールは、私の知る限りでは、最も理想に近いスターティングホールだと思っている。少なくとも日本のコースをざっと見渡して、これ程スターティングホールとしての要素を兼ね備えているホールは見当たらない。スターティングホールとしての要素と云うと、やはり1日のゴルフを始める上で、すべてのプレーヤーに大らかであって欲しい。上手な者も下手な者も、何等かの事情でラウンド前のウォームアップが出来なかった者でも、初めの1打がうまく打てなかったからと云って大きく罰することなく、気持ち良くスタートさせてやりたい。OBが近かったり、谷越えであったり、ロストボールの恐れがある深いブッシュや、密度の高い樹林帯がフェアウェイに隣接していると、アベレージプレーヤーにとっては、かなりのプレッシャーになる。ある程度の広さから来る安心感が、弱い者にとっては不可欠の条件となる。
 
霞ヶ関西1番は南向きだから、まず朝の直射日光に邪魔されることがない。また、冬の秩父降ろしと云われるこの地域特有の北風も、追い風になるわけだから、飛距離の欲しいアベレージレベルにとっては神風にもなるし、また、ボールを止めたい上級者にとっては別の意味でチャレンジになる。バックティから408ヤード、穏やかな5メートル程の打ち下ろしだから、ティからフェアウェイを望む角度は理想的で、人間が一番安心してボールが打てると云われるアングルに一致する。左右の松林に挟まれたプレーゾーンは、フェアウェイと両端のラフを含めて50ヤード程あり、しかもティショットを待ち構えるフェアウェイバンカーは無いから、かなりの広さからくる安心感がホール全体を包んでいる。フェアウェイは全体的に右から左への傾斜で、右サイドと左サイドの高低差は約2メートル。フェアウェイの幅を約30ヤードとすると6%程のつま先上がりの傾斜ということになる。ゴルファーの4人に3人はスライサー、体の暖まっていないスターティングホールは、その傾向が特に強くなるから、殆どのゴルファーにとって、打ち下ろしで、しかも右から左への傾斜があるフェアウェイは、ボールを受けてくれる安心感がある。
 
西コースは5年程前に隣接していたサブグリーンを取り払って、完全なワングリーン制に移行した。サブグリーンを取り払った跡地は、そのホールの長さや姿、性格によって或いはバンカーを新設したり、マウンドを設けたり、殆どのホールでは、予め根回ししておいたコース内の7.8メートルの高さの赤松と黒松を移植することで形を整えた。今では、以前はツーグリーンだった事が嘘の様にすっかり自然に戻って、もういつでも添え木を外せる状態になっている。が、実はこの1番ホールのグリーンだけがうまくいかず、ワングリーンにしてからも毎夏、芝の状態が芳しくなかったので昨年の春、メンバーにはテンポラリーグリーンで我慢してもらって新たに作り換えた。理由は三つあり、この三つが相互作用して、悪い子を演じていたのである。
 
一番大きな理由はグリーンの位置が低い窪地であったことで、高麗芝時代は全くわからなかったが、本グリーンをベントに換えてからぐずぐずし始めた。コースが出来る前の昭和初期には雑木林の中の沢池だったそうで、すぐ近くの野戸池より水面が低い事がわかり、新グリーンは80センチ、グリーン面を上げることにした。また、東側の木立が大きくなって朝陽が当たらず大きな枝を大分払うことになった。もう一つの理由はグリーンの傾斜が西向きで夏の午後の紫外線を一杯に受ける角度だったことで、もともと水はけの悪い場所に紫外線の熱が残れば常にゆだった状態になり、デリケートなベント芝が、常に過湿になって、うまく育つわけがない。それで新グリーンの傾斜は、それ迄とは逆の東向きに改めた。フェアウェイから向かって右から左への傾斜で、必然的に、グリーンへの入り口は左手前に移行した。グリーン前の右サイドのバンカーが大きくなって、少々中央方向に張り出し、左サイドは小さめに後退したので、グリーン左手前にオープンエリアが出来た。この変化が、セカンドショットに大きな影響を与える。
 
つま先上がりのライからのショットは通常、目標よりも左へ飛ぶ。408ヤードという距離は、アベレージゴルファーにとっては簡単に届く距離ではないから、うまく打ったセカンドショットは自動的にグリーン左手前のオープンエリアに集まることになる。セカンドが届かないホールでも、アベレージゴルファーにとって30から40ヤードのアプローチはうまくいけばパーは十分に狙えるし、たとえ寄らなくてもボギーのスタートは悪いはずがない。一方、セカンドでピンを狙っていくレベルのプレーヤーにとっては、6%のつま先上がりの傾斜はかなり重要な要素になる。そのまま振ると左へ飛ぶことはわかっているから、狙いやスイングに一工夫を加えることになる。ドロー気味に飛んだショットは右から左への傾斜のグリーンでは止まりにくいので、どうしてもカット気味に打ちたい。特にピンが右にある時は、グリーン右手前のバンカーが気になる。フェアウェイの平らなところから打ちたい者にとっては左サイドに5ヤード幅しかないから、ティショットは相当狭いターゲットになる。左サイドのラフは常に深く、また左ラフ300ヤード辺に背の高い枝の張った松が移植されて、グリーンを直接狙うことは難しくなった。
 
私はこのホールを、日本一のパー4と云っているのでは決してない。もっと難しいホール、戦略性の高いホール、美しいホールは恐らく沢山あるに違いない。ただ、理想のスターティングホールを考えた時に、誰でも安心して1日のゴルフが始められる環境があり、第1打をうまく打てなかったからといって挽回不可能なダメージを与えず、それでいて、あるレベル以上を望む者には一工夫も二工夫も欲求し、それが出来ない時は簡単にスコアを落とす。即ち、弱者に温かく、強者に厳しいという条件を、このホールはうまく持ち合わせているからである。誰もが認めるオーガスタの13番ホールやペブルビーチの8番の海越えも、スターティングホールとしては疑問?というよりも、不適切と云った方が正解に思える。
 
ホールをもっと探求しよう
ゴルフコースは様々な自然条件を基に、作者の意図が反映され、それが永年の蓄積で変化し進化する。だから、日本にも、世界にも同じものは存在しない。1番から18番迄、ただ、ティとフェアウェイとグリーンがあり、所々にバンカーがあればいいのではなく、1番ホールは1番ホールなりの、そして全体を通しての流れ、つながり、ストーリーがなければ、それはゴルフコースとは云えない。1番と18番が同じ造りではいけないし、また、どの様にスタートさせ、どこで盛り上げ、どの辺から考えさせ、そして、どの様にクライマックスに導くかはすべて違い、それがコース設計者の自己主張であり、そのコースの個性になる。
 
私が文頭から延々とスターティングホールについて述べたのは、霞ヶ関西の応援をしたかったからではなく、ゴルフコースの、各ホールに隠されている自己主張をもっと掘り下げたかったからで、ゴルフコース設計者の1人として、我々も含めてゴルファー全員が数字だけに追い廻されず、もっともっと、ゴルフというゲームの本質を探究することを、『21世紀ゴルフへの提言』としたい。これからの日本のゴルフが、どの方向に進むべきかを考える時、すべての将来への課題が、ゴルフというゲームの一番深いところに隠されていると思うからである。
 

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